ただし、その際には偏差値に対する正しい理解が不可欠なのは言うまでもありません。
母集団の質が異なれば偏差値の基準が変わってしまうからです。
例えば、何十年も前から駿台模試では偏差値が低く出ます。
(近年は少子化の影響もあって標準的な偏差値に近づきつつあります。)
それは駿台に通う浪人生・現役生の質が高いので、優秀な生徒でも平均点に達しない、そんなことは当たり前です。
そして、そのような生徒が他社の模試を受けると駿台より10以上高い偏差値が出てしまうなんてよくあることです。
それくらい母集団の違いが偏差値を左右してしまいます。
だからこそ、母集団の質を考慮しない偏差値の見方は百害あって一利なしです。
ここでは先ず理系と文系の違いを考えてみます。
同じ大学の中で理系の学部は偏差値が低く出ます。
それを見て理系の方がレベルが低いと見てしまう偏差値の低い私立文系の高校生が全国に掃いて捨てるほどいます。
多くの高校では高1の終わりにコース選択があります。
その際に、弁護士になりたいなど極めて一部の生徒を除けば、理数が苦手だから文系を選んでいるのではありませんか。
ですから、殆どの文系の生徒は理系より劣ると見るのが妥当です。
理数の方が得意なのに文系を選択する者は極めて少数に過ぎません。
また、理数が全然ダメなのにわざわざ理系に進む者も殆どいないでしょう。
理数が苦手ならば文系を選択しますよ。
どこの高校に行っても成績下位の者は殆どが文系です。
このことから理系の学力幅と文系の学力幅に違いが出て来ます。
↓の図のように文系の方が幅広い生徒がいることになります。
右方向が上位、左方向が下位としてあります。
最上位の右端は☆で揃えてあります。
そして、全体の平均点が偏差値50となるので、↓の図の■が理系の、●が文系の偏差値50の位置です。
理系の生徒の成績幅 □□□□□■□□□□☆
↓
文系の生徒の成績幅 □□□□□□□●□□□□□□☆
理系の偏差値50を示す■が文系では偏差値50を超えた位置にあります。
具体的には理系の偏差値50は文系ならば55(53~57)に相当します。
逆に言えば、文系で偏差値50の生徒が理系に転じると偏差値45しかないことになります。
これらを再確認すると、同じ学力の生徒が2人いたら、理系を選んだ生徒より文系に進んだ生徒の方が見かけの偏差値が高く出てしまう訳です。
ところが、初めに書いたように、数字のトリックを見抜けない愚かな者ほど、同じ大学内を比べた時に理系の方が見かけの偏差値が低いのを見て、「理系の方がレベルが低い」と恥知らずの勘違いしてしまいます。
具体的に有名な大学で見てみましょう。
例えば学習院大学。
文系の学部学科で最難関はやはり学習院らしく文学部史学科の偏差値62。
一方、理系は理学部生命科学科の偏差値57。
時代の最先端を行く生命科学科に通う学生の質が史学科の学生より偏差値にして5も劣るはずがありません。
そこで生命科学科に5を足すと62。
史学科と全く同じになるではありませんか。
もう一つ、明治大学。
文系の最難関は明治の看板である政治経済学部政治学科の偏差値65。
理系は農学部生命科学科の偏差値61。
いくら政経が看板であろうとも、理系の最難関が文系より4も低いなんて絶対にあり得ません。
明治の生命科学科の偏差値61を他の文系大学で見ると、武蔵大学人文学部英語英米文化学科が偏差値61。
両者が同レベルだなんて決してあり得ない、そんなことは誰にでも分かるでしょう。
これらの例でも、見かけの偏差値を真に受けてはいけないことを認識していただけたと思います。
建前はどうであれ、理系の方が優れている事実を否定することはできません。
もちろん人間には個性がありますから、理系向きの生徒もいれば文系向きの生徒もいます。
自分がどちらに向いているのかを冷静に判断して進路の選択をすれば良いだけのことです。
私が言いたいのは見かけの数字に騙されずに、そこに隠されているトリックに気づいて欲しいということなのです。
ところで、偏差値を算出する公式を見たことがあるでしょうか。
多くの人は知らない、または忘れてしまった、そのどちらかだと思います。
実はあの公式にも欠陥があるので、それだからこそ偏差値の正しい見方を知って欲しいと思うのです。
公式の欠陥とは?
受験科目が少ないと偏差値が高く出てしまう点です。
かつて外国語学部系で獨協大学外国語学部英語学科の偏差値が同系統で日本一の高さになったことがあります。
どう考えても獨協大学が東京外国語大学よりも上になる訳がありません。
実は獨協は受験科目が当時は英語のみ。
たった1科目です。
それに対して外大はセンター試験が当然5教科。
しかも2次試験は当時、文系なのに数学を含めた英数国社の4教科。
これだけの教科をこなせる者が英語しかできない者より劣るはずがないのです。
これは国立と私立の比較。
実は国立と私立を比べる際にも偏差値は少なくとも5の差があります。
つまり、私立の偏差値50は国立に換算すれば偏差値45しかないと言えます。
これが上位になれば、7〜8くらいの差があると実感しています。
私立型は理系も文系も受験科目が少ないので、国立型と比べるとどうしても見かけの偏差値は高く出てしまいます。
母集団の学力幅の違い(母集団の質の違い)、受験科目の少なさ、それらが原因で私立文系は国立理系より少なくとも10は高く出てしまいます。
以上のような背景から「誤表記」されてしまうのが文系、特に私立文系の偏差値です。
偏差値を見る時は私立文系を基準に次のような修正をして下さい。
私立文系 ±0
私立理系 +5
国立文系 +5
国立理系 +10
以上の説明はどうでしたか?












