親子で学ぶ算数教室第一回「分数どうしの割り算パート1」

 

 対象は、6年生ですが、どのような親子が学んでも一向にかまいません。

おそらく分数どうしの割り算は、小学校算数で最も難しい単元です。例えば、

3/4÷5/7=3/4×7/5=21/20  割られる分数(被除数)÷割る分数(除数)は、被除数に除数の逆数をかければ、答が出る。という計算方法だけを教えて終了ということだと思います。

 

おそらく、分数どうしの割り算の意味を説明してくれる先生、あるいは分数どうしの割り算を使った文章題(応用問題)などを出してくれる先生は、200人に1人くらいでしょう。大学の教育学部で、算数教育学を徹底的に学んだ先生でなくては、ほぼ不可能です。特に現実世界に密着した文章題の製作など、とてつもなく難しいのです。

 

今、ある6年生が、「割る数の逆数をかけないで、分数どうしの割り算を解く方法を発見しました」と言って、実際すらすら解いてしまったとしましょう。クラス中、騒然となることはもちろん、先生が、「どのようにして、そんな方法を思いついたんだ。そこんところを先生にも教えてほしい」とお願いされるかもしれません。教師~生徒の逆転現象さえ起るかもしれないのです。

 

これから本文に入るわけですが、被除数、除数、逆数など意味がわかんない。頭が痛くなると嘆く人はここでストップ。先に進まないほうがいいでしょう。算数において、算数用語を100%正確に覚えることは、基本の基本で、かつ命です。

 

漢字の意味を正確に把握する癖をつけましょう。ちなみに逆数とは、分母と分子をひっくり返した分数です。つまり、b/aの逆数はa/b ということです。

 

そして、被除数,除数は大人なら誰でも正確に覚えられますよね。

さて、それでは、いよいよ本題に入っていきたいと思います。

       

  ******本題******

分数同士の割り算、割る数の分母分子をひっくり返さないで、答を出すことが、出来るか?             答え、出来る。

                  科主任エリカフォークナー教授

 それが、正解です。つまり, a/b÷c/d=(a÷c) /( b÷d)の方法を最後まで貫くわけです。
(例1) 
3/8÷1/4=(3÷1)/(8÷4 )=3/2
見事成立 割る数(除数)の逆数をかけた時と同じ答え。しかし、この場合は、みな都合のいい数字を選んだので、たまたまです。

それならば、全部、
素数で構成された
(例2) 3/5÷7/11=(3÷7)/(5÷11)=   予想通り、分母分子とも割りきれず、お手上げということで、改めて、算数というものを考えてみます。

(A) イコール(=)で結ばれた左右の式は、常にバランスを保ってなければなりません。

上皿天秤ばかりに例えれば、
左右の重さは、常に等しくなければいけません。

(B)  算数の決め事は、必ず守らなければならなりません。

(C) 規則を守っていれば、式をどんなに変形させてもよい、何をやってもよいのです。

ところで、分数同士の引き算の場合は、どうでしょう。3/8-1/4=(3-1)/(8-4)=2/4=1/2 間違い ぜったいやってはダメ 分数の足し算 引き算は、必ず、分母の数を同じにするため、通分を学ばなければいけません。

この場合は、
1/4の分母と分子に2を掛ければ良い。 因みに、人生で分数計算をする機会は、殆どないでしょう.... あ!忘れてた、遺産相続がある。

分数同士の掛け算はどうかな。
3/8×1/4=(3×1)/(8×4)=3/32 この方法で間違いない。

我々は、この分数どうしの割り算は、
小学校の算数の単元で最も困難と見え、六年の後 半に学習した記憶があります。

やはり、計算方法だけ教えてもらいました。
私はそれでいいかなと思っています。 

この原理的な仕組みを知ることは、難しく、
ガロアのような頭脳の持ち主は別として、
後年、興味持つ者だけが研究ということで十分だと考えます。

中学受験でも、分数同士の割り算の計算式は、出題されるかもしれませんが、また、100%保証の限りではありませんが、
文章題(応用問題)としては、先ず、出題されないだろうと想像されます。

というのも
問題を作ることが恐ろしく難しいからです。ここで、小学校6年生までに明らかになっていることをまとめておきましょう。


(D)
約分を死ぬほど勉強しているのだから、分母、分子を ゼロを除く、いかなる同じ整数で割っても、完全に許されることは理解しています。

(E)通分をしつこく勉強した結果、
分母、分子にゼロを除く、いかなる同じ整数をかけても完全に許されることも理解しています。願わくは、最大公約数、最小公倍数まで、しっかり覚えてほしい。

一旦、覚えれば100才越えても忘れません。出来れば、
既約分数とは何かということも。

(例2)にもどりましょう。
3/5÷7/11= 割られる数3/5の分母と分子にそれぞれ
77をかけてみましょう(E)の規則により全く許されます通分と同じで、全く問題ない正当行為です。

3/5=(3×77)/(5×77)=231/385 ここでよく見ていただきたい。決して3/5を77倍しては、いません。分母分子にそれぞれ、77をかけているのですから、1倍しているに過ぎません。

言い換えれば、
3/5の大きさをまったく変えてないわけです。従って、3/5の代わりに、231/385を用いても全く間違っていません。

それでは、
割る数にも77をかけなければ、いけないのではないか、と思われる方が、いるかもしれません。確かに、割られる数を分子だけに 77をかけ、77倍したのなら、算数の規則によって割る数も77倍しなければいけません。

算数でも、えこひいきはゆるされないのですから。ところが、先ほど述べたように割られる数を77倍していません。

大きさは一切変えていないのです。敢えて言うのなら一倍しただけです。
量的には、何もしないのと同じです。

更に、割る数
7/11 に 77/77 をかけても間違いではないのですが、そうする必要もさらさらありません。かえって、もし
それをしてしまうと、元の木阿弥になってしまいます。

さて、3/5=231/385ですので、3/5の代わりに231/385を用います。 

(231÷7)/(385÷11)=33/35 従って、3/5÷7/11=33/35 これで、割る数の分母、分子をひっくり返すことなく割り算が、出来ました。

算数の規則も一切、破っていないと思います。検算として、従来の方法で計算します。3/5÷7/11=3/5×11/7=33/35 ほらね!

77は、決して意味のない数字ではございません。従って、77は、どこから持ってきたのかは、当然問題になりますが、今回は、敢えてみなさんの宿題にします。少し考えてみてください。

念のため、断わっておきますが、77は、今回、たまたまで、
分数の数字が違っていれば、当然 77ではなく、別の数が現れる筈 です。

最後に、これは、どのような分数でも成立することは、言うまでもありません。なお、一般的な分数どうしの割り算では、どうして、割る数を逆数にして、かけるのかは、去年の一月のブログ記事番号(05)(07)に、書いておきましたので、出来たら参考にしてください。

今回は、割る数を逆数にしてかけるという方法ではなく、ちょっと手間が、かかってしまいますが、
別の解法を提案しました。
分母÷分母、分子÷分子の考え方は、正しかったのです。

おまけ
分数どうしの割り算は、下のように表現されます。高校生くらいで、数学好きだとなるほどと思うでしょうが、小学6年生に、この原理をわかってもらうため、先生は、非常に苦労していらっしゃる。

現実に即した
分数どうしの割り算の明快な文章題(応用問題)は、いまだ発見されていないとも言われています。従って、殆どの子供は、機械的に、割る数の逆数をかければよいということで、おしまい。

深入りは、しません。これは、致し方ないことでしょう。先生方も必死に勉強していますが、その仕組みがわかる決定的な指導法というものはまだ確立されていないからです。分数どうしの割り算
は、それほどまでに難しいのです。