『 通常では、漢和辞典にもない「読めない漢字」を当てて、赤ちゃんの名付けをしているのが、地方新聞に見られます。それに、”た”の呼び名の字体、昔からの「太」の字体を使用せず、「大」or「汰」が流行して来ていますが、これらの違いを承知の上で、遣い分けしているのでしょうか?』
地元の地方新聞(日曜版)には、「満1歳になった赤ちゃん」を写真入りで、84人分の「誕生日・氏名(ふりがな付)・保護者名・一口コメント」が毎週掲載されています。
本日の赤ちゃんの名づけに気付いたことは、毎週も同様ですが、常識的には考えられない読み方がありますよ。
(苗字は省略して、名付けのみ)
★読めない名づけ?・・・「緋咲(?)」「葵心(?)」
(※「緋咲(あかし)」の「咲」を”し”とは読めない。「葵心(りこ)」の「葵」を”り”とは読めないし、漢和辞典にもない。)
★「太」と「大・汰」との違い?
「陽太(ひなた)」と「陽大(ひなた)」、「瑛太(えいた)」と「瑛大(えいた)」、その他「鈴太(れいた)」「駿太(しゅんた)」「蒼太(そうた)」「敬太(けいた)」があり、男児43人中・・・なんと8人も「○○た」の3文字呼び名ですが、「た」を「太」を使用せず、2人が「大」です。将来は郵便物でも「太」として記載される間違いが多くなるでしょう。
また、最近では、”た”を「汰」の使用が増えてきています。
先週の新聞では、「颯汰(そうた)」「駿汰(しゅんた)」などがありましたが、同じ”た”でも「太」「大」「汰」の違いも心得ていないように思います。
≪漢和辞典からの違い≫(「新・漢語林」より)
★「太」・・・①絶対的に大きい「太陽・太極・太古」など。②年長・長上に対する尊称で「太郎・太公・太子・太君・太医」など。
★「大」・・・比較的大きい「大国・大木・大学・大義・大兄」など。
★「汰」・・・①濁る(にごる)②大波 ③奢る(おごる)④甚だしい ⑤通り過ぎる ⑥洗う ⑦よなげる ⑧潤す など。
どうですか、皆さんの男児のお子さんの名づけに、同じ”た”の字体であれば、上記の「太」「大」「汰」のどれを使用するのが良いか判りましたね。
「○たろう」と名付ける場合、平安時代から武家の通称名に使用されてきた「○太郎」なのか、或いは最近流行の「○大郎」or「○汰郎」なのか、いづれを選択しますか? やはり、「流行するもの・・・必ずしもベストならず!」ということ、肝に銘じてください。「濁る・奢る」意味がある「汰」を使用したら、学がない親だと、恥をかきますよ。
仮に、民話「桃太郎」を、僅か1字にサンズイを付けた「桃汰郎」にしたら、正義感からの鬼退治が、「売名行為の”奢る心”からの鬼退治」になり、理想的な男児に成長して欲しい・・・という子どもたちに教える民話が成り立ちませんよ。
とにかく、わが児の名づけのときぐらい、図書館に行き、漢字の意味を調べてください。単に人マネで流行字体を追うと、画数配列が良くても”短命”なったり、”知能”に優れず、将来”犯罪者”になるケースだってあります。
決して、オンリーワンの名づけが、ベストの運勢にはならないのですよ。
毎日のニュースを見てください。
毎日のように、幼児や青少年が交通事故で死亡したり、殺傷事件の加害者・被害者が報道されていますね。でも、産れたときは「健康で賢く、人に優しい子に成長しますように・・・」と両親がいかに”願いを込め”ても、現実に全国ニュースで事件事故死は絶えませんでしょう。
いいですか、「子どもへの愛情とか願い」は必要ですが、それだけでは現実論ではないのです。決して、人マネせず、あなたの家庭(苗字)に相応しい名づけをしてください。ご自分で図書館に足を運ぶ労力を惜しんでは、「子どもへの愛情や願い」は実現しませんよ。ご先祖が、天国から「この児には、どんな名づけになるのかな?」と楽しみにしておられますよ。
それが、例えば「健汰(けんた)」では、「健康を、奢り(おごり)高ぶる児」に名付けては、ご先祖はガッカリされますよ・・・。