前回のイタリア擬人化で、第1回のヴィルヘルム2世の絵に描かれたメイデンたちは紹介を終えました。
19世紀から20世紀初頭までの国際情勢に影響を与えるからこそ、擬人化されて戯画となる国々はこれで全てとも言えます。
当然ながらヨーロッパ中心の視点なので、アジアやアフリカはキャラクターがまるで固まっておらず、ヨーロッパ人視線の原住民像や動物的存在で描かれてきました。
次回からの擬人化は、戯画としての描かれ方をとりあげてみようと思っています。


20世紀に入るまで他国の支配下にあり、独立を果たせずにいた国もアイルランド、ポーランドと紹介しましたので、こんどはスウェーデンとロシアに挟まれたフィンランドを紹介します。

メモ垣露文

“フィンランディア”は海と湖に囲まれた土地に立つブロンド女性として描かれます。武器を持つ場合には、剣を持つライオンの国章入りの赤い盾を持ちます。
大北方戦争、ナポレオン戦争、第一次大戦からロシア革命、そして第二次大戦とヨーロッパ全土を巻き込むような戦争に翻弄され続けてきました。
この絵で、フィンランディアに襲い掛かる鷲はロシアをイメージしています。

メモ垣露文

フィンランドは1917年に独立してからもスウェーデンとロシアの圧迫を受け続けますが、英雄マンネルへイムの指揮の下で乗り切り、多くの犠牲を払いながらも現在に至りました。

フィンランドを代表する音楽家シベリウスの「フィンランディア賛歌」です。