オススメ度:★★★★☆

 

この小説、何度読んでも元気が出る。じわっとあったかくて、優しく染み込んでくる。

ちょっと呆れながら、肯定してくれる田村さんがすごく心地いい。

そう、もさ苦しいはずの田村さんが、どんどん魅力的に見えてくるんです。

 

 

あらすじ

いろんなことに煮詰まってしまって、山奥の民宿たむらで大量の睡眠薬を飲んだ私。

ところが、2日後、爽快に目覚めてしまった。

死ぬ気がすっかりなくなってしまった私は、そのまま豪快な田村さんの営む民宿に滞在を続ける。

自然豊かな木屋谷で、土地の食べ物を食べて、散歩して、星を見て、釣りをして、賛美歌を歌って。

たくさんのことを経験しながら、ゆっくりと自分と向き合う私と、のんびり見守ってくれる田村さん。

秋も深くなってきた時、私はある決断をする。

 

 

 

以下ネタバレ含みます。

 

恋人にはならないふたりの距離感がそれでもゆるーく近くなっていくのがまたいい。

 

最初、主人公は名前が分かってもただ男と呼んでいたのに、ある時からいきなり田村さんになる。

そして最後には、田村さんが教えてくれたことを思い出して、胸が苦しくなる。

木屋谷で生きていけたらどんなにいいだろうと、思うようになって、田村さんに悲しいですかと詰め寄る。

 

ずっと主人公目線なんだけど、途中田村さんの思いが垣間見えるところもある。

「いや、あんたってかわいいなぁ思うて」

「背もちっちゃいし、何や顔かてつるんとして小学生みたいやし、ほんで発想も子どもやし」

 

そんな中で、劇的でないのに、最後のシーンがすごく胸に刺さる。

主人公は勝手に来て勝手に癒されて勝手に自分の場所に帰っていくけど、田村さんのほうはずっと同じ場所で、また取り残されてひとりになる。

 

田村さんのほうの喪失感は、どれだけなんだろう。

マッチを、どんな気分で入れてくれたんだろう。

 

あーふたりとも幸せになってほしい。。

 

 

次の一冊(一本)は「しあわせのパン」。映画です。

りえさんとこの主人公、キャラは違うけど重なります。

 

http://ameblo.jp/galaxy----galaxy/entry-12249100570.html

 

 

 

 

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