音符   私鉄沿線  野口五郎さん : 甘い生活お願い

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           短編小説:甘い生活

Ka o ru、君は、十年前。ハーヴァードから、源氏物語の本格的研究のため、ぼくの大学へ交換留学生としてやってきた。初めて出会ったのは、本郷キャンパスのレストラン、君が昼食何にしようかとひどく迷っているのを見かねて、「今日は、かつ丼がうまいみたいだぜ」と話しかけたら、その日から君は、テニスの上手ななおみと同様すっかりかつ丼ののファンになっちまった。

 カオル ナンシー ジョーンズ  

君は、オハイオ州、コロンバス出身、僕も、松本出身だったので、休日は、二人で、東京中をぐるぐる回ったね。君の口癖は、「私の身体には1/4 日本人の血が流れているのよ」だったね。いつか、池袋の名画座で、山口百恵と三浦友和の「伊豆の踊子」を見た時、ラストシーンで、周りにはばかることなく大泣きしたね。「百恵の役は、私と同じ名前の kaoru よ」と叫んで。

 

それからしばらくして、君は二人離れて住むなんて不経済極まりない」とつぶやいて、駒込から、僕の戸越公園のアパートに転がり込んで来たんだ。その時、しょうがねえなあと格好つけていたけど、心の中は、天にも昇る気持ちだったんだ。

 

あれから、7年、僕は、松本へ帰って、親父の会社を継いだ。今では、薫という娘もいる家内にはすまないと思っているが。 風の便りでは、母校のハーヴァードで、日本古典文学の准教授になったと聞く。今、君も好きでよくカラオケで歌っていた野口五郎さんの「甘い生活」を聴きながら、思いを君に馳せています。