淡路島手にとる近さ櫻貝 田畑美穂女
犬を飼う 飼ふたびに死ぬ 犬を飼ふ 筑紫磐井
灰色の象のかたちを見にゆかん 津沢マサ子
うぐいすのケキョに力をつかふなり 辻 桃子
昼寝などしてゐるうちに逃げられし 辻田克已
オルガンのペダルを踏んで枯野まで 対馬康子
かくれんぼ三つかぞえて冬となる 寺山修司
切株は じいんじいんと ひびくなり 富澤赤黄男
立泳ぎして友情を深うせり 中尾寿美子
春の日やあの世この世と場所を駆り 中村苑子
春落葉いずれは帰る天の奥 野見山朱鳥
遠くまで行く秋風とすこし行く 矢島渚男