LOVE  Nat King Cole sings "Mona Lisa"

半世紀ほど前、こちらのナットキングコールが歌う、「モナリザ」「プリテンド」「トゥヤング」「ネイチャーボーイ」からなるステレオのミニL Pレコードが全世界に向かって発売されました。日本でも東芝、キャピタルレコードから発売され値段は確か¥500。

 

50年間売れに売れ続け、累計5億枚を超えたとも言われています。特にモナリザは、フランクシナトラの「All the way」と並んで、アメリカンポップスの中で最も品格の高い作品とされています。

   ナット キング コール                  アメリカのモナリザ    フランクシナトラ

特に平易な文体ながら、その歌詞は、まるでアイルランドのノーベル賞詩人、イエーツの詩のようだといわれています。

 

ちなみに、全米のカラオケ店で50歳以上のジェネレーションに限るなら、(1位)イエスタデイ、(2位)モナリザ (3位)好きにならずにはいられない だそうです。しかも、ロス、ニューヨーク、フィラデルフアなどの都市では、もう、ヒップホップは、やや下火になって、このような伝統的なスタンダードナンバーにより多くの光が当たっているみたいです。

 

歌詞についても、過度に省略された名詞や的外れのメタファー等の羅列ではなく、ちゃんとストーリーが、しっかりしたものが見直されているそうです。このようなトレンドをアメリカの社会学者は,おととしあたりから、オール アメリカン ポップス ルネッサンスと名付けているようです。

 

また蛇足ですが、このナットキングコールのパフォーマンス、あまりにも素晴らしすぎて、おこがましくて批評などできるものではありません。そしてジャズピアニストとしても、ビル エヴァンスと同等とまでは言いませんが、一流のテクニックで多くの録音を残してしているんですよ。

 

それでは、モナリザの英文の歌詞を書き出してみましょう 

Mona Lisa, Mona Lisa men have named you. You're so like a lady with mystic smile.

(モナリザ、これは男たちが、君をそう名付けるようになったんだ。まさに君は、神秘的な微笑みを持った貴婦人だからね。)

 

 Is it only because you're lonely they have blamed you. for,that Mona Lisa as strangeness in your smile? 

(君が孤独に見えたから人は君を非難したのだろうか?或いは、その微笑が、モナリザのようにミステリアスだからか?)

 

Do you smile to tempt a lover Mona Lisa? Or is this your way to hide a broken heart ? 

(君は恋人を誘惑するために微笑むのかい?それとも、君の壊れた心を隠すための一つの方法なのだろうか?)

 

Many dreams have been brought to your doorstep.

(沢山の夢が、君の家の戸口にもたらされつづけた。)

 

They just lie there and die there. Are your warm, are you real, Mona Lisa ? 

(それらの夢は、そこで横たわり、やがては朽ち果てていってしまった。果たして、君は温かい心を持った現実の女性なのだろうか?モナリザ!)

 

Or just a cold and lonely lovely work of art.

(あるいは、単なる冷たく美しい芸術作品にすぎないのだろうか?)

 

ここで一言:私たちは、中高と1週間に4時間ほど英語を学んで来ました。本当ならこのレヴェルの文章なら、キングコールが明快な発音でかなりゆっくり歌っているのであるから、聴いたら直ちに英文で書けなければならない。

 

それができないとすれば、授業を右から左に聞き流しているだけだったと非難されても仕方がない。

 

言葉はまるで違うが、日本語も英語も同じ論理で言語体系が出来上がっている。例えば強いという形容詞、強い心などという。副詞は強くだ。強く生きろ!などという。英語でも全く同じ論理が貫かれる。

 

英語でも Strong heart , Live strongly と言うだろう。この歌で一番難しいところは、Many dreams have been brought というセンテンスだ。文法的に言えば、現在完了形で、しかも受け身で複雑な構成をとる。

 

しかし、日本語だって”沢山の夢がもたらされてしまった”と言うではないか。やはり同じ論理だ。

 

このように、注意深く言語感覚を鍛えていけば、日本語、英語とも自分自身の言語として身に着けることは、決して難しいことではない。

 

一番いけないのは、言語に対していい加減、テキトーな感覚しか持てないことである。結局それでは人間としての人格というものが、ほとんど育まれないのである。 ここらで、言語の大切さを再認識すべきである。

LOVE

*ナット キング コールの誰からも愛される軽快なヒット曲 LOVE をご覧になりたい方は、この動画の左上 LOVE の部分をクリックしてください