小さな頃、人形遊びが大好きだった。
髪を編を編んだり
時には切ったり
お洋服を作ったり
当時ほとんどの同級生が持っていたリカちゃんハウスも私の場合は自慢のダンボール。
その部屋にはちゃんと布のカーテンがテーブルクロスとコーディネイトされていて、一歩部屋に入ったら出来合いのものに負けてはいなかったと自負している。
クロゼットに詰まったたくさんのお洋服も自慢だった。
そんな私が始めてビスクドールに出会ったのは小学生・・・まだ小さかった頃。
家族で出かけたものすごく貴重な思い出の中のひとつ。
と言うのも家業の定休日は火曜日、学校の休みは日曜日。
祭日が火曜日に重ならない限り家族揃って出かけることが不可能だから・・・
新しいカレンダーをもらうと真っ先に祝日の赤い数字が火曜日にないか探していた。
貴重なその日、私たち家族5人は東京のデパートにお買い物に出かけた。
たぶんお誕生日とクリスマスと、なんか全部まとめたプレゼントDAYだったのだと思う。
私と、弟、妹の三人それぞれが決まった金額分の好きなものを買えると言う趣向だった。
その金額が最高に生かされなくてはいけないセンスの見せ所・・・
一番先に見つけたのが「マルセル」と丁寧に手書きのカードのつけられた古い人形だった。
すッごい物を見つけた興奮で有頂天だった私に両親が困った顔でひと言。
X24回払い・・・
ならくのそこに落ちた私の気持ちはその日蘇ることはなかった。
弟と妹のショッピングにふてくされながら付き合い、
もういちどだけ両親を説き伏せようと試みるものの願いは叶わず・・・
結果、何も手にすることなく意地を張り続け手ぶらで岐路につく。
私を夢中にさせた「マルセル」が何者なのか?
手を触れてはいけませんの注意書きを無視して触れたその服は繊細なレースで縁取られていて小さなカメオのような飾りをつけていた。
しんとくる重量感、きちんと身に着けた下着にいつも遊んでいる人形にはない緊張を感じた。
ブロンドの髪は細くて柔らかくてすぐに絡みつきそうだった。
只、その頃の私にはそれを調べる手立てが見つからずにその興奮はいつの間にかどこかに行ってしまったようにみえた。
中学生になって学校の図書館を利用するようになって再びめぐり合う。
「マルセル」と言うのがドイツの人形作家の名前であること。
妙な重みはビスキュイ(2度焼きした高級磁器)の重さだったこと。
19世紀のはじめにフランスで生まれ、社交界の貴婦人たちのために、8頭身のファッション・ドールとして作られたのが、ビスク・ドールの始まりだと言うこと。
上流階級のレディーたちが自分と同じ服のミニチュアを着せて抱いたり歩いたり、オートクチュールの小さなマヌカンとしてヨーロッパ中の宮廷や貴族の人々の注文を取るため、国境を越えたりして愛されたファッションドールがルーツであること。
その後、19世紀中頃の、上流階級の少女の遊び相手として、BeBeと呼ばれる、ビスクの頭部を持つ5頭身くらいの抱き人形が誕生。
私が出会った「マルセル」はたぶんこのBeBe。
そしてこの度であったのが「La vie en Rose」
知姫さんの創作するビスクドールの中のリトルレディシリーズ。
私が今回いただいたのが3日前に届いたばかりの上の写真の可憐なリトルレディ
手のひらにすっぽりずっしり収まる、小さい頃に遊んだ人形とはまったく別の趣を備えたリトルレディ。
なのに、着せ替えのお洋服が2着用意されていて早速着替えたり髪をアップにしてみたり・・・
なんだか同じ事をしているよう・・・
3つ子の魂・・も、こんなときに使うことばだっただろうか?
透き通るような白い肌にほんのり赤みをさしたほほや生え際の無垢な表情に触れてうっとり。
19世紀、あの頃の貴婦人たちがきっとしたように滑らかな肌にそっと触れてみる。
自分の分身を作るように・・・
ドレスの裾上げで切り落としたベルベットで彼女のドレスを作ろう。
手首に会うように取り除いたブレスレットのビーズでペンダントを作ろう。
ほんの少しだけあまった毛糸で冬の支度。
とにかく、楽しくて仕方がない。
うまく言い表せないのがもどかしいぐらいに
ものすごい楽しみを見つけてしまった・・・