1. Horowitz plays Pathetique Sonata

バックハウスウイルヘルムケンプは、ベートーヴェン弾きとよく言われます。確かに、モーツアルトやシューベルトまでは弾きますが、ショパンはめったに弾かないだろうし、スクリャービンに至っては、レパートリーにはないでしょう。やはり、彼らの核は、ベートーヴェンのピアノ曲なのです。

ホロヴィッツ               ベートーヴェンのスペシャリスト>ケンプ

一方、ショパン、シューマン、ラフマニノフなどを核にして出発したホロヴィッツは、ファンの熱狂的な要求に応じて、いろいろな、作曲家の作品を開拓していきます。皇帝を録音すれば、全世界の話題を独占、ドビュシーのプレリュードを3~4曲弾けばたちまち賞賛の的、18世紀バロックのスカルラッティソナタ集などは、この45年間で全世界何千万枚と売れたのでしょう。 ホロヴィッツには、録音しない月でも、莫大なお給料がCBSから支払われたそうです。

 

さて、その悲愴ソナタの出来栄えは、バックハウスやケンプが醸し出す、ベートーヴェン特有の重厚さ、ディグニティ―にはやや欠けるかもしれませんが、まるで形のいい真珠がそろったような鮮やかなピアノ曲に仕上がっているのです。換言すれば、ベートーヴェンのスペシャリストとは、また違った魅力があるという事です。やはり、ピアノ好きなら両者のCDを備えておくべきだと思います。