フルートの勧め

子供の時から一つの楽器を習得することは、たとえプロを目指さないにしても全くいいことでもあるし、ぜいたく極まりないことだと思います。

 

そこで、ピアノやヴァイオリンは、ハードルが高すぎると思っている方には、是非フルートがおすすめ。真面目にレッスンを受ければ、バッハ、ヘンデル、モーツアルト、ドビュッシーは、もちろん、日本人の大好きな、ドップラーのハンガリー田園幻想も夢ではなく、ユーミンの春よ、来い、などさらりと吹くのもかっこいいと思います。

 

Fresh Flutist 1

そしてフルートには、少なくとも5000種類くらいの楽譜 (輸入ものも含めて)が、あるはず。確かに、クラリネットやオーボエも魅力的ですが、なにせ、フルートに比べ楽譜の種類がかなり少ない。また、持ち運びに全く苦労しないことは、チェロ奏者などの楽器運搬の様子を見れば、その有難さはわかるでしょう。

 

(1) レッスンについて:人に聴いてもらいたいと思うのは人情ですから、そのためにはとにかく、いい先生のマンツーマンのレッスンを受けるのが、絶対条件です。一か月3回のレッスンで10000円~15000円くらいが相場でしょう。

 

(2) フルートの種類と価格について:フルートは、決して一種類ではなく、質、形態に違いがあります。それによって価格も当然違ってきます。 材質…洋銀、銀、金 長さ…2種類あります。C管 最低音がド(C)H管 最低音がドより半音低いシ(B)よってC管より幾分長い。キーの形状…カヴァードキー:標準的なキーとリングキー: キーの真ん中がくりぬかれドーナツ状になっていて、指の腹で穴をふさぐことになる。音の抜けが良くなるという人もいるが、指の細い人には、不向き。どちらがいいとは一概に言えません。

 

(3) 楽器の選択について:先生を決めてから楽器を選ぶということも考えられますからその場合は、もちろんその先生の指示に従います。そうでない場合は、お子さんの場合など台湾製で40000円くらいのモデルでいいかもしれません。国産だと、ヤマハの70000円くらいのモデル、ムラマツの場合は、頭部管が純銀になるので価格は、200000円になってしまいます。経済的に自立した大人ならこれもいいでしょう。 フルートという楽器は、出世魚のようなもので、上達するにつれ、真面目に取り組んでいる人は、15年に一回くらいの割で、買い替えるというケースが多い。洋銀~純銀~金といった具合。 ちなみに、フルート制作は、ヨーロッパのように見えますが、実際はそうではない。

Fresh Flutist 2

アメリカ、日本が主流です。ヘインズ、パウエル、ムラマツ、ヤマハ等が有名。今は亡きランパル、工藤重典氏は、ヘインズ、リング、金、C管、ゴールウエイは長らくムラマツ、リング、金、H管を使用していたといわれているが、価格はみな1000万円近い。一方、フルートの神様と崇められているマルセル=モイーズは、弘法筆を選ばずで、一生10万円以下の初心者モデルで押し通したという伝説もあります。二本目のフルートを選ぶ人に対しては、個人的な推薦になりますが、総銀、あるいは9kあたりの金リングキー、H管を勧めたい。私の知人で、定年退職してさあフルートでも始めるかということで、いきなり150万円くらいのゴールドフルートを購入してしまう人もいました。

 

(4)初心者,中級にとって人に聴かせるのに適した曲とは実力以上の評価が得られる曲です。 よく、先生について2~3年程、いわゆる中級程度の実力をつけ、発表会で曲を決める段階で、先生に向かって、例えば、バッハのホ短調のフルートソナタを吹きたいと、言ったとします。ある先生は、そのチャレンジ精神を買ってO.K するかもしれませんが、この曲、技術的にはもちろんのこと、解釈の面でも奥が深く、容易に演奏し通せるものではありません。聴く側から言わせると、不安定な演奏を聴かされた場合、とても鑑賞、感想を述べるまでには至りません。そして、ハンガリー田園幻想曲がいいといって、たとえ、譜面通りに吹けたとしても、あの東ヨーロッパのうら寂しさ、激しい踊りの雰囲気を表現できていなければ、意味がないでしょう。要は、実力一杯の曲を選ぶのではなく、ある程度自信があり、かなり余裕を持った選択がいいのではないかと経験からつくづく思います。

 

前者では、ヴィヴァルディの忠実な羊飼い6番とか、後者では、シャミナーデのコンチェルティーノなどに変えて丁寧に演奏すれば、きっと感動は伝わるものです。 最後に、フルートを習い始めて、一年半くらいのアマチュアプレーヤーに向けて、それほど難しくないのに演奏効果がとても上がると思われる曲を紹介します

 

(A)パラディスのシシリアーノ

 

(B)フォーレのシシリア―ノ

 

(C)ゴーベールのマドリガル

 

(D)イベールの間奏曲

 

人間は、6/8拍子のシシリア舞曲を聴くとひどく感動するセンサーを持っています。なお、(A)は、原曲は、ヴァイオリンです。

 

(C)のマドリガル、ゴールウエイの演奏動画をアップロードしておきました。(注)彼のフルート銀色ですが、銀ではなく恐ろしく比重の大きいプラチナです。

 

(D)は、スペインムードたっぷりのスピーディな曲で、聴く人に凄いテクニックと錯覚させる雰囲気を持っていて、友達からかっこいい曲だな、ドブロックじゃないけれど、おまえ、もしかして、フルートの天才か?と称賛されるかもしれません。

 

日本は、先輩に牛若丸とか、笛吹童子などがいるので、世界一のフルート大国と言えるでしょう。フルートを所有、演奏する人は、300000人は、存在するのではないでしょうか。近い将来、日本にもエマニュエル=パユーのような世界をあっと言わせるフルート奏者が、現れるような気がします。錦織圭選が、出現した如く。