こんにちは、ギタリストの中川雄です。
さて、「五線譜を読んでギターを弾くのは難しい…」と思ってる方。多いですよね。
一般的にギターはピアノに比べると読譜が難しい楽器ではないでしょうか。何故なら、同じ高さの「ド」でも押さえる場所が異なるからです。
これはそれぞれの音の場所を表にしたものです。
いかがでしょうか?確かに一見すると難しい印象がありますよね。しかし、この押さえる場所が異なる事は、逆にメリットだと言えます。
例えば1弦の開放弦の「ミ」と2弦5フレットの「ミ」は同じ音程でも、音質が絶妙に違います。私たちギタリストは、こうした様々なニュアンスを指使いによって変化することができるのです。
だから、tab譜ではなく5線譜を読めた方が、表現できる音楽の世界が広がります。
指使いをどのようにするのか?これは音楽家によって考え方が違います。弾きやすさを重視するのか、あるいは歌い回しを重視するのか。ギタリストによって優先順位がバラバラです。
ある例を紹介しましょう。ソルの作品60番の一番の冒頭です。
これは通常のローポジションと開放弦を駆使したフィンガリングになります。私も練習する際は、上記の運指を採用してるのですが、毎日同じ音質だと飽きてしまいます。少し変更してみましょう。
こちらは開放弦をなるべく使わない指使いです。3弦と2弦のメロディラインを大切にします。また、2小節目から3小節目に移るポジションチェンジの際、人差し指は4フレットから5フレットに軸が移動します。
動画を聴いてみましょう。
中川雄(ギタリスト・講師)@YuuAbiertoブログ用の素材です ソルのop60番の1の冒頭フレーズです。 ギターは同じ音でも押さえる場所が違うので、どのポジションで弾くのか?ニュアンスが様々変化していきます。 https://t.co/atpEZdyIcG
2019年10月29日 10:56
前者は乾いた感じ。後者は柔らかい感じがしますよね。これに、ビブラートやクレッシェンドといった表現を加えると、どうなるでしょうか?つまり、一見シンプルなフレーズでも、ニュアンスの出し方は千差万別存在します。
さらに、パブリッシュによって記載されてる運指は異なります。ここでは紹介できないのですが、同じ曲でも違う出版社の楽譜を二つ用意して頂くと、よく理解できます。
しかし、版の選定は初心者の方にとって、難しいかもしれません。あるいはコピーで済ませてしまう方もいらっしゃるでしょう。
音楽に対する情熱によって、かけられる時間とお金が変わるので、そこは何とも言えませんが…
ただ、情報を得て、それを検証することは大切ですよ。本当に重要なことだと思います。
さて、次回は運指を決定するときのポイントについてお話しします。
クラシックギターをディアンジェロ・シシリア氏に師事。ジュディカエル・ぺロワ氏、ピライ・ヴァカ氏のマスタークラスを受講。第8回Giussepe・Ratiti国際音楽コンクール・ギター部門第4位入賞(イタリア)。2015・16年と「音楽の祭日」に出演。2018年に東京すみだトリフォニーホールで「今夜はラテン」に出演。またクラシックのみではなくPops,Bules,Bossanova,Rockなど幅広いジャンルを展開し、ライブハウスやイベント演奏、映画音楽オーディションのサポートなど幅広く活動する。国際芸術連盟所属ギタリスト。日本ジュニアギター教育協会専門家会員。宝塚アーティスト協会アーティスト会員。アルハンブラ・ギター教室オーナー。ギターアンサンブル『Moderate』講師。