食物アレルギーが治っていないとの思いこみだけで、除去食を続けていることは、勧められません。
ニューヨークの有名病院、マウントサイナイ病院で、食物アレルギー患児を対象に,食物負荷テストを行い、その成績が論文として発表されていますので紹介します。除去食をしている食物アレルギーの子どもたちは、除去食を中止できるかを知るために、食物負荷テストを行います。その時に、どの程度の症状が誘発されるかで、除去食を継続すべきか?食べていくか?を、主治医が判断します。


エピネフリンは、血圧を緊急的に上昇させる物質で、アレルギー症状が複数で出たり、血圧低下など、アナフィラキシーへの進行が疑われる時に、緊急的に注射されるものです。食後のアレルギー症状が進行してしまった場合、あるいは悪化が予想される場合に、医師の判断で注射が行われます。自宅で症状が出た時も、両親、本人は注射をすることができます。今回の論文では、血液や皮膚反応でアレルギーが強いと予想されても、実際と負荷テストの成績とは、関係しなかったとしています。つまり、この論文では、血液や皮膚反応の強さは、実際に、そのものを食べた時の反応を予測しないと、言っています。


J Allergy Clin Immunol. 2009 Dec;124(6):1267-72.
1273 回の食物負荷テストのうち、反応が出たのは436回 (34%)であった。負荷テスト陽性後の11%の小児に、エピネフリンを使用した。陽性例、陰性例をまぜた負荷テスト全体では、エピネフリンの使用率は、3.9%であった。


負荷誘発率が高かったのは、食品別に、卵 (n = 15, 卵負荷テストのうち16%), ミルク負荷テストの陽性率は12%、ピーナッツ26%, 木の実, 33%, 大豆 7%, 小麦9%, 魚1, 9%.であった。 エピネフリンを使用した群としない群のそれぞれの平均年齢は、7.9 歳と5.8歳で、これら両群に、性差、IgE値、皮膚反応の大きさ、過去におけるアナフィラキシーの既往などには差がなかった。エピネフリンの使用は、ピーナッツ負荷テストで多かった。2相性の反応は1名にみられた。負荷テストで極めて重症となった小児はいなかった。