米国主要新聞の社説・論説を日本語で伝えるブログ

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クローバー ギャラクシーレポート は、米国の主要新聞12紙の中から皆様のビジネスや研究にとって重要と思われる記事を選別、その要旨を分かりやすく日本語に纏めて月曜日から金曜日まで発行しております。
   
このブログでは、特に皆さまにお伝えしきれなかった社説・論説欄の抄訳を中心にご紹介します。

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The Other GM Bailout


 過日オバマはデトロイトに出向きGM(米ゼネラルモーターズ)の赤字脱出祝いで広言を吐いた。自動車労連が民主党の票田であることは論を待たないが、ここでオバマは胸を張ってGM復活は政府の救済によるものではない、と褒め上げた。2008-2009年にかけてのGM破綻への政府救済は反対者から見れば自動車労連への梃入れとなるからでもあった。
 
 この時点での救済額に隠されていた数値に関しては過日本欄が社説として精細な数字を提供している。だが今週のオバマの広言を聞くにつれ、更に指摘する分野が出てくる。現在の税法では企業が赤字を重ねると、それを次の年度以降に繰り上げ、そこでの利益への損金として利益への課税を免除される。GMは同時に450億ドルの赤字を計上しており、これは総資産180億ドルに対する異常な巨額である。そして通常ならば、企業はこれを将来の節税につなげられるのだが国税庁の規制382号により、当該企業の50%以上の株式が他者に渡ると、その得点を喪失する。倒産の場合もこれに相当する。ところが例外があり、連邦政府が保有する株式に関してはそれが適用されない。
 
 オバマ政府はこれを利用し、GMの債務60%を政府保有株式に替えたものである。そしてもう1つの大株主は自動車労連であった。GMとクライスラーに国民は既に810億ドルという巨額の税金を投入している。そのこと自体がフォードをはじめ他の自動車会社への不公正な競争となるのだが、ここに記した隠れた税制優遇措置も巨大である。このような税制特典を市民の税負担と公正に比較してみるべきだ。 
 
 
(2/29/12,WSJ/A20)

ワシントンタイムズ


Obama doubles down on windwmills

 
 オバマは法人税の低額維持を条件に、法人税制上の抜け穴封じを表明した。例によって彼によるショーのようなものだ。翌日、オバマは大統領専用機でフロリダに飛び、ここでの学生相手の演説で環境優遇政策の一翼である風力発電推進を強調したばかりか、風車産業への特例税制を発表したのである。
 
 この措置を正当化するために、オバマは今日のガソリン価格上昇の責任者として、伝統的エネルギー産業、石油業界などをさらに悪役に仕立て上げる。「1世紀に及ぶ石油産業への助成はもう願い下げにする時に来ている」という。だが裏を返せば彼が熱をあげる環境産業である太陽光発電、風力発電への優遇助成をさらに推進するということである。
 
  これらをクリーンエネルギー産業などと呼ぶが、経済原則からみれば決して化石燃料産業のような合理的利益を生み出すものではない。そこに税金を投入して政治的に存命させようとの彼の政策である。
 
 オバマによる一連の法人税体系改革には抜け穴がある。そして、これは彼の推進する産業への特典となる事態であることを既に連邦下院委員会は指摘している。オバマの税制改革で実際に生まれる歳入は40億ドルというが、これは連邦政府支出の微々たる割合でしかなく、実質経済に裨益するものではない。それと引き換えに彼は贔屓筋の産業への税金による優遇を推進する。
 
 本来ならば誰も買わない電気自動車などの購入に補助金を与えるのもその一つ。シボレーの電気自動車ボルトを購入すると1万ドルが税額控除される。包括的にして公正な法人税全体の見直し、改革が緊要である。
 
 
(2/24/12,WT/B2)

ワシントンポスト



The US-Israel trust gap


 数ヶ月前となるが、パネッタ米国防長官イラン核施設攻撃反対議論に疑義を呈したことがある。イランを喜ばせるだけの発言に見えたからだ。ところが今度はそのパネッタが、「イスラエルが4月から6月にかけてイラン攻撃を実行する可能性がある」と発言する。混乱の極みだ。オバマ政府の立場は、イランの核開発は未だ論理的段階にあり、現在の経済制裁や国内の民主化運動を応援するなどで、イランの核兵器開発は抑制され、同国を思い留まらせる可能性がある、というものだ。
 
 だがイスラエルにしてみれば、ミサイル到達至近範囲のイランが核兵器製造技術を理論的に持てるということは、かつてインドやパキスタンがそうであったように、瞬時に現実の脅威になりえると判断するのも当然であろう。なにしろ、イランとはイスラエルを地図から抹殺すると公言してはばからない国なのだから。
  
 我が紙は基本的にはオバマ政府の現在の立場を支持するものだが、イスラエルの懸念も理解する。オバマ政府はまた、イランの核開発が核兵器製造に踏み込むとの時点に至れば攻撃というオプションも取るとも表明している。核燃料濃縮を今以上のレベルに引き上げることなどを指している。
 
 だが問題は米国とイスラエルとの間に認識ギャップが増大していることだ。イランは現在、開発施設移転を推進中だ。新たな施設は山中の地下深くとなり、イスラエルの選択肢である航空攻撃では破壊が不可能となる。また米国はある時点に至れば攻撃も辞さないというが、イスラエルの判断する時点との整合性が見えない。中東における最重要同盟国との信頼関係の回復は米国にとって焦眉の急であろう。
  
(2/15/12,WP/A16)

ワシントンタイムズ


  

Obama's dire second term-pitch
  

 オバマの新年度予算案とはすなわち、オバマが再選され2期目となった場合に発生する経済状況である。すなわちより大きな政府、増税、国家赤字の深刻化だ。毎度のことであるが、オバマはこの国の財政赤字悪化を全く意に介さない。彼の1期目終了時には財政赤字が60%増大し6兆4000億ドル、国家累積赤字は25兆9000億ドルだ。この額は許容できるものではなく、彼が大統領職を続ければ続けるほど我が国が破綻の淵に近付く。
  
 それにもかかわらず、彼は次々と大型支出政策を打ち出す。彼の言う4兆ドルの赤字削減とは絶対数値ではなく、増大分が4兆ドル減るとのトリックである。予算案を見ると数千億ドルが道路、路面電車、高速鉄道などのインフラ整備、さまざまなグリーン産業育成などに費やされる。
   
 増税も目覚しい。まず、中小企業への法人税を35%から39.6%へ引き上げる。そして、投資意欲を減衰させるかのごとく投資利益税を15%から43.4%に引き上げる。これは増税というより、もはや懲罰と呼ぶべきだ。キャピタルゲインも同様に15%に替わり23.8%課税される。
   
 支出で現在最重要問題とされるのが医療保険給付、社会保険給付である。この取り組みでは支出構成に手を付けることなく、高額所得者への増税や掛け金支払いを法人に押し付けるなど場当たり的な対症療法以外には何も見当たらない。かかる増税や対症療法を共和党どころか、民主党でも心あるものは受け付けない。オバマは選挙公約で「1期目終了までに赤字半減」を唱えた。これは現在雲散霧消だ。
  
(2/14/12,WT/B2)

ニューヨークタイムズ


Second-Class Commuters
   
 連邦議会が妙な立法を推進している。これを放置すると公共機関で通勤通学する人々への課税が昂進し、今年で言えば270万人が年額550ドル増税されることとなる。
  
 本来政府は通勤者たちにマイカーまたは公共交通機関の利用の区別無く月額230ドルを所得から非課税対象としていた。ところが駐車場料金やガソリン価格が上昇するということを理由として、マイカー通勤者への控除を240ドルまで引き上げると議会は言う。それとは逆に駐車場もガソリン代も関係ないとして公共交通機関利用通勤者への控除は125ドルに引き下げられる。これらの人々にとっては大損だ。
 結果は明瞭だ。SUVなどの大型車を1人で乗り回す者が増える。事によると公共交通機関利用の負担に耐えかねて、車に相乗りする者が増えるかもしれない。すると公共交通機関の運営はさらに苦しくなり、今後の発展どころか、維持管理にまで影響が出よう。他方マイカー使用者は増大し、環境やエネルギー消費問題にマイナスとなるのは明らかだ。
   
 我がニューヨーク州は全米一の通勤、通学人口を抱えた州である。もう一つの側面がある。これまで経営者、雇用主は助成金制度により人事や経営上の優遇措置を受けていたのだが、公共交通機関利用者の数が減ればこの特典もご破算となり、ことに零細企業の経営は苦しくなる。連邦議会の進める立法は全くマイナスだらけではないか。
   
 我が州からは上院にチャック・シューマー、下院にジム・マクガバンと2人の民主党議員が本件に真剣に取り組み議会の暴走に歯止めをかけようと努力している。
  
(1/9/12,NYT/A16)

ロサンゼルスタイムズ


In L.A. County: innocent but in jail
   
   
米ロサンゼルス群監獄内部で囚人が担当官に暴行されているとの申し立てが問題になっている最中、ロサンゼルス・タイムズ紙による調査結果は、ロサンゼルス郡が過去5年間に1400人の無実の市民を監獄にぶちこんでいた事実を示すものであった。
  
 ある者は数日だが、中には数週間に及び幽閉されていた者もある。そしてこれら全てが警察側の失態により発生していたにもかかわらず、彼らの抗議は無視され続けていた。前科のないある建設労働者は、無実の逮捕による投獄の結果、監獄内で暴行にさらされていたのに、担当官はこれを無視し続けていた。また別のケースでは、身分証明書を兄弟に盗まれてしまい、その事実を既に裁判所で証明されていた人物が投獄された折りに、「ポケットに入っている裁判所の証明書を見てくれ」と懇願したが、担当官に無視されていた。既に指紋押捺により彼には犯罪歴がないことが明確になっていたにもかかわらずである。
   
 
かかる事実をロサンゼルス郡保安局のリー・バカ保安局長にぶつけると、局長は刑事執行規則が忠実に守られていないことが悔やまれると言う。問題はロサンゼルス郡に限定されたものではない。カリフォルニア州全体に瀰漫した問題なのである。ロサンゼルス郡刑務所の収監者には他の郡から送致された者も多数いるが、彼らが移送されてきた折の手続きは書式で決まっている。だが、規則が厳守されておらず、その結果多くの他郡の逮捕者にも無実の者がいる。
 
リー・バカ保安局長は現在、本件の対応方式を調査中だという。バカな事を言っているときではない。官憲が規則を守れば良いだけではないか。直ちに彼ら自身の作業を厳正化すべきである。
(1/3/12,LAT/.com)

  
America as Number Two

  
  
  アメリカに充分な雇用が発生しない理由の一つは、アメリカがもはや充分な雇用主を生み出さないからである。新規上場企業数に関して絶望的であった2010年に続き、2011年においても大方の期待に反して、新規上場企業数が少なかった
ことをウォール・ストリート・ジャーナルは報じた
これで3年連続でアメリカは
新規上場企業数において香港の後塵を拝したのである。
    
 香港ではその結果、集めたお金が310億ドルである。更に付言すれば、香港は中国の一部であるが、その香港を抜きにしても中国本土は総額で410億ドルの資金を集めているのである。その総額は米国のニューヨーク株式市場とナスダック店頭株式市場が併せて集めた数字に等しい。
   
 一体何が起こっているのか。アメリカの問題はサーベイン・オックスフォード法(SOX法)の会計監査
規制などによる抑制が障害となり、新規企業の誕生、上場という道が阻害されている。
  
 米国株式市場の冷え込みに関しては欧州経済の不況を理由にするものもある。ならば、ロンドン株式市場における昨年の新規上場数が前年比27%増しとなった事実をどう説明するのか。ロンドンでは2012年にはさらに増大するとの予測がある。
  
  フェイスブックなどに象徴される革新的でクリエイティブな企業の誕生といった特色を強調する向きもあるが、アメリカのより根本的問題は、上記法案などのような政府の干渉、規制によるところが大きい。米共和党大統領候補者の1人であるギングリッチ氏は本件に関し、障害となる規制の撤廃を主張するが、これは極めて重要な指摘である。

(1/3/12,WSJ/A14)

ニューヨークタイムズ


Iran and the Strait
  
  
 イランが、欧米が新たな経済制裁を同国に行使すれば、世界の原油5分の1が通過するホルムズ海峡を封鎖すると宣言した。これを許容することは出来ない。イランへの制裁は、5年越しの国連決議への違反に基づくものであり、同国は最近の調査でも明らかなように、核燃料濃縮、核兵器爆発のコンピューターモデル作成、運搬手段の開発などを強行していることによる。
   
 国連決議に基づき、米国はイランとの経済取引を行う海外企業への制裁を発表しているが、更なる国連決議を行使し、イランの中央銀行と取引する業者への制裁を発表した。イラン産の石油を輸入する場合の代金支払いはイランの中央銀行を経由するため、これはすなわちイランの石油取引禁止という制裁内容になる。
  
 ところがこの米国の制裁勧告をロシアと中国のサボタージュが妨害しているのだ。これに対してイランが、上記の如きホルムズ海峡の封鎖発言をしているのだが、米国は断固これを排除する決意だ。80年代のイラン・イラク戦争の渦中にあっても米国海軍はこの海域の航行を保障して、原油の通過に事なきを得ている。米国第5艦隊広報官は、「海軍は国際法に基づく航行の自由を侵させない」と発言、今回のイランの発表においても、世界は平静で原油価格の暴騰も発生していない。
  
 イランの行為は明らかな国際法違反であり、核開発は国連決議違反だ。かかる無法な行為を行う国が、核兵器、運搬手段を持つことが如何に世界の安定を侵すことになるか、ロシア、中国も国際社会のメンバーとして大所高所から対応すべきであることは論を待たない。 
  
(1/3/12,NYT/
The International Herald Tribune)

シカゴトリビューン



8.8billion hours
   
 切り抜きや資料がデスクに堆積している。「直ちに処理」と分類されているものだ。それどころではない、実は「緊急処理」分類となっている。米国人の全てが頭を悩ます連邦政府に義務付けられた書類処理、報告作業である。
 
 連邦下院はこのような作業が2010年度中に米国人に88億時間を消耗させたと報告する。気の遠くなるような数字だが、それでも救いはその前年の消費時間が98億時間とあったことだという。だがこれも気休めにはならない。時間が減ったのは単に、数字の計算方式を変えたことによるものだからだ。
   
 多くの米国人はこのような作業、ことに納税申告などにかかわる書類でも非課税対象計算など、後回しの聞くものは赤色ファイルなどに入れ、引き出しの下に、「いつかやればよかろう」と溜め込んでいる。ところが税務処理方式が変えられ、年限制限ができたことにより、今年はこれを掘り起こして処理せねばならず、さらに膨大な時間の消耗が強いられそうだ。
 
 オバマはこれに触れ、「不必要にして時間と費用を消耗する書類義務を減らす」と公言した。その言語はよし、しかしながら連邦規制官庁は一向にこれに対応していない。掛け声だけであり、あたかも歯医者が「次に来るときは痛みを和らげて処理するから安心しなさい」と言うようなものだ。
   
 実体は悪化している。経営者が新規雇用を創生することで得られる特典への申請には新たに7000万時間を要する書類作成が追加されている。レストラン経営者は、FDA(食品医薬品局)
の規制で料理の栄養価分析の添付を義務付けられ、これに1450万時間の消耗を迫られている、といった具合だ。
  
(12/31/11,CT/16)

ニューヨークタイムズ



Buckle Up on Busses
   
  
 主流の路線バスに対して、道路脇から発着する(チャイナバスに代表される)長距離バス事業が盛んである。事故を起こしたり違反を犯しても、社名とオーナーを変えてカメレオンのように再登場する。問題はこれら格安バスによる事故発生率が主要ターミナル・ベースのバス事業の7倍に膨れ上がっている事実だ。
   
 経済不況で生活苦にあえぐ人々に安価なバス・サービスを提供することに異存はない。だが価格競争を追究すれば、安全保守や運転手の待遇にしわ寄せが来るのは必定だ。
  
 昨年はニューヨークでカジノ帰りのバスが大事故を起こし、15人の死亡28人の負傷が発生した。運転手は殺人罪で起訴されたが、事業主は同業他社に事業を移転し、今日も同様のコンディションでのサービスを継続している。
 
 以降今日まで全国でこの手のバス・サービスは159の事故を起こし22人の死者を出している。なぜ安全性が本格的議論になりえないのか。実は数年前にバス座席にシートベルト装着を義務付ける法案が提出された経緯があるのだが、法案は多くのロビー攻撃を受けて潰されてしまった。
  
 多くの事故報告を見ると、乗客が座席から放り出された結果の死傷発生であることは明快である。シートベルトにより座席に固定されていれば助かる確率は高い。
  
 現状を重視する議会関係者もおり、超党派の有志議員らが新たにシートベルト装着義務化法案を出した。これにはしかし屋根や窓ガラスの強化、運航上の規則強化などが付帯している。また他の交通法案と抱き合わせもされており、通過の見込みはない。事は重大である。議員たちは他方案との抱きかかえを止め、それぞれの選挙民の安全性確保に本気で対応すべきだ。 
  
(12/26/11,NYT/A24)