初めに:このオペラ、マルタのあらすじは、アン女王の女官を務める我儘なハリエットが、退屈凌ぎに、下女をつれ、しかも名前もマルタと変え、こっそり城を抜け出し街に出て、ある色恋沙汰に遭遇するというものです。

 

昔、ひばりさん扮する家老のお姫様が、身をやつし街へ繰り出し、生きのいい町人の魚屋大川橋蔵さん扮する、一心太助と、恋仲になるというストーリーは、実際そんな映画はあったかどうかは別にして、東映時代劇に大いにありそうです。ヘップバーンのローマの休日も同じパターンといえましょう。

 

そこで、マルタに恋い焦がれてしまった、青年、ライオネル心を込めて打つアリアが、これなのです。なお、男はつらいよの寅さんも、この「夢のように」ではないのですが、マルタの別のアリアを4小節くらい歌っているそうです。山田監督、センスある。

 

ルチアーノ パヴァロッティ:夢のように (フロトー作曲、オペラ マルタより)

余裕しゃくしゃくのパヴァロッティの素晴らしさは、もちろんですが、ピアノを弾いていらしゃるのは、レナード スラットキンと二分するアメリカの代表的な指揮者、ジェームスレヴァインさんです。この人は、ずっとメトロポリタン歌劇場の指揮者を勤め上げ、1990年代ウイーンフィルを指揮し大評判をとりました。

ルチアーノ パヴァロッティ    ジェームス レヴァイン

 

それもそのはず、青年時代、カラヤンの上を行く指揮者とまで言われた、ジョージセルに直接指導を受けたからです。私も彼がウイーンフィルを指揮したモーツアルトの交響曲のCDを持っていますが、明らかにセルの教えが生きていて、より精緻さと透明感が増した驚くべきウイーンフィルに変貌させてしまっています。しかも、ピアノも、ものすごく上手なのです。