同じ学年の3人の実話を書いてみます。
当校の高校部にいた生徒ではありませんが、それぞれについて私は知っています。
Aくんは土浦第一高校の生徒。
東京大学に落ちて浪人。
合格していた東京理科大学は蹴っています。
Bくんは江戸川学園取手高校の生徒。
一橋大学に落ちて浪人。
合格している明治大学は蹴っています。
Cくんは東葛飾高校の生徒。
東京都立大学に落ちて浪人。
合格している立教大学は蹴っています。
この3人の1年後は、驚くことに3人とも現役時よりセンター試験の得点率が下がっているのです。
仮にセンター試験の問題が前年より難しくなっていたとしても、わざわざ浪人した訳ですから、問題が難化していても得点率が下がるなんてあり得ないことです。
浪人することに価値があるのならば、絶対に、例外なく得点率は上がっていなければいけません。
では、3人の一浪後の結果は?
Aくんは東北大学に入学。
Bくんは慶應義塾大学に入学。
Cくんも慶應義塾大学に入学。
明らかに誰も伸びていません。
誰も現役時の第一志望には合格していないではありませんか。
こんなものです、世間一般の浪人とは。
もちろん浪人して伸びる生徒もいます。
それはまた別の機会に。
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学道舎に通った浪人生
[2011/12/14再掲載]
当校は予備校ではないので、当初は浪人生は想定していませんでした。
しかし、ある時のことです。
1人のお母さんから浪人生はあずかってもらえないかと問い合わせがありました。
通っていた高校は県立の4番手の高校。
本人は宅浪するつもりでしたが、生活のリズムが心配で当校に来た訳です。
後期日程の不合格の直後に本人とも面談して初めて浪人生をあずかることにしました。
先ずは参考書問題集選びから開始。
私から指示のある本は目から鱗が落ちる思いで見ていましたね。
それまでの本は殆ど否定しました。
参考書問題集をやりつぶすだけで大学は合格できます。
その本選びが命です。
次に一日のスケジュール作り。
夜型で行こうという決めました。
夜は3時に寝ます。
7時間睡眠。
10時に起きます。
目覚めのゲームを1時間。
浪人生なのだからゲームなど禁止、とは私は言いません。
ゲームが好きと聞いたので、ならばゲームをさせようと決めたのです。
ただし、10時から11時まで。
時間厳守。
それからブランチ。
食べながらテレビも見ます。
そして、午後1時までに塾に到着。
それからずーっと自習。
授業のある日は高3の授業に入れました。
そして、午後11時ないしは午前零時に帰って行きます。
帰宅してすぐに夜食ないしは入浴。
それから再び勉強して午前3時に就寝。
日曜日の昼間のみ遊んで構わないことにしました。
このペースで1年を過ごした訳です。
結果は?
もっと上も可能性はありましたが、研究がしたいと研究第一主義の東北大学に入学。
反抗期でお母さんにしてみれば面倒な息子でしたが、力関係にない他人の話にはきちんと耳を傾ける生徒でした。
だから救えた訳です。
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最初に挙げた3人はいわゆるトップ高の生徒。
すぐ↑の記事の生徒はトップ高より偏差値が10も下の高校。
結果を比べて下さい。
最初の3人は伸びていません。
とんでもなく高い、即ち私立理系の学費より高い費用を「一流の予備校」に支払って伸びていないのです。
それに対して、私があずかった生徒は思いっ切り伸びています。
違いが何だか分かるでしょうか。
最初の3人は性格に難がありました。
プライドの高さです。
センターリサーチはおそらくウソ丸によって高い得点率が出るように「工夫」したのでしょう。
親はバカだから、リサーチの個票を真に受けて受験させましたが、当然不合格。
プライドの高さ、その問題点を一切治していないのです。
「一流の予備校」ではそんなことをしてくれませんから。
先日も柏市内にある書店の参考書売り場に「一流の予備校」に通っているのが話の内容からすぐに分かってしまった浪人生たちがバカのワンパターンの参考書談義。
あれが良い、これはダメだ。
私が知る限り、彼らが良いと言った参考書は全てクズ。
本当に良い本の名前はとうとう最後まで彼らの口から出て来ることなどありませんでした。
「一流の予備校」は真実を教えてはくれません。
とりあえず「一流の講師」の授業がサテライトであるだけです。
実際の対面授業は二流三流の講師が行います。
伸びる訳がありません。
しかも、性格の問題点など放置したまま。
それで伸びるはずがありません。
あの3人は無駄な1年を過ごしたに過ぎません。
では、私があずかった唯一の浪人生に対して、しつこく私が繰り返したことは?
もちろん性格の矯正です。
私の彼に対する指導の優先順位は次のようになっていました。
1、性格の矯正
2、適切な参考書問題集の指示
3、授業
これだけで彼は生まれ変わりました。
県立の4番手の高校。
あの高校の歴史で東大に合格したのはただ一人。
トップ高にも行ける生徒が自宅から一番近い高校で十分とその高校に入学。
どこの高校に行こうが東大に入れる生徒でした。
かつて我孫子高校からも東大に1人行きましたが、やはりとんでもなく出来る生徒でした。
話を戻すと、あの県立4番手から行ける最も良い国立大学は筑波大学や千葉大学です。
実際に、彼は千葉大学を落ちています。
それなのに、一年後は東北大学に合格しましたよ。
彼もプライドが高い生徒でした。
通っている高校の中では上位の成績だったので勘違いしてしまったのでしょう。
だから性格の矯正が不可欠。
それが奏功して学力アップ。
性格を治すと学力まで変わる、その良い例ではありませんか。
振り返ると、母が息子の将来を悲観して連絡をくれたのは前期日程で不合格だった直後です。
ボーダーラインが跳ね上がる後期日程で合格するはずもないから、それでも本人は後期日程に賭けてみると言っているので、息子には内緒で連絡して来ました。
その時点で、使っている参考書問題集の洗い直し作業に私は着手。
母に書名をメールしてもらいました。
その中に良い本もありましたが、彼は学校や友人から勧められたダメな本ばかりを優先していたようです。
ダメ人間の典型的なパターンですね。
1日のスケジュールは大雑把なものです。
厳守は必要なし。
受験勉強だけでは飽きてしまうので、テレビも映画も見せました。
音楽はたくさん聴かせました。
漫画も読ませました。
彼にとって一番有効だったのはeトレの活用。
合格ラインは70%にしてありますが、彼は全問正解するまで次には進みませんでした。
現役の時は偏差値の低いすべり止めには合格して入学金は支払っていましたが、それを捨てて浪人を決断した両親の気持ちが一年後の彼の勝利に結びついたのではないでしょうか。
現役の時の第一志望より良い大学に合格出来ました。
それが浪人する価値ですよ。