沢田研二主演の「土を喰らう十二ヵ月」です。
この忙しい時に、映画に行くか?
…と自分でも呆れ、それでも行く。
皆さんも呆れて下さい。😅
この作品は水上勉の「土を喰う日々」が元になっています。
寒村の古民家で暮らす作家。
ほぼ自給自足で、山や畑の恵みを自分で採り、自分で料理して喰う。
恋人兼編集者の真知子が東京からやってくると、一気に華やぐ。
そんな平穏はあるきっかけで、変わって…。
作家ツトムに沢田研二、真知子に松たか子。
物語というより、ツトムの日常を自然を含めて淡々と描く作品です。
移ろう自然、土井善晴監修の旬の野菜のシンプルな料理、趣味の良い器、無骨さの中に色っぽさが見える沢田の佇まい。
スタイリッシュで素敵だけれど、正直に言うと、終盤少し飽きてきた。
ところが、エンドロールに沢田自身による主題歌が被さると、一転する。
全てを沢田研二に持って行かれます。
こんな思いを隠して、淡々とした日常を送っているのか!
土を喰らい命を繋ぐ日々は、やがて土に返っていく生ある者の、その日迄の営み。
涙があふれて、暫く席を立てなかったほどです。
(ここまで抑えて主題歌に繋げるか!)と、監督の制作姿勢に感服しました。
沢田の声が若いと思ったら、この歌は1995年LP収録のものとか。
若い頃のジュリーの声の説得力とセクターさ。
無敵、唯一無二ですね。
今の声でも聞いてみたいです。
そしてテレビで流れた、舞台挨拶の松たか子さん。
何時もは無造作な彼女が、スタイリッシュな胸元が深いvの黒のスーツ。
いつもより短いショートヘアに、真っ赤なマニキュア、イヤリングや小指の指輪と、スタイリストを付けただろう、かなり珍しい気合の入った姿です。
筍、里芋と、時には手づかみで、もぐもぐと多分素の本人を飛び越えて、食いしん坊ぶりを発揮した、自身のイメージを払拭するようなスタイル。
沢田研二の歌のように、映画を離れて松たか子を見せている。
スクリーンの中はツトムと真知子なのですね。
どうしてこんなに映画が好きなのだろう?
それも映画館で見ることに拘る。
その答えが二人の中にありました。
こんなに多くのクリエーターが、時間をかけ自分をさらし制作にかかわる映画。
あらゆる方向から刺激を受けます。
困るのは、最近レイトショーで映画を見ると、余韻が覚めず、いつまでも眠れないことかな?