昨日の「大和姫面」について、教えて下さった業者さん。

弘法さんで裏をご覧になってポツリと。


「こんなとこにあるんやね」

「貴重なお品ですか?」

それには答えず、またもやポツリと。

「僕らは研究者やからね」


それ以上は仰らない。


気になります。

お礼の水羊羹を用意して、お越しを待ちました。

そして教えて頂く。


この方は、これぞ京都人の、ちょっと陰険なところのある方。

最初の頃、若い伏見人形を纏めて買った私に、(阿保か)という顔をされたのが、忘れられません。


もっとも最近は、メインの市場での席も近く、良くして下さいます。

でも、ある意味でライバルなので、当然ながら肝心なところは、教えて貰えない。


長年の努力で身に着けられた、プロの飯の種の知識を分けて頂くには、相応の礼節が必要と、嫌味でない範囲でお礼したという訳です。


帰り際に、

「そろそろ貴女も、研究者に顔を売らんとあかんなあ。

こんなん分かる人は、なかなか歩いていいひん。

探してるところに、こっちから、有りますよと、言わんとあきません」


今日は、シンガポールからの親子づれ。

息子さんは日本語が堪能で、大学では経営学を学んでいるとか。


美しい銀煙管に目が釘付けです。

でもスポンサーの母上が、頸を縦に振らない。

「貴方がこれで喫煙始めたら困る」


幾らコレクションと言っても駄目。

母上の心配ももっともな事です。

夫の甥へのプレゼントも、それで止めてるくらい。

だから笑って聞いていました。


帰り際に、

「残念ながら、いくら言っても駄目っぽいです。

ご親切に有難うございます。

次は自分のお金で買いに来るから、僕を忘れないで下さい」


この若さでこんな気遣いの出来る若者。

必ず世界を股に活躍するビジネスマンになる。

うちにも再び来て来れるでしょう。


私も先輩業者さんに礼節を忘れてはいけない。

海外の若い方に教えられました。


彼と2人でこんな物を見ていたので、母上の心配は御尤も。


長さが伸びているのが分かるでしょうか?


吸口に「乾隆年製」と象嵌。

全体に美しい象嵌が。

アヘン用の煙管のようです。

明日からの中国オークション目指して来日中した、中国のディーラーさんたち。
パルスの荷物を作っていても、入れ替わり立ち代わりやって来ます。

中国経済は厳しく、それでも来日の費用は稼がないといけない。
お互いに厳しい戦いが始まりました。