沢口靖子主演:愛と悲しみの飯田線

はじめに:このドラマのあらすじとその味わい深さを説明せねばなるまい。

(敬称略)沢口靖子扮する主任捜査官の部下、久我捜査官が、ひょんなことから休暇の旅先で知りあった、二人の若い女性トラヴェラー、夕子とみどりと、早朝4:52分、信州の辰野駅から愛知県の豊橋まで、6.5時間の列車の旅をする。

遠野なぎこさん扮する、夕子

鉄道の名称は、単線各駅の飯田線だ。平均時速30km、私のサイクリング時のスピードとほぼ同じ速度だ。夕子を演じるのは、我がNHK朝ドラ女優、遠野凪子みどりは、河合千春だ。

 

その15km西側を、時速90kmで走る中央本線が、走っていることを認識しておくのは視聴者として常識。もう、昔のドラマだからどんどん犯行動機や、アリバイトリックを明かして行っても構わないだろう。 

 

要は、二つの平行鉄道路線を巧妙に利用した夕子とみどりの交換殺人である。

夕子に一目ぼれした久我捜査官は、体のいいアリバイ証人にされてしまったに過ぎない。

 

被害者は、昔資生堂のMG-5のコマーシャルで一世を風靡した団時朗扮する悪徳金融社長青柳、もう一人は、若貴兄弟の母上、藤田憲子扮する、闇で売春にも手を染めているモデルクラブ社長柏木だ。

 

さて、基本的枠組みを余すところなく教えたので、実際ドラマを鑑賞してもらおう。ひゃくぶんは、いっけんにしかずである。

 

さて、ここで、ドラマに沿って重要場面をチェックすることにしよう。はっきり言って、このサスペンスドラマ、松本清張のような、緻密なアリバイ工作も、なるほどと思わせる殺人動機も月並みだ、やはり、見るべきののは、悲しみが待ち構えている、久我の恋のはかなさ、偽証もいとわない、久我の振る舞いに残酷だが凛とした態度をとる花村乃理子

 

また、車窓から見る天竜渓谷、その他の信州の景色のすばらしさまあ人間の心の機微を受け取るべきものだ。

 

例えば、夕子と久我捜査官の短かくも、ほほえましい逢瀬が始まる。やがて、みどりにも会うが、これを偶然とみる視聴者はいない。

 

次は、 花村、久我地井さん達が、実際、みどりのアリバイを崩すため、飯田線に乗り込む場面だ。みどりの役目を担った花村は、飯田駅で降りタクシーで、中央本線の中津川駅まで飛ばし、そこから中央本線に乗り、名古屋まで行き、青柳を殺す余裕があることを確かめ、今度は、逆に飯田線のくだりに乗って、新城駅花村は、久我たちが乗っている列車に乗り込む。これが、このドラマの列車トリックだ。

 

 夕子をかばうため、偽証も厭わない久我花村が、凛とした態度でいさめるシーンだ。やはり、沢口靖子さん、このようなところが、相変わらずかっこいい。

 

そして、ラストシーン1:30:30 花村の思いやりで、夕子は逮捕ではなく自首ということになる。そしてエピローグの音楽、Kiroroの「もう少し」だ。この曲なしで、二時間サスペンスは終われない。 

 

最後、夕子と久我の別れ、もし私が、久我捜査官だったら、遠野なぎこさんに向かい、勢いで 「10年でも、15年でも待っているからと言っちゃうかも!

 

 

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