憧れの女優は誰?と聞かれたら、1番は淡島千景さん。
色っぽくもキリリとも着こなす、着物姿が憧れです。
そして、役の中で色々な時代の女を演じながら、本人は最後の最後まで時代遅れにならず、今の空気感を纒っていた。
凄い事です。
そのせいなのか、淡島千景演じるどの時代の女性にも、今に通じる何かを感じる。
この時代感覚こそが、他の女優にはない、淡島さんの特異性だと思うのです。
文博フィルムセンターが、生誕100年を記念した淡島千景特集を組んでいたのに、終わりそうになって、初めて気が付く。
昨夜は少し早めに店を閉め、特集最後の作品にかけつけました。
何度も見ている作品でも行くつもりが、幸いにもまだ未観の「暗夜行路」。
ラッキー!
豊田四郎監督が油の乗り切っていた頃の、池部良主演の東宝による文芸大作。
舞台設定は大正末。
志賀直哉原作の重い物語が、伊藤熹朔による時代を漂わす美術で、大正の浮かれ感が加味され少し軽くなります。
楽しめました。
妻は山本富士子で、はんなりとした着こなし。
まさに大正ロマン。
この時代のある階層には、髪飾り、帯留めが必須だったようです。
淡島千景は崩した日本髪。
池部良の着流しが又かっこ良い。
服装、調度、景色などなど、この時代の世界感を楽しみました。
こんな髪飾りが必須だった時代だなあと、今更ながら。
実は帯締めと帯留めも氣になって、真剣に観ました。
丸ぐけも、広幅も、三分紐で帯留めもあり、多彩です。
ただ、金工の良い物は登場しなかった。
こちらは明治が主な舞台だったのでしょうか?
セリフを含め全体が文学的で、贅沢な時間でした。