日本語は50音。
しかしその内,「ゐ」と「ゑ」の発音と文字は事実上消滅。
文字すら知らない子どもも多い。
でもその昔,50音に定められた時にはこの文字も発音も存在していた。
単に教えるという都合上,体系化され,消失した。
さらに昔,古典と呼ばれるような時代には,もっと複雑な発音が存在した。
「てふてふ」で「ちょうちょう」
「けふ」で「きょう」
と習うが,実際に発音は今の50音とは異なる発音だった。
神主さんやお坊さんが唱える言葉が日本語に聞こえないのと同様に,今聞いてもわからない発音だった。
赤ちゃんはそんな50音を知らない世界から来る。
だから発音の仕方も知らない。
とりあえず口を色々と動かしながら話してみる。
大人が話す時の口をじーっと見て,真似しようとする。
最初の発音は「あー」しかないのに,実に多彩な「あー」の発音をする。
大人が同じ発音をしようと真似してみても,なかなか同じようには発音できない。
でも一生懸命赤ちゃんの発音を真似して話そうとすると,赤ちゃんはそれにこたえるように話してくる。
お互い真似し合って,お互い理解しようとして,徐々にどうすればいいかがわかってくる。
そこに正解なんてない。
ただ,向き合うか,向き合わないかの壁しかない。
50音しかないと決めつけて,赤ちゃんの言葉は理解できないと言ってしまえば,あなたの言葉は子どもに通用しなくなる。
50音が使えるようになっても,あなたの言葉は理解してもらえなくなる。