もうすぐ公開される映画は、あまり原作とは関係ないようですが、

猿の惑星 (ハヤカワ文庫SF)/ピエール ブール

¥651
Amazon.co.jp

原作者のピエール・ブールは、仏領インドシナの植民地で侵攻してきた日本人を見て、この作品を発想したと伝えられています。
残忍な猿に白人が奴隷のような扱いを受けた、と。

機関銃の社会史 (平凡社ライブラリー)/ジョン エリス

¥1,470
Amazon.co.jp

“1881年、W.D.ヘイの著書、「三百年後の世界」という本に示されている。ヘイは、未来の理想郷をこう描いた。

人類みな兄弟という古くさい考えはもはや擦り切れてしまった。
~(中略)~
厳正なる事実の論理は、黒人種や中国人がコーカサス人種より劣っており、彼らの知的水準を高めるのが不可能なことを示している。白人が発展するのに対して、黒人と黄色人種は劣ったままの状態にとどまりつづけなければならない。そして白人がますます高く発展していくにつれて、有色人種は人類以下に落ちぶれていくように思え、ますます野獣に近づいて見えるようになる。
~(中略)~
彼らが<理性>という特質を白人と同程度に備えておらず、彼らが独力で、その非常に低い水準から脱却するまでの発展をとげえないことは、議論の余地がない。 ”


もちろん、これは極端な例でしょう・・・と思いたいところです・・・、ただ、日本人を含めた“フン族”は非理性的な存在である、というような扱いを受けることは、けっこう現代でもあるものです。代表的なのが捕鯨の話題だったりするのですが。
で、非理性的であるがゆえに鯨を絶滅させるまで食べ尽くすに決まっている、と。

メモ垣露文

フランスの新聞で、満洲での出来事、と題されていたイラストです。
残忍である、というのも根強いんですよね。日本人から見れば、刀の形や、辮髪が実際に見て描いたとは思えないことに気付くのでしょうが。

メモ垣露文

こちらはシャム・・・現在のタイ王国の首都での出来事とありますね。
タイは仏領インドシナと英領ビルマに挟まれながら独立を保ちましたので、白人の指導を受けていないらしいですから。

メモ垣露文

左から「ムーラン」「ラスト・サムライ」「パイレーツ・オブ・カリビアン」。
ムーランの敵将は匈奴なので、フン族のイメージをこれで掴めると思いますが、日本人武士である渡辺謙も、中国人海賊のチョウ・ユンファも同じような造形がされているのがひと目で分かりますね。
これが、タフな東アジア人の固定化されたイメージというわけです。

メモ垣露文

そしてフン族の首領に率いられた野蛮人の集団に奴隷のように扱われるという恐怖と怒り、こんなところが「猿の惑星」の原点なんでしょう。
ええ、最初に書いたように野暮は承知です。