☆『中国伝来の龍は権威のシンボルとして帝王が独占し、覇権を誇示して威嚇の形相を呈していますが、大森一生の『百龍』は万人が心の奥に抱懐している各自各様の希望の象徴です。』(ご案内はがきより)

 

(画像は、ご案内はがきより作品の一部です。)

 

☆氏の没後、ご子息様である大森 東亜氏が『大森一生 登龍画〜登龍百態展』を当画廊で開催されたのは2012年1月のことでした。色紙大に描かれた伸びやかで様々な姿態の龍・100枚! 一番から百番まで通し番号の順番通りに、1階会場と2階会場の壁面に無事に展示し終わった時は、ホッ!個展会場を訪れてくださった方にも『これまでの龍のイメージが変わった。』『あたらしい詩が浮かんだ。』『良い年になりそう。』と大好評。

 

☆大正11年に処女作の戯曲。その後、戯曲集『幻想時代』も刊行され、雑誌の表紙画などでも活躍された一生(劇作家のときには眠歩)氏。今からちょうど6年前の2014年5月13日から18日には、銀座清月堂画廊で幻想的な大作の油彩作品を中心にした大回顧個展【生誕115年 大森一生展 明治・大正・昭和・平成を生きた幻想世界】が開催されました。

 

・国立国会図書館 大森 眠歩 1899〜1995

・画集 国立国会図書館サーチ

 

☆回顧展にあわせて記念画集を刊行。従来とは異なる発想と視点から制作をしている方に序文を・・・ということで、現代画家・山口晃さんにお願いしたいということになりました。『実際の作品を直接見てから、序文を書きます。』とのことで、急遽、搬入日と搬出日の間に2階に展示セッテイング。油彩100号の大作を含む数点(7点位だったと思います。)東亜氏とスタンバイ。当代きっての人気画家・山口晃さんのお出ましを、ちょっとワクワクしながら椅子を並べ、皆で待ったことも懐かしく思い出されます。

 

・コトバンク 大森 眠歩

 

 登龍百態によせて(画作者 大森 一生のことば)

 

 中国で発言され、現代の日本でも登龍の文字は生きていますが、各年代の美術史上有名な龍図を探索しても純粋な登龍図は見当たりません。従来中国伝来の龍は権威のシンボルとして専ら帝王がこれを独占し、建築、家具、武具、衣類に至るまで、この形態を利用し、絵画の構図などは上部の雲間から斜めに顔を出し、俗言の八方ニラミとやらで視界を睥睨し、覇権を誇示し、威嚇の形相を呈していますが、大森一生(画鬼)の登龍は万人が心の奥に抱懐している各自各様な『希望』の象徴であって高圧威憤の顕示ではありません。

 

 因みに、洋語の『ドラゴン』は、漢字で龍と訳されていますが、中国伝来の龍は西欧各民族の英雄から悪魔の化身扱いで退治される怪獣とは全く異質な超能力を完備した霊体であって農耕民族たちのあいだでは生活を助け守ってくれる偉大な守護神として尊崇され畏敬されていました。

 

 科学が発達して月の表面にも人間の足跡をのこしている昨今でも、遠洋航海に出る船員たちは自宅でも船中でも、目に見えない龍神さまに合掌しているとか。

 

   小生の登龍は『希望』の象徴です。

 

 (文責 ギャラリー銀座 旧運営者 岩井)

 

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