初めに今、16歳になったエマさんは、ロッキーの街、フィラデルフィアの名門カーティス音楽院で極めて難しい現代音楽に取り組んでいるようです。この、フィリップ=ゴーベールのファンタジーという極めてデリケートな作品は、今から、6年前、小学校4年生の時、ユーチューブにアップロードされました。この曲は、桐朋学園大や東京芸大のフルート科に入学してから初めてレッスンを受けるというほどレヴェルが高い曲です。それを小学4年生でクリアーしてしまったものですから、フルート界では大きなセンセーションになりました。それに、世界的なフルーティストであり名教師の、パユーさんや、ゴールウエイさんのレッスンをマンツーマンで受けられる特典も持っています。もちろん無料で。普通のフルート趣味人が、彼らのレッスンを受けようとすると、ワンレッスン、1時間$1000~2000 という相場だそうです。

         エマさん       エマ & ジェームス   藤井四段  & 羽生三冠        藤井四段

今、日本で、羽生三冠をも破った中学生棋士、藤井四段が、話題になっていますよね。世界で最も恵まれていると言われているフルート少女エマさんは、ちょうど藤井君のような存在なのです。

エマさん : フィリップ ゴーベール作曲 ファンタジー

演奏を聴かれてみてどうですか。私としては特にピアニッシモの表現が、ずいぶん上手になったなあと感じました。さてこのフィリップ ゴーベール、どんな音楽家と言いますと、活躍したのは、約100年前。..(A)世界的なフルーティスト (B)フルート教育者 (C)作曲家 と三つの顔を持っています。(C)としては、フォーレ~ドビュッシ―のやや神秘的で洗練された印象派、いわゆるフランス近代の流れを汲んでいます。彼らほど有名ではありませんが、フル―トに携わっている者なら知らない者はなく、そう、例えば、相撲関係の人であるならば双葉山を知らない人がいないのと同じ事。もちろん、作品は、フルートのためのものが多く、すべからくその評価は高いのです。(2)としては、物腰が柔らかく非常に丁寧に教えてくれる先生として、今も語り草になっています。因みに、その1番弟子が、フルートの世界を統一したあの雷のような、マルセル モイーズ。織田信長に似ていないこともありません。聖徳太子のようなゴーベールの教え方と180度違い、熱心さが行き過ぎて、弟子が、おかしな演奏をすると、結構、悪しざまに指摘したと言われています。「キミイ、サラブレッドと象の足、どっちが美しいと思うかね?」と有吉君が言いそうな皮肉を連発したとも伝えられています。また、彼が著したタファネル=ゴーベールという、音階と分散和音のテキストは、フルートを学ぶ者、ほとんどすべて持っていて、これまで2億冊は売れたのでないかと類推されています。こんな人なんですね。ゴーベールとは。

 

じつは、私、この二年くらい、エマさんの東アジア向け、宣伝部長のような仕事もしています。

もちろん無料ボランティア―で。彼女についての記事を書くと必ず、ユーチューブのコメント欄にメッセージを残すのですが、本日は、これについて紹介して終わりたいと思います。

                                       Toward Miss Emma

                                          (エマさんに向けて)

To every flutist, P.Taffanel and P.Gaubert were great flutists and flute teachers. As I've sufficiently received the fantasy and the sophistication from the performance of Gaubert's Fantasie by Miss.Emma, I don't have anything to criticize. 

 

(すべてのフルーティストにとって、ポールタファネルとフィリップゴーベールは、偉大なフルーティストであり、その教育者だったことはすでに知っているよね。さて、今回は、あなたのゴーベールのファンタジー、幻想と洗練性に溢れた演奏で、たっぷり聴かせて貰い、その印象を十分受け取ったから、今回に限っては、その感想を書かないことにします。)

 

 

By the way, 2 weeks before, we went to the Tokyo Dome stadium to hear Paul McCartney's concert. At each seat, a glittering blue short bar was put like a short sword at the movie Star wars. A memo paper says "When Paul sings Hey Jude, you must shake this bar slowly to astonish Paul”.

 

(実は、2週間前、東京ドーム球場に、ポールマッカートニーのコンサートに行って来たんですよ。そこに着くと各々の座席にブルーに光るあたかも映画スターウオーズに使われるような短いバーのようなものが置かれていて、小さなメモには、こう書いてありました。「ポールがヘイジュードを歌ったら、彼をびっくりさせるためこのバーをゆっくり振りましょう」と

 

 2 hours later, The moment Paul began to sing "Hey jude", all lights in the Dome stadium were extinguished,immediatly, the very broad violet flower field appeared in the dark. 50 thousand short swords had released blue light at same time. Having watched this scene and having listened to Paul's Hey Jude, I couldn't hold back my tears flowing from my eyes.

(それから、2時間後、ポールが、ヘイ ジュードを歌った瞬間、ドーム中の明かりは消え、ドーム内はただちに暗闇の中に、広大なスミレの花の畑が出現しました。5万の小さなバーが、一斉に青紫の光を放ったのです。このシーンを見て、ポールの歌声を聴いて、私は、目からあふれ出る涙を抑えることが、出来ませんでした。)