奈良再訪 1 | 楽典詩人

楽典詩人

楽典に触発された詩、フィットネス、空手・武道、物見遊山、飲食

 

5年ぶりに奈良に行ってきました。

 

午後奈良に着いたので行けるところが限られ、まずは奈良女子大近くのB書店に行ってみました。

20年前に奈良に住んでいたころ、この店の女性店主と知り合いになりました。当時はご両親が健在で店番はお母さんがしていることが多く、彼女は営業や配達など飛び回っていました。

 

店を訪ねると彼女が店番をしていました。

前回5年前の奈良訪問の時は会っていなかったので10年ぶりくらいになると思いますが、私の顔を見るとすぐに思い出してくれました。

 

長く会わなかった人と会ってすぐに思い出してもらえるのはうれしいものですが、特に年を取ってくると身に染みてうれしく思います。

 

長く会わずにいれば、お互いが年を取るのは当たり前ですが、彼女は少しやせたようで、落ち着いた中年女性になっていました。

 

彼女は奈良女子大の理学部を出たインテリ女性ですが、そのお父さんが熱狂的な阪神ファンで、その下で育った彼女も生まれながらのタイガースファンでした。

彼女に出会ったのも「とらきち」という店でしたが、長く続いたその店もコロナ禍の途中で閉店してしまったと彼女も残念がっていました。あとで行ってみると閉店してもまだ看板は残っていました。

短時間の訪問で別れの挨拶をして、店を出て駅の方に少し歩いてから振り返ると、彼女が店の前に立ってまだこちらを見送ってくれていて、男女間の感情というわけではない、古語でいう「なつかしい」気持ちにさせられました。

 

登大路を東大寺に向かって歩くと多数の観光客が道にあふれていました。20年前は西洋人の観光客はわずかしかいなかったのに今は驚くほど多数の西洋人が来ていました。

 

国立博物館前を過ぎ、東大寺南大門に至る道は観光客と修学旅行生で身動きできないほど混雑していました。昔も祭りなどではこうした状況もありましたが、通常のウイークデーにこんな混雑を見たことがなかった。

 

大仏殿には入らず東側の山にある手向山八幡宮から二月堂に向かうことにした。

奈良市内の名所の中では、この二月堂の舞台から見る大仏殿や奈良市街、遠くの生駒の山々の景色が私は好きです。

二月堂を後にして、国宝の大鐘「奈良太郎」の横を通って南大門を抜け、奈良公園内を南に下り、飛び火野の西にある鷺池の浮御堂まで足を延ばした。

 

奈良にいた当時、晩春から夏にかけての日の長い季節には、仕事帰りにこの浮御堂に寄って、御蓋山や高円山を眺めながら缶ビールを飲んだものでした。

当時は浮御堂は改修したばかりだったのか、まだ木肌の色も新しいものでしたが、20年の風雪にさらされてすっかり古色を帯びて風情が出ていました。

 

(以下つづく)