☆画像でイーゼルにある木版画の作者が、中村 寛(なかむら ひろし 画号かん)氏。個展が開催されたのは開廊して初めての秋、1997年の11月のことでした。

 

☆ご案内の葉書の作品には【民宿桔梗屋】『木曽路はすべて山の中である。』(島崎藤村・夜明け前 序文)梁に特徴のある、木曾・馬籠の宿を題材に。

 

 

☆壮年の頃は、沖縄国際海洋博覧会(沖縄の海洋博)の開催・運営にも尽力なさったという中村氏。会期中には、近くにあった会社の方もひっきりなしに足を運んでくださいました。(社内報の取材も。)来る方ごとに『私のは趣味で・・・。』と謙遜していらっしゃいましたが、直接には知らない方にも口コミで広まって連日大盛況。

 

☆『文字を反転させるのは、難しいのではないですか?』 『だからこそ、楽しいのです。刷った時、刷り上がった時にも、より楽しさが増します。』

 

作中の言葉は、詩人でもあり、翻訳家・絵本作家(スイミーななどでも有名)の谷川俊太郎氏の『ことばあそびうた』から(以下一部抜粋)

 

 なんのきそのき そのきはみずき
 たんきはそんき あしたはてんき

 なんのきこのき このきはたぬき
 ばけそこなって あおいきといき

 

☆少し背をかがめて、じっと木版画をのぞき込んで見ていらっしゃった男性が、おもむろにガラス扉を開けて・・・『むしゃくしゃしていたけれど、なんだかすっきりした。今日この道を通って良かった。』(私が画廊の中から『詩はオリジナルではなくて、谷川俊太郎さんの詩です。』と、お話させていだだくと、)『詩だけじゃない力をもらった。これを作った人は、きっと苦労した良い人だね〜。ありがとう。』

 

☆不思議と何人もの人が、全く同じことを、この作品で語られた(リーマンショック後の)2008年の秋のことも、懐かしく思い出されます。

 

 

(文責 ギャラリー銀座 旧運営者 岩井)

 

 

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