長城と日本で言えば、最初に浮かぶのは中国の万里の長城になるのでしょうが、英語文化圏で言えば、出てくるのはハドリアヌスの長城(Hadrian's Wall)。
英語表記としてはどちらもWallになります。

メモ垣露文
画像はWikipediaから。

ハドリアヌスとはローマ皇帝で在位は117年から138年。
この時代というと、このマンガがハドリアヌス帝の治世を舞台にしています。

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)/ヤマザキマリ

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ローマ帝国の浴場建築士が現代の日本にタイムスリップするというマンガの「テルマエ・ロマエ」はハドリアヌスの時代からやってくるのです。
ローマ人たちは、このブリテン島北部をカレドニアと呼びました。
長城を挟んで南がローマ文化圏で、北がケルト文化圏という区分になります。

イングランド、アイルランド、スコットランドという三つの国は、ケルト系のアイルランド・スコットランドと、非ケルト系のイングランドということにもなります。

ローマ人たちは、現在の英国本土をそれぞれイングランドをブリタンニア、スコットランドをカレドニア、アイルランドをヒルべニアと呼んでいたので、雅名というか古名というかは、このラテン語系の名前で呼ばれ、国の擬人化女性は、この名前で呼ばれるようになるのです。

メモ垣露文

この画像はアイリッシュ・シンデレラをいじめるブリタニアとカレドニアの姉二人。
ブリタニアとヒルべニアはたくさんありますが、残念ながらスコットランドの女性擬人化は、この画像以外で見たことがないのです。もし知っている方がいたら教えてください。

ただ、どんなイメージになるのかはたぶん分かります。

メモ垣露文

「メリダとおそろしの森」という日本語タイトルで7月に公開されるアニメーションはスコットランドを舞台にしていますが、こんな赤毛の女の子は、あースコットランドだなぁ、なんて思わせてくれます。

メモ垣露文

「マクベス」はスコットランドを舞台にしたシェークスピアの戯曲でしたね。
このマクベスは、勇猛な武将でありながらダンカン王を裏切りその地位を奪うも、彼を父の敵と狙いイングランドの支援を得たマルカム王子によって滅ぼされる話です。

メモ垣露文

「ブレイブ・ハート」のウィリアム・ウォレスはスコットランドの騎士でありながらスコットランド貴族の裏切りによりイングランドの首都ロンドンに護送されて処刑されています。

どちらもあくまでもエンターテイメントであって史実とは違います。
けれども、スコットランドの内部でまとまることが出来ずに隣国イングランドの攻勢を受け、気付けばいつの間にかイングランドの支配下にあった、という歴史ではあったわけです。



リンクしてあるのは「Skye Boat」。
スコットランド出身のスチュアート朝は、14世紀後半から18世紀初めまで続いた英国の王家ですが、名誉革命によって国外追放されます。現在の英国王家はこのスチュワート王家を追放した後で、ドイツのハーノヴァー家から招かれた外国出身の王です。
「Skye Boat」は追放されたスチュワート家の王を待つ歌ということになります。