髪 | 黒い羽根

そのお店は最初に靴を個別に入れるタイプで


靴を脱ぐ時に「私」はバッグの金具に髪を引っ掛けてしまい


思わず、痛っ!と叫んでしまった


店員さんが「大丈夫ですか?」と言う横で


「彼」がクスクス笑っていた


近いうちに髪を切ろうと思った


バッサリいってやろうかな



実は、数日前にもそのお店に「私」は行っていた


もちろん「彼」にはそのことは内緒


別に昨日食べていたって平気なんだけれど


そういことに、「彼」は気を使う人



会話の内容はほとんどが会社の話


今の会社の事や「私」が今どんな内容の仕事をしてるか・・・


今の仕事に不満はないけれど、


前の方が仕事は楽しかったと「彼」は話してくれた



そろそろ出ようかというタイミングで


「私」は少し意地悪な事が浮かんで


「彼」に「彼女」の写真はないのかと聞いた


「彼」は少し困った顔をしたけれど


バッグから取り出して見せてくれた


それはまだ「彼女」が元気だった頃


二人で撮った写真


「私」が見せろと言ったのに


「なんでこんな写真見せるの?」と言いたくなるくらい


楽しそうな写真だった



靴を履くとき、髪の毛に気をつけながら


髪の毛をもう少し伸ばそうと思った


なぜなら、写真の中の「彼女」の髪は


「私」より少し長かったから



「私」の時間はまだ止まったままだ