「ねつ造の科学者」を読んで、学とみ子なりに考えることを当ブログに書いている。
著者の須田氏がなぜ、笹井氏らの説明や弁明より、ねつ造論を推進する遠藤氏や若山氏が真実を語る人達であると判断したのか?
 
須田氏は、両サイドから、さまざまな話を聞ける立場にあったのだから、双方の対立点を相互に見比べながら、STAP記事を書けなかったものか?
 
理研がすぐ、遺伝子解析に踏み切らなかった理由は何か?を、須田氏なりに掘り下げてみても良かった。
さらに、ねつ造派学者の強引で狂信的な行動は、”知識人たる行動”を逸脱している!なぜか?と須田氏が感じてもよかった・・・と思うのである。
 
マスコミがSTAP事件を論じる時に大事なことは、象徴的で特徴的な出来事はどれか?を選び出す作業だろう。
 
残念ながら、須田氏には、過去に似たような学者たちの抗争事件を取材したことがないだろう。
だから、ねつ造が疑われた人と、逆にねつ造を画策した人の両視点で、STAP事件を取材する事ができなかったようだ。
学者の不正行為をマスコミが暴露する!との武勇伝やら正義感やらに、須田氏がとりつかれてしまったのだろう。
 
STAP事件に見られた特徴的で奇異的な出来事は、次の2点ではないか?と思う。
1)共著者の一人(若山氏)が自ら、発表後すぐ論文を否定し、マスコミ(須田氏)を使って、STAPねつ造論を披露した事、実際に世間でねつ造論が固まった後は、若山氏は一切のコメントを止めたこと。

2)分子生物学会幹部が、論文ねつ造を決めつけて、なりふり構わず理研の正式解析をせまったこと
 
!)に記したように、若山氏の行動があまりにおかしいと須田氏は感じても良かったと思う。
論文発表後の2か月の間で、若山氏の対外的態度はめまぐるしく変わったのだ。
この時期の若山氏と須田氏は、直接、会いまみえながら、須田氏は、若山氏の顔色の悪さ、躊躇する様子をまの当たりにしている。
 
発表後初めて、若山氏がねつ造疑惑に気づいたそぶりをしているのだが、実際には、若山氏の変心はもっと前である。こうしたギャップは注目すべきことなのだ。
 
論文発表のかなり前から、論文撤回を意図していたのではないか?と思える行動が続いていたと感じる。
小保方氏によりSTAP論文が初回にネーチャーに投稿されてから、アクセプトがされるまでの大事なリバイス期間であるにもかかわらず、小保方氏が単独で実験せざるえを得ない状態に追い込んでいたようだ。
 
レビュアーからの指示であっても、若山氏が全く協力していない。レビュアーから指示された遺伝子解析を若山氏が無視した様子である。若山氏は、遺伝子解析の結果につき、情報をもっていたはずにもかかわらず・・である。
小保方氏にはマウスも用意できなければ、保存細胞のうちどれを遺伝子解析にまわすのが適切なのか?がわからないはずだ。実際に実験をした若山氏と話ができていないのだ。
こうしたことは、共著者としてありえないだろう。
 
小保方氏は、やむを得ず、若山氏から残してもらったSTAP(幹)細胞を培養し直したりして、GRASに持ち込むしかなかった。新たにSTAP細胞を作り、幹細胞まで完成させることなど小保方氏のパートではないのだ。
 
この最後の大事な時期に、小保方氏は若山氏と全く交流が持てずにいる。この時の、小保方氏の戸惑いもいかばかりであったかと思うが、「あの日」には書けないような状況があったはずだ。
 
須田氏が科学記者であると自負するなら、こうした論文完成前の著者同士の断絶をおかしいと思わなくてはいけないのだと思う。
 
小保方氏によりGRASに持ち込まれた検体には、すでに仕組まれた危険な細胞になっている。
 
後でねつ造騒ぎを起こすためには、持ち込み担当者を小保方氏に限定させてGRASに持ち込ませなければならない。当然、持ち込まれた細胞は、論文親マウスとも違っているはずであるから、持ち込んだ人が犯人というストリーになる。
そして、同じ遺伝子を持つES細胞もすでに存在するから、それを使ったと言うことになってしまう。
すでに、小保方氏は、ねつ造の画策者の罠にはまっていたと思われるのだ。
 
さらに、このGRASが解析した公開データは、STAPねつ造暴露を可能にする糸口ツールとして、その後、おおいにねつ造派に有利に利用されることになる。
 
遠藤氏が登場し、遺伝子解析を始める。彼は、公開データからねつ造データを暴露させるために白羽の矢がたった学者なのかもしれない。筋書き通りに、解析後の遠藤氏は、強い調子で“ESねつ造に決まっている”と、主張するのだ、
 
遺伝子解析の結果は、本来は、著者の許可がなければ解析結果を公表することはできない。
しかし、CDBの研究室は、マスコミが自由に入れるような施設なのだ。
まして外部の人ではない内部の人である学者たちは自由にGRASに立ち寄るだろう。 
自己点検グループやねつ造の学者たちがウロウロしているGRASで、厳密に解析結果の秘密が守られる術も無いだろう。
 
GRASに一旦、STAPの秘密がキープされた後、それの正式公開へ向けての最後の突破が必要だ。理研の内密のデータを解禁して、公開させなければならない。
“STAPはES”なるGRAS解析での証拠を、公開データまで持っていくためには、理研の正式許可が必要となる。

マスコミが騒ぎ、分子生物学会のお偉方の面々が騒ぎ、理研上層部に正式解析をせまった。
 
マスコミと、分子生物学会のお偉方の面々は、ねつ造偽装の画策者に利用された構図であろう。
 
マスコミでサイエンスを扱ってきたベテラン記者であれば、分子生物学会のお偉方の面々がねつ造を確信する根拠をさがすかもしれない。何か証拠がない限り、偉い人がここまで騒ぐはずがない!と記者が疑っても良いのだ。
メンツの高い偉い人たちは、普通は集団では騒がない人たちである。
 
しかし、たまたま、理事長、理事の数名が個性強い学者たちが揃ってしまったのであろう。
学会のトップなる人は、しょっちゅう仲間内で理事長を交代している。STAP事件の起きた時、他の学者がトップだったなら、“STAPはES”の噂があっても、違う対応であったかもしれないと思えるのだ。
 
慎重な学者であれば、大騒ぎでねつ造を暴露させなくても、本物のねつ