ハンガリー弦楽四重奏団 | 弦楽器工房Watanabe・店主のブログ

弦楽器工房Watanabe・店主のブログ

弦楽器工房での日々の仕事の話について気儘に書いています。

音楽と趣味のブログはこちら⬇️
https://ameblo.jp/aoba-strings


ハンガリー弦楽四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集。1953年、パリでのモノラル録音。

しばらく封を切っていなかったCDで、実はまだ第1番ヘ長調を聴いたのみです。
不勉強にも、室内楽の方面で名高いハンガリーSQの演奏自体を聴いたことがなかった。昔から鑑賞の比重が管弦楽と器楽(ヴァイオリン、ピアノ)、あと声楽に偏りがちで、その中間に位置する弦楽四重奏には未知の作品、奏団がまだまだ沢山あります。
ベートーヴェンの四重奏全16曲はたやすく聴き通せる量ではないし、内容から言っても一日に精神を集中させられるのは3、4曲が限度。慌てずゆっくり聴くのが良いだろうと思っています。
二種あるというハンガリーSQのベートーヴェン全集の旧盤にあたり、一応世間の評価もこちらのモノラル盤が高いようです。第1番を聴いて先ず、非常に精神力の強い奏団だなと直感しました。アンサンブルの精錬と、4人の意思の統一感がまったく素晴らしい。そのすぐれた機能的な動きが独り歩きしないで、骨のある深い音色、曲本来の情感と一体になっているのに驚かされます。私の好みもあるでしょうが、アマデウスやレーヴェングートよりはよほど清潔な気風を保った信頼感のある演奏だと思いました。

それにしても、近頃の歴史的録音のボックスCDはちょっと安すぎはしないか。7枚が昔の廉価盤1枚程度の価格で手に入る。消費者としての単純な喜びの半面、何か、昔のすぐれた芸術の価値が貶められたような心淋しい気分にもなります。