アンカツの事、よくは知らない。皆が言うに、全盛期の彼はもう形容出来なかったらしい。何とは言わずとも怖かったと。あたしがアンカツを把握出来るようになった時はもうペルーサくらいだったかな?やっぱりアンカツは怖い印象。何で?いつもニコニコしてんじゃん。そりゃそうかもしれない。でもそんな笑顔に安楽はない。怒りに近い揺らめきがいつも瞳の奥に宿っている感じ。勝負師たる騎手だから?安藤勝己の人間性が?
最近騎乗していなかったから気になってはいたが、笑顔の底に隠してあるギラギラが和らいできた気がしていた。凍り付いた雪の塊が少しずつ少しずつ解けていき、やがて春の匂いがするように。寒いの嫌いなアンカツの元に、ひと足先に春がくるようだ。
ついにこの時が来たか…
お疲れ様。安藤勝己騎手。
もうオグリキャップの背中を知る人、豊だけになってしまった。