⓭-2 付録-頭蓋仙骨リズムの機序(後半)・・・その発生源と効率的な手技について | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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整体コラム ⓭-2 付録-頭蓋仙骨リズムの機序(後半)・・・その発生源と効率的な手技について
「⓭-1 付録-頭蓋仙骨リズムの機序(前半)・・・その発生源と効率的な手技について」の続き

・最後に屈曲時の体幹や上枝・下肢の外旋運動と、伸展時の内旋運動の機序について考える。
頭蓋冠が屈曲の時、体幹・上枝・下肢は次の様に動く。伸展はその逆方向の動きである。
体幹=開く
上枝=外旋する
下枝=外旋する


・まず下肢についてであるが、前述(⓭-1参照)のごとく屈曲時の仙骨尖は前方に移動するのだから、その移動に呼応して仙腸関節は内転(IN)し、骨盤を広げる(☚これは体幹の屈曲にも寄与する)。そしてこの仙腸関節の内転(IN)運動=骨盤を広げる運動は寛骨を介して大腿骨頭を外旋するように寛骨臼-股関節に伝わる。これが屈曲時の下枝の外旋機序であると考える。伸展については仙骨尖が後方に戻るので、自ずと体幹(骨盤)は閉じる方向に動き、腸骨~股関節を通じて大腿も内旋する。
 

・従って臨床的には、仙腸関節や股関節の障害、あるいはこの2関節に関係する筋肉・靱帯などのSDを取り除くことは言うまでもない。しかし忘れてならないのは「骨盤内臓と関連する腹膜」の異常が上記下枝の頭蓋リズムに影響する事である。なぜなら、骨盤臓器の炎症や癒着あるいは当該臓器の位置の移動や腫大等の存在は、腹膜の癒着や緊張を介して脊椎・寛骨の骨膜を制限し、それは上記頭蓋リズムのエネルギーの妨害や、頭蓋リズムの減退、あるいは不調和を生じうる可能性が高いからである。ただ、骨盤内臓の病態は非常に多岐にわたるので、その一つ一つに対しての整体手技についてはここでは割愛する。要は、いわゆる“横方向の制限の解放”だけでなく、骨盤・腹腔内臓を・腹膜を含む、仙腸関節や股関節など総合的に診て、その上で治療計画を立てることが肝要である。
 

・次に上肢についてであるが、これは腕神経叢の影響を挙げたい。先述のごとく、アプレジャーが鉗子で掴めないほど脊髄が頭尾方向に動くのであれば、それにつられて腕神経叢の神経束群もかなり(屈曲時に)頭方に引っ張られるはずである。そこで次に注目すべきは、腕神経叢の何が上肢を(屈曲時に)外旋に影響するか、、、である。それは、橈骨神経が最有力だと考える。その理由は、
ア、橈骨神経は腕神経叢を構成するC5,6,7,8,T1の5種全ての脊髄神経線維を含む腕神経叢中最大の神経束である…言い換えれば”綱引きのヒモの数=神経線維数”が一番多いので、上肢を引っ張る牽引エネルギーが最大となる
イ、橈骨神経の走行ルートは上腕骨上内方から上腕骨背側の中央部(橈骨神経溝)を経て上腕骨外側上顆を通過する…この走行は上腕を内側~背側中央~外側にかけて牽引する事により上腕骨を外旋させるベクトルを生む➡屈曲のエネルギー源になる
ウ、橈骨神経と同じC5,6,7,8,T1の5種の脊髄神経線維を含む正中神経の走行は、上腕骨内側/中央部から正中を走行する…文字通り”正中”を通過する神経束なので、上腕の外旋または内旋のベクトルを生まない。従って上記ア、イの制限になりにくい
エ、尺骨神経や筋皮神経など、他の神経束群の線維数=綱引きのヒモ=の数は少ないので、上記アの邪魔になりにくい。また、他の神経束群は上肢の内側と外側を半々に配分されて走行しているので、上記イの制限になりにくい

 

・よって、屈曲時に脊髄が頭方に牽引される事で、橈骨神経が引っ張られ、上記ア~エの事由により、上肢が外旋する。伸展はこの逆の動きとなるが、これは脊髄の尾方へ動く事で、上記に掲げた事象が全て逆方向に戻ることによる。
 

・また、上記機序とは別に骨格的な連結による機序も考えられる。それは脊椎における硬膜付着部位の一つとして「C2-3の脊柱管後壁」を挙げたが、頭蓋の屈曲時に脊髄が頭方に牽引される際、この「C2-3の脊柱管後壁」も脊髄硬膜によって頭方に引っ張られる結果、頸椎が伸展する。その伸展作用によって第一胸椎が後下方に牽引され、その運動が第一肋骨~胸骨柄~鎖骨~肩峰関節窩の後下方へのベクトルとなって伝播され、上腕骨頭が外旋する(☚上肢の屈曲)。
 

・最後に体幹についてであるが、これは上肢において説明した”腕神経叢”が”肋間神経・腰神経”に変わるだけで、後は同様の事由による。つまり、屈曲時に脊髄が頭方に動くにつれて各肋骨間を前下方に横走する肋間神経群と、腹壁を前下方に横走する腰神経群(☚肋下神経、腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経、外側大腿皮神経など)が脊柱側に引っ張られ、そこに加えて仙腸関節の内転(IN)も骨盤を広げる事になり、以って胸郭から腹腔および骨盤が広がることになる。これが体幹の屈曲メカニズムである(伸展はこの逆の機序)。
 

・この様に考えていけば、臨床的な観点で、オステオパシー的に頭蓋仙骨リズム=屈曲⇔伸展=を改善する為には、いわゆる横方向の制限の解放も大切であろうが、それよりも脊椎の障害(サブラクセーション、変形性脊椎症、側弯症)の方が、はるかに有効であることが予想できる。また同時に、脊髄内の制限の緩和(☚例えば脊柱管内のうっ血などによる内圧増加など)、そして肋骨を制限させるような胸郭内の病態、あるいは腹部臓器の炎症、またはその後遺症害である臓器間のあるいは腹膜との癒着など、腹腔内の制限の緩和もまた然りである。
 

・従って、今後頭蓋仙骨療法を施術するケースに遭遇した場合、(多少めんどくささはあるが)下記の様な事項を診たうえでそれぞれ適切に対処していかないと、頭蓋仙骨療法の効果、あるいはその持続は期待しにくいケースがあると思われる(逆に言うと、下記事項の存在が頭蓋仙骨療法の抵抗要因になりうる)。
A, 各頭蓋骨内の弾性結合組織の柔軟性を回復させる骨マッサージ
B, 各縫合部の弾性結合組織の柔軟性・可動性を回復させるモビリゼーション
C, 帽状腱膜の緊張を緩和する腱膜マッサージ、あるいは逆に帽状腱膜の緊張を回復するマッサージ。および頭蓋冠に起始(停止)する筋肉群の緊張緩和手技
D, 硬膜付着部位の解放
E, 頭蓋内-外の静脈還流を促進
F, バトソン静脈叢の静脈還流の促進・脊髄うっ血の予防と阻止
G, 骨盤臓器間(特に女子については婦人科臓器)や腹膜との癒着の解放
H, 腕神経叢、肋間神経群、腰神経叢、仙骨神経叢の緊張の解放
I, 胸郭臓器と胸膜および胸郭-肋骨/胸骨の癒着の解放
J, 腹腔臓器間あるいは腹膜との癒着の解放
K, 脊椎サブラクセーションのアジャスト、変形性脊椎症の改善、側弯症の改善
L 各骨格筋・筋膜のストレッチ等による緊張解放
M, 各関節包・靱帯のストレッチ等による緊張解放

 

・尚、これは頭蓋仙骨療法を施術する臨床家のほぼ全てが経験していると思うが、その施術に際して患者の多くに傾眠~レム睡眠傾向が生じ、いわゆるヒーリング的な特有のリラックス効果が観られる。これは古典的にはサザーランドの言う「CV-4テクニックによる第4脳室への刺激により、その周辺神経全てに影響を及ぼす」と言った観点からすると、同テクニックによる第4脳室周囲器官への刺激によりオキシトシンやエンドルフィンなどの分泌が促進された結果かもしれない。
 

・ところで、閉鎖空間に作用する物理法則の一つとして”パスカルの法則”があるが、そうであればCV-4テクニックによる圧力は全脳室に均等に付加されるから、いわゆる脳室周囲器官全般に刺激が加わるはずである。従って、CV-4テクニックを施術すると、例えば覚醒中枢に作用する部位(☚視床下部後方)、逆に睡眠中枢に作用する部位(☚視床下部前方)などが混沌と入り交じって刺激され興奮・発火し、その結果様々な生理機能が無秩序に混じり合って、当該患者がパニック状態になる可能性の方が高くなりそうである。これでは頭蓋仙骨療法施術時のレム睡眠の誘発などの安定したリラックス効果は説明できなくなる。
 

・ちなみにこの脳室周囲器官には主な構造でも脳弓下器官、交連下器官、正中隆起、神経下垂体、松果体、最後野など数多くあり、その一つ一つを説明する事はここでは割愛する。ただここで指摘しておきたいことは、脳室周囲器官にはいわゆる脳脊髄関門が存在しない事から、脳室周囲組織の各神経細胞は近接する毛細血管などとのイオン交換などの生理学的反応が生じている、といわれているので、脳深部の神経細胞に比べて脳室周囲組織の各神経細胞は閾値が低い可能性がある(☚敏感)。従って、上記頭蓋仙骨テクニックによる脳室に付加される物理的圧力の変化によって、各神経細胞が容易に刺激され、発火する可能性がある、と言うことである。
 

・そこで次に考えたいことは、厳密には脳室は閉ざされた空間ではなく、開口部がある、と言うことである。それは一対の第4脳室外側孔(ルシュカ孔)と無対の第4脳室正中孔(マジャンディ孔)である。ここからは想像であるが、この三つの小さな孔がある為、CV-4テクニックに限らず、他の頭蓋仙骨テクニック-10ステップのテクニックにより脳脊髄液の流れ・分泌が促進されると全脳室内の脳脊髄液の流動性が高まり、それが三つの孔、すなわちルシュカ孔とマジャンディ孔に向かう脳脊髄液の潮流が他の脳室領域に比べて早くなり、乱流を生じている可能性がある。
 

・その乱流刺激はルシュカ孔とマジャンディ孔に近接する(閾値の低い)神経細胞を刺激・発火させ、その下流域の神経系の生理機能を発現させる、、、かもしれない。ルシュカ孔に一番近接する神経核は下髄帆から小脳脚にかけての部位と前庭神経核と蝸牛神経核であろうか。、。ただ、頭蓋テクニックによりこれらの部位が刺激される事による所見は、その施術時に確認できたことが無い。従って、ルシュカ孔に関する私の想像は不完全であるかもしれない。
 

・ところがマジャンディ孔に一番近接する神経核は迷走神経背側核がある。この事は、ひょっとするとCV-4テクニックを始めとする頭蓋仙骨テクニックによって安定したリラックス効果が発現されるのは、脳脊髄液の乱流刺激が迷走神経背側核を刺激・興奮させる事で生じているのではないか、と想像したい。
 

・頭蓋仙骨テクニックによるリラックス効果の発現については上記”迷走神経背側核への乱流刺激仮説”でこじつけたが、それでは“なぜ同テクニックで睡眠誘導できるのか、、、“については甚だ難しい。つまり、頭蓋仙骨テクニックによって何らかの機序が働いて睡眠中枢である腹外側視索前野(VLPO)のGAVA作動性神経系の活性化が起こるのであろうが、そのこじつけが出来ない。あるいは別の機序としてナルコレプシー的に考えて、頭蓋仙骨テクニックによって外側視床下部(LH)由来のオレキシンを何らかの機序により一時的に枯渇させて、レム睡眠誘導を促しているのかもしれない。但し、これらの想像的仮説については現段階ではお手上げである。いつの日か、もっと勉強してこじつけ理論を紹介できれば、と思う。
 

・脳室周囲組織の各神経細胞の連結と機能は非常に複雑で、今でもその全容は解明されていない。ですからこの様な単純な機序が原因ではないと思う。ただ、40年近くの手技療法家としての私の経験から、頭蓋仙骨テクニックの施術によって数分~十数分で当該患者にレム睡眠様の癒し効果が観られるのは事実であり、またなぜ、あんな単純なテクニックでレム睡眠誘導やリラックス効果が発現できるのか、ずっと不思議で仕方なかった事であり、最も知りたいことの一つでもある。その長年の悩みのハケ口としての”たわ言”と思って、本稿の想像をお許しいただきたい。
 

・最後に、私はヒーリングについては門外漢だが、しかし頭蓋仙骨療法の施術に際し、何らかのヒーリング的イメージを患者に促すことは、それなりの効果が見込まれると思う。それは大脳皮質からの脳内モルヒネ分泌効果が期待できるので、上記頭蓋治療効果がより促進できるからだと思われる。ただ、出来うるならば、心理学者であるA・アドラーの指摘する「共同体感覚」的なライフスタイルの実践によりA-10神経が活性化され、その脳内モルヒネ機序が亢進し、それにより頭蓋仙骨療法が有効化させる事がより大切ではないか、と考える。
 

 

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