「カラスは案山子を恐れずに笑っているんだ。あの農夫は

         好いやつだ、奴の畑を荒らすのは遠慮しとこうって。」

            (「スケアクロウ」からライアンの言葉 )

あらすじ

カリフォルニアの荒涼とした道路でヒッチハイク目的のマックス(ジーン・ハックマン)と同じ目的のライアン(アル・パチーノ)は偶然出会う。何台か車は通ったが止まってくれない。やっと牧草と牛を積むトラックに乗せてもらい食堂に着く。


ライアンは5年間船乗りをしていてデトロイドにいる子どもに会いに行くと言うマックスは、刑務所に6年いて、ピッツバーグへ行き、洗車場を開業する予定だと言う。マックスは自分が人嫌いで信用せず喧嘩ッ早くひねくれ者だと自身を明かす。しかし、ライアンが自分と正反対な人柄であることを知り、気に入って一緒に洗車場をやらないかと誘う。当面仕事のないライアンは快く承知する。


持っているお金も限りがあり、途中少し働くことになったが、喧嘩っ早いマックスは直ぐに仕事から追い出される。むしゃくしゃしたマックスは、バーで酒を飲む。酔うと案の定マックスは、商売女と口論になったがライアンのお道化がその場を救う。その後、貨物列車に屋根に乗ったり、野宿もしてデンバーにいるマックスの妹コーリー(ドロシー・トリスタン)9年ぶりに会う。コーリーは廃品回収をフレンチ―(アン・ウェッジワース)という女性と一緒にやっていた


マックスの洗車業はビッツバーグに預金しているからで、道具代をキチンと決め、やることはすべて計画通りに順序よくやることに拘り、他人の助言を拒否した。そんなマックスは、グラマーなフレンチ―を気に入り、フレンチ―もそれに応えた。コーリーはライアンに「兄は少し抜けている」と不安を感じながらもみんなで夕食を摂る。その後、コーリーの誕生会をやるためクラブに行き祝杯を挙げる。そしてダンスをしたときフレンチ―の友達が声掛けしたことに気分を害したマックスは腹を立てて相手と喧嘩をする。警官がいて治まったが、ライアンが乗りに乗って大騒ぎしたとき、改めてマックスは大喧嘩をしたため、二人は逮捕され一か月の刑務所行きにされる。


刑務所でライアンはみんなに好かれたが、マックスは孤立していた。そんな中、ライアンは責任者の誘惑を拒否したため、ボコボコに殴られてしまった。それを知ったマックスは責任者を作業場でボコボコに仕返しをして、二人は仲良く一緒に出所することとなり、出所祝いに酒場に寄った。ライアンはマックスに「君はバカな案山子だ。」と告げる。マックスはライアンに「お前もだ。」と言い返した。それに気づいたマックスは、酒場では喧嘩をせずにおちゃらけて見せて道化を演じる。


そして二人はデトロイドの妻の家に出かける。まず家に入る前に電話をする。アニー(ペネロープ・アレン)は、驚くと共に「私は再婚した。もう会わない。なぜ、私を貧民窟に置き去りにして出て行ったの。卑怯者」と泣いて責める。そいて男の子を流産したと嘘を言う。それを聞きライアンは、ショックで電話を切る。そして公園の噴水の中に飛び込み錯乱状態になってしまう


病院に搬送されたライアンは昏睡状態でベットに横たわるだけだ。マックスは医師に「俺が世話をする。金はビッツバークにある」と通帳を見せる。マックスはライアンに向かって「俺一人じゃあ。商売は出来ん。一心同体だ」だと励ます。そして預金を下ろす為、ビッツバーク行きの往復切符を買った。


感想など

5年の船乗り生活から足を洗って元カノと子供に会いにデトロイドに行こうとする男と刑務所で6年の刑期を終えビッツバークで洗車業をやろうとする男が、偶然出会って一緒にヒッチハイクをするロードムービーである。


ライアンは、お人好しで争わず陽気で、気が弱く人を笑わせようとするおどけ者。マックスは、人間不信でひねくれており、我儘で気が強く喧嘩っ早く適応障害者とも言える。ライアンは「カラスは案山子を恐れず、笑っている。あの農夫は好いやつだ。奴の畑を荒らすのは遠慮しとこうって。」とマックスに語る。それは自分を案山子に譬えた処世訓でもあり、性格でもあったのだ。マックスは、そんなライアンの言葉は信じないが、ライアンの性格が気に入り、一緒にと洗車業の相棒に誘った。人の好いライアンは断れない。


ビッツバークに預金があるからそこで洗車業をやるとか、洗車用具の予算を計画したとか、車は必ず汚れるものだから絶対儲かるとか、マックスの夢は単純でどこか幼稚でもある。マックスは、ライアンに高圧的だったが、再度刑務所に入れられ、ライアンが牢名主に暴行された時、仕返しをしてくれた。二人が出所したて酒場に行ったとき、ライアンはマックスに「君はバカな案山子だ。」と言った。マックスはライアンに「お前もだ。」と言い返す。その後、客から喧嘩を売られたが、マックスは喧嘩相手におちゃらけて、踊りだし他の客から喝采を受ける。


事情は分からないが妻子を捨てて船乗りになったライアン。子供への仕送りはしたが5年間も音信不通の状態だった。仕送りが精一杯の誠意だったのだろう。妻が再婚していてもいいから子供だけに会いたい一心でデトロイドに行くのだ。子供に会うことが出直しのきっかけになると信じている。二人に共通しているのは、目的を果たして人生を出直すことだ。


だが、二人の目的は努力の甲斐もなく泡と消える。ライアンの妻は再婚し、子どもは死んだと嘘をつかれる。ショックのライアンは錯乱状態で入院する。そんなマックスは相棒を失うと商売は出来ない。ライアンの治療費を調達するためマックスはビッツバークに預金を下ろしに旅立つ。商売は当面先延ばしだ。
しかし、そ二人とも友情と言う別の物を手に入れる。


二人はお互いが「案山子」だと認め合う。「案山子」にはカラスを追い払う力がない。農夫は「案山子」を強さで追い払うつもりはなく、カラスを笑わせ楽しませ農作物に手を出さないで欲しいとカラスは解釈しているのだ。それはある意味逆説的な見方でもある。ライアンとマックスという、二人の欠陥人間の存在価値は、たしかに「案山子的」とも見える。この映画の観客は、二人を「カラスが笑う案山子」として見るか、畑の作物を守る「恐れられる案山子」と見るかは、見る人によって違うのかもしれない。私個人の感想を言えば、「カラスが笑う案山子」であっても、それは自傷、自虐であり、彼らにも存在価値は絶対あるのだと信じたい。


GALLERY
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タイトル (案山子と言う意味)                                     ライアンはマックスにタバコの火を付けてやるイメージ 3 イメージ 4
トラックに乗せてもらう                  マックスは洗車業をやる目的、ライアンは子供に会いに行くイメージ 5 イメージ 6
稼ごうとしたが追い出される二人               ライアンは、カラスは案山子を笑ってると言うイメージ 7 イメージ 8
デンバーでマックスの妹コーリーに会う           マックスは妹の友達フレンチーを気に入るイメージ 9 イメージ 10
コーリーの誕生日を祝う                    マックスは酒場で喧嘩をして2人は逮捕イメージ 11 イメージ 12
刑務所に入る                           ライアンは責任者に誘惑されるイメージ 13 イメージ 14
ライアンは暴行され、マックスは仕返しをする       出所して酒場に入るイメージ 15 イメージ 16
マックスは喧嘩を止めておどけて見せる          ライアンは妻に電話をするイメージ 17 イメージ 18
妻は再婚して、子どもは死んだとウソを言われる     がっかりしたライアンイメージ 19 イメージ 20
常軌を失したライアンは噴水に飛び込む          助けるマックス
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病院で見てもらう                        州立病院に転院だというイメージ 23 イメージ 24
面倒見る決心をする                      ビッツバークへ貯金を下ろしに行くマックス