新しい方向性の記事をこれから書いていくので、
その心境の変化について、
まえがきとして書きます。
私は、あまり自分語りをしないので、
たまには自分語りから始めようと思います。
19歳のときから教育業を始めて、
約17年と
それなりの年月が経ちました。
19歳、20歳の頃は、(2005年頃です)
長野県松本市で、私の著書「学年ビリから東大・医学部・早慶に合格する法」の
監修、横幕さんと一緒に、
「勉強苦手でやってこなかった凡人が、
1日4時間くらいの勉強時間で工夫して、
早慶や国立大学に合格する方法」
というのを日々研究し合って行ってきました。
このとき、
お互いに勉強法の本は100冊近く読んだり、
日々トライ&エラーを繰り返し、
生徒に合ったもの、合わないものを常に話し合ったりして、
ときには意見を衝突させながら、勉強法を改良していきました。
その結果、
中学英単語がかなり抜けている子が1年で現役で早稲田に合格したり、
(高校創設以来はじめての早稲田現役合格らしいです)
基本的にはGMARCHには全員受かったりして、
地域でかなり有名な塾となり、
生徒は240名と、
個別指導の塾としては、圧倒的な生徒数が集まるまでになりました。
このとき、長野県松本市という田舎で教えていたこともあり、
教えられる先生があまりいないということもあったり、
僕自身が参考書学習メインで高校中退から信州大学医学部に行ったこともあったりで、
勉強法は参考書学習をメインとするもので、
どの参考書が良いのか、どう使えば良いのか、というのがメインでした。
その方法を横幕さんがネットで公開したら、当時大反響となりました。
ちなみに、そのときの勉強法を
自分自身を実験台として試した結果、
私は半年の勉強で東大文二に合格し、
信州大学医学部から東大へ進学することにしました。
東京に行った一番の目的は、
「テレビ局に就職する、面白い映画を作る」
でした。
しかし、それと同時に、塾経営をすることも視野に入れていました。
塾を作ることよりも、教育業の知見を広げる方が大事。
21歳の僕はそう思いました。
そこで今度は、
「どうやったら天才になれるのか」
ということに興味を持ち、
算数オリンピック委員会で働くことにしました。
他にも、
「エリート教育とはどんなものか」
ということにも興味を持ち、SEGという、
当時、鉄緑会と肩を並べていた、最高峰の塾でも働くことにしました。
算数オリンピック委員会では、
色んなことを責任を持ってやらせてもらいました。
社外秘のことも多いので、
語れることのみを記しますが、
算数オリンピックでメダルを取った子や、
算数オリンピック・数学オリンピックに興味を持っている子達に
勉強を教えたり、色々会話をする機会も沢山頂きました。
ちなみに、そういう子達は、
その後東大理三など当たり前の様に合格していきました。
数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を取られている
広中平祐さんのお手伝いをすることも多く、
一緒に働く人たちも、数学オリンピックなどの科学オリンピックで
メダルを持っている人たちが多かったです。
そういう人達と触れ合う中で、
どうやったら数学の天才の子が誕生するのかは、
自分の中では結論を出せる様になりました。
詳しく書くとかなり長くなるので、ここでは割愛しますが、
そういう才能を開花させるためには、親の協力はかなり大事です。
そして、意図的に開花させることは十分可能です。
SEGでの経験は、今でもかなり貴重なものとなっています。
SEGは、ちょっと極端に言うと、
大学レベルの学問を交えながら、
数学や理科などの理系教科を中心に詳しく解説していく授業スタイルが中心です。
各分野をしっかり理解するための深い授業をするのです。
まずは、授業補助と言う形で、
生徒の質問に答えながら、
熟練の講師の授業見学をすることから始まりました。
僕は、中学生の頃、数学の大会で全国で入賞したことがあったり、
東大数学でも満点だったりしたので、
数学にはかなり自信を持っていたのですが、
正直、最初SEGの授業は全然分からなかったです。
「東大満点の僕が知らない様なことを授業して意味あるのだろうか?」
「こんなこと理解しなくても、試験で正解が書ければ良いのではないのだろうか?」
「ここまで理解しなくても、答案の書き方覚えておけばよくないかな?」
など初めは色んなことを思いましたが、
今、振り返ると僕が浅はかなだけでした。
その理由は2つです。
1つ目は、僕が勉強を嫌い過ぎて、勉強を楽しむということを知らなかったということです。
東大に進学した僕が、ちょっと周りとギャップを感じたことの1つとして、
「東大生は勉強を楽しんでいる」
ということがありました。
勉強嫌いで、とにかく遊びたい僕は、正直、「東大生気持ち悪いな」とか思っていました。
たとえ話をさせてもらいます。
僕はハリウッド映画がメチャクチャ好きで、基本的には毎日1本は今でも観ているのですが、
ハリウッド映画は予備知識が基本的には不要なので、
誰でも気軽に楽しめるように作られています。
それに対し、バレエやオペラなどは予備知識が必要で、
ある程度勉強して観劇しないと楽しめませんが、
ちゃんと理解している人が観ると、めちゃくちゃ楽しかったりします。
実はこれは勉強も同じで、
楽しむための下準備が必要で、
その下準備が出来ていると、とても楽しいものになるのです。
僕は、「1分1秒でも勉強時間を短く」「同じ勉強時間するなら1点でも高い点を取れる様に」と
コスパに振り切った勉強をしていたので、
勉強を楽しむという感覚があまりなかったのです。
SEGは、理念的には、この理数を楽しむための下地作りから、授業できちんと行っているのです。
また、僕が浅はかだった理由2つ目は、
参考書学習信者だったということです。
「数学は解説読めば分かるよね?」
「質問に答えてくれる人は欲しいけど、授業必要?」
とか、思っていたのです。
この考えが浅はかというのに気付くのには、
かなりの時間と経験を要しました。
参考書学習信者だった僕は、
東大3年生の春くらいに、
飲み過ぎて散財して金がなかったという、しょうもない理由で、
他にも塾の仕事を探しました。
このときに、自分と同じ参考書学習の理念のことを話している、
使っている参考書も僕や横幕さんが提唱しているのと被っているのがかなり多い、
という理由で、武田塾というところでも働き始めました。
これには後日談があって、
武田塾はネットから参考書の情報を引っ張っていたのですが、
横幕さんがネットで公開していた勉強法が大反響過ぎて、
かなりの情報を、そこから引っ張っていたとのことでした。
扱っている参考書が似ていたのは当たり前ですね笑
今では400校舎くらいあるらしいですが、
当時は本校の1校舎だけで、場所も今の校舎ではありません。
当時の社長は豪快で気さくな方で、
プライベートでも、かなり仲良くしてもらって、
良い思い出だらけで、あまりネガティブなことを書きたくないのですし、
当時の社長さんは今かなり叩かれていますが、
個人的には今でもかなり好きな人で、応援したい人でもあります。
なので、ここでは、
横幕さんとの塾と武田塾の違いだけを書きます。
まず、概要についてです。
横幕さんとの塾は、
参考書学習を軸に据えつつ、常に生徒に、効率的な勉強の考え方について話をしたり、
僕や横幕さんを含めた講師陣自らがその参考書を使った上で、分かりにくいなと思った場所は、
こちらから積極的に解説をしていました。
その代わり、確認テストなどは簡単にしか行いませんでした。
対して武田塾は、
基本は授業をしない、というスタンスで、
参考書の宿題を出して、1時間、2時間テストをして、
スケジュール管理を徹底して行うというものでした、
その代わり、解説授業などはほとんど行いません。
(一部のやる気ある講師は、解説授業を行っていましたが)
両方を経験した僕としては、
2つの違和感がありました。
1つ目は、
横幕さんの塾は、宿題をしない人がほとんどいないのに対し、
当時の武田塾は、宿題をしない人が異常に多いことです。
おそらく理由としては、
横幕さんは、勉強に困っている子どもに対して、正しい勉強法を教えてあげるとか、
何をどうしたら成績が上がるとかの、成績の上げ方を売りにしていたのに対し、
武田塾は、ライザップの様に管理を売りにしていたからだと思います。
ちなみに、今でこそ、勉強法を教えます、という文言は当たり前の様になっていますが、
当時は、そんな文言は世の中にはほぼ存在していなかったので、
勉強法を教える、というのは珍しいワードでした。
2つ目の違和感は、
横幕さんの塾は、ほとんど皆志望校にしっかり合格するのですが、
他方はそこまででもありませんでした。
ただ、後者でも、
どういう考えで参考書を使えば良いのかとか、参考書で分かりにくい部分の授業をしっかり行ったりした生徒は、
志望校に合格する確率はとても高かったです。
この辺りから、しっかり教えることは大事では?
と思い始めるようになりました。
ただ、どちらの塾でも、
参考書の使い方や覚え方をしっかり教えた生徒は、
文系はしっかり合格するのですが、
理系の最高峰になかなか合格しないな、という実感がありました。
これは解決するべき課題だと、当時ずっと悩んでいましたが、
色んな人に相談しても、
「文転させれば良くね?」くらいしか答えてくれず、
この悩みの解決案に関しては、一人で試行錯誤する様になり、
解決するのに、8年くらいかかりました。
また、
大学生活の中で、
算数オリンピック委員会周りからの紹介で、
ある有名私立中学の入試問題を作ったり、
棒予備校の東大模試の採点を担当したりもしました。
これらの経験で、出題者側の意向がよく分かる様になったり、
採点基準や採点基準の作り方が勉強できて、添削指導に役立ったりと、
多くの良い学びがありました。
大学卒業後は、テレビ東京で働きましたが、
テレ東で働いているときも、
休みの日は家庭教師をしていました。
生徒が毎年10人くらいは居たので、
土日の片方は丸一日家庭教師で潰れていました。
そのため、
19歳以降で教育をやっていない期間は、
実は僕は半年くらいしかありません。
ほぼブランクが無い状態です。
19歳から29歳までは、
参考書学習を中心にやっていましたが、
やはり私立文系しか最高峰に受からないという悩みがありました。
なんなら10年間も直接指導していて、
参考書指導の知見は、日本でもトップクラスにあるという自負もありました。
そこで、指導の限界の壁を破るために、色んな試みを行いました。
まずは、謙虚に、先人の知恵を取り入れようと思いました。
ずっと教育をやっていたおかげで、全国にツテがあったので、
色んな人に頼んだりして、
実績のある色んな学校や塾の教材やノート、授業法を見せてもらったり、教えてもらったりしました。
鉄緑会やSEGはもちろん、
グノーブル、平岡塾、河合塾、河合塾プレミアコース、
英進館、研伸館、
日比谷高校、海城高校、豊島岡女子学園、ラ・サール、修猷館、久留米附設、熊本高校、青雲高校等々、
色んな所の研究をしっかりしました。
教育方法を研究していて、腑に落ちないものがあっても、
「自分には抜けている概念があるのかもしれない」と思い、
とりあえず、いったん取り入れてみて、授業に活かしてみることは欠かせませんでした。
基本的には、僕のところには、成績が上手く伸びずに悩んでいる子が相談にくるので、
凄く腑に落ちる良い勉強法でも、所謂、超進学校の子にしか通用せずに、
僕の生徒には通用しない方法もありました。
その一方で、最初は腑に落ちない勉強法でも、めちゃくちゃ効果を発揮するものもありました。
また、ABテストをするために、
あえて、「入学偏差値は高いけど、合格実績が悪い高校」のカリキュラムを研究したりもしました。
その経験を踏まえて、
多くのことが分かりました。
その中の1つ大きなこととして、
どの科目も、一定ライン以上の成績を出すためには、
本当にその科目が得意な人しか持っていない、肌感覚を教えないといけない、
ということがあります。
特に理系科目において、このことは大事となります。
そして、勉強が得意な人にとっては、その肌感覚は常識的に備わっているものなので、
授業で教えないといけない、という意識がなかったりもするのです。
東大や医学部などの理系最難関の合格実績が豊富な塾や、学校は、
この「肌感覚を教える」ということを非常に大事にしていたのです。
これは、SEGの経験があったからこその気付きでもありました。
SEGのテキストや授業などは、数学や理科のトップの人の肌感覚を
とても上手に言語化しているものだったのです。
もちろん、活字だけでは99%の人に伝わらないので、
授業でも詳しくその肌感覚を伝えているのです。
この肌感覚を伝えるための教材作りや、
授業を実施するようになって、
僕の指導や、桜凛進学塾は、当たり前の様に医学部に合格する様に進化することができ、
長らく悩んでいた参考書学習の指導の限界を突破することができました。
もちろん、1人では限界があります。
SEGのトップ講師で非常に仲が良い人がいるので、
SEGの許可を受けた上で、桜凛進学塾用のオリジナルプリントを作ってもらったりもしています。
このように、僕の勉強法は、
一人で編み出したものではなく、
色んな先人の意見を謙虚に貪欲に取り入れて、
様々な経験を通して磨いていった、
帰納法的なものです。
指導に関わった生徒の数は、
正確には分かりませんが、数千人はいますので、
経験数はかなりのものとなりました。
ただ、このままでは、
「それってあなたの感想ですよね?」
という、ひろゆきさんが言ってきそうな台詞が聞こえてくる気がして、
演繹的なものも取り入れたいという思いが、
3、4年ほど前から湧いてきました。
そこで、英文のものも含めて、
教育法に関する論文を沢山読むようになりました。
すると、
記憶の定着のさせ方などが、
この10年くらいでかなり研究が進み、
多くのことが明らかになっていることが分かりました。
また、今まで「自分だけの変わった勉強法かな」と思って、
人に教えてなかった勉強法とかも、
効果のある勉強法として研究されていたりと、
新しい気付きも多かったです。
想像以上に多くのことが欧米を中心に研究で明らかになっている一方で、
教育法の研究結果が、あまり日本の現場に浸透していない気もします。
そこで、今後しばらくは、
研究で明らかになっていることで、
かつ、僕の経験を踏まえて、
「自分の経験上、これは確かに効果がある」と腑に落ちる
教育法が何かという、
演繹と帰納を兼ね揃えたものを紹介していこうと思います。
ですので、
これから紹介していく内容は、
僕が納得できる勉強法で、かつ、
研究から効果が出るとも発表されているものとなります。
日々、より良い教育とは何か求め続けているのですが、
僕の周りだけの知見にするのは勿体ないと思ったので、
より多くの人に有益な情報が届くように、
どんどん記事を更新していきます。
是非、みなさんの役に立てばと思います。
新宮竹虎