みなさまこんにちは!!

COP10が閉幕して2日目。


採択された新戦略計画のうち、
私たちがけいきがずっと追ってきた
Mission、Target5、6、10、11、および全体について
評価ペーパーを作成しました。

30日午前2時半のCOP閉幕後
誰もいなくなったNGOルームでユースが残って
明け方完成させたものです。

即行評価!!!!!
鉄は熱いうちに打て。



2010年10月29日
がけっぷちの生物多様性キャンペーン実行委員会
新戦略計画へのユースからの評価


○Mission
・合意テキスト:
Take effective and urgent action to halt the loss of biodiversity in order to ensure that by 2020 ecosystems are resilient and continue to provide essential services, thereby securing the planet’s variety of life, and contributing to human well-being, and poverty eradication;

To ensure this, pressures on biodiversity are reduced, ecosystems are restored, biological resources are sustainably used and benefits arising out of utilization of genetic resources are shared in a fair and equitable manner; adequate financial resources are provided, capacities are enhanced, biodiversity issues and values mainstreamed, appropriate policies are effectively implemented, and decision-making is based on sound science and the precautionary approach.

・評価:「生物多様性の損失を止める」ことに対する時間的拘束力の欠如
Missionの論点は、「by 2020」という時間的拘束力をどこにかけるか、あるいはかけないかという点である。もっとも重要なことは、「生物多様性の損失を止める」ということに対して強い時間的拘束力をかけることである。しかし、最終的に合意された文言は、生物多様性の損失を止めるということに対して何も時間的拘束力のないものとなってしまった。このことはMissionについてもっとも重要な部分を失ってしまったといえる。



○Target5(自然生息域)
・合意テキスト:
By 2020, the rate of loss of all natural habitats, including forests, is at least halved and where feasible brought close to zero, and degradation and fragmentation is significantly reduced.

・ 評価:損失速度の表記の後退
「brought close to zero(ゼロに近づける)」から「at least halved(少なくとも半減)」へ

EUが「brought close to zero」を推進したが、実現可能ではない等の理由によって「at least halved」を支持する国がほとんどであった。そして、妥協案として、「at least halved and where feasible brought close to zero」(少なくとも半減、可能な地域においてはゼロに近づける)が議決された。これは、実質的には「at least halved」と変わらない、弱い目標であると考えられる。一方、現在の自然生息地の損失速度を考慮すると、それが今後10年で少なくとも半減するということは、生物多様性の保全に関して意義のある議決であるとも言える。しかしどの機関がどのようなプロセスで検証を行うのか、「where feasible」とは一体どのような指標で判断されるのか、損失速度の比較対象となるベースラインの設定が不十分なまま終わってしまったことも大きな問題である。



○Target6(過剰漁獲・水産資源)

・合意テキスト:
Target 6: By 2020 all fish and invertebrate stocks and aquatic plants are managed and harvested sustainably, legally and applying ecosystem based approaches, so that overfishing is avoided, recovery plans and measures are in place for all depleted species, fisheries have no significant adverse impacts on threatened species and vulnerable ecosystems and the impacts of fisheries on stocks, species and ecosystems are within safe ecological limits.

・評価:過剰漁獲、破壊的漁業方式のテキストの後退
Target6は漁業や海洋生態系に関する目標であり、WGRI3の時点ではオプションが2つ(「過剰漁獲、破壊的漁業方式をやめる」と、「全ての海洋資源に関して持続可能な利用を行う」)併記されていた。そして、COP10での議論では、2つ目のオプションをベースとした折衷案が示され、それがプレナリーで最終的に合意される形となった。私たちとしては、「過剰漁獲」や「破壊的漁業方式」の廃止という強い内容を含んだ目標(1つ目のオプション)を支持していた。理由としては、GBO3などでも過剰漁獲や破壊的漁業方式は海洋生態系への第1の圧力とされており、それをなくしていくという明確な国際的メッセージは政治的に非常に意義のあるものだからである。対して合意された目標テキストでは、少し表現は弱まったものの「過剰漁獲を避ける」という文言が入り、「破壊的漁業方式」については削除された。過剰漁獲について触れられたことは評価できるが、各国が定義不明瞭や制御不可能などとして破壊的漁業方式を削除したことは評価できない。

・評価:海洋哺乳類への言及
「all fish and invertebrate stocks and aquatic plants」と書かれているが、クジラやイルカ等の海洋哺乳類等に関して言及されておらず、その部分が抜け落ちてしまっていることも問題である。

・評価:不明瞭な要素の多いTargetテキスト
「recovery plans and measures are in place for all depleted species」と書かれているが、「depleted」という制限が付け加えられてしまい、何を基準に「depleted」というのか明らかでない限定的な弱い表現となっている。また、「threatened」についても同様である。そして、「within safe ecological limits.」に関しても、何を基準に「safe」というのかについても定義が曖昧である。以上のように、締約国間で合意のとれた定義や指標がなければ、各国の主観的判断を許してしまうような極めて不明瞭な文言が散りばめられており、全体的に多分に不明瞭な要素を含んだTargetになってしまった。



○Target10(気候変動)
・合意テキスト:
Target 10: By 2015, to have minimized the multiple anthropogenic pressures on coral reefs, and other vulnerable ecosystems impacted by climate change or ocean acidification, so as to maintain their integrity and functioning

・評価:高い目標設定年の評価
Target10に関しては2015年あるいは2020年までで議論がなされていたが、より高い目標設定がなされたことに対して高く評価できる。

・評価:気候変動によって起こる事象は「人為的」に限るべきではない
「anthropogenic」という文言が付け加えられてしまったことに問題がある。この文言が入ってしまうことによって、「人為的な」という制限が付け加えられてしまい、エルニーニョ現象等の人為的だと科学的に証明されていない事象について、このTargetの対象になるのかが不明瞭になってしまうのである。



○Target11(保護地域)

・合意テキスト:
Target 11:By 2020, at least 17 per cent of terrestrial and inland water, and 10 per cent of coastal and marine areas, especially areas of particular importance for biodiversity and ecosystem services, are conserved
through effectively and equitably managed, ecologically representative and well connected systems of protected areas and other effective area-based conservation measures, and integrated into the wider
landscape and seascapes.

・評価:保護地域の割合の設定
保護地域については、生物多様性の損失の阻止にとって重要な議題であったとともに、その設定には多額の資金、資源が必要なため、目標設定の議論は特に紛糾した。大きく論点となったのは陸・内陸水域に占める保護地域の割合と、沿岸・海洋域に占める保護地域の割合である。最終的にはコンタクトグループの議長提案である、陸・内陸水域17%、海洋・沿岸域は10%という提案が受け入れられ、目標として正式に決まった。
海の目標については、領海内での現状が5%であることを考えると、それを二倍にするということで幾分野心的な数値目標であるとはいえる。しかし、議論の流れを見るに各国の意識としては、この数値目標の中に公海が入っていないとも考えられ、数値の母数の議論が不十分であったといえる。また今回は議論に焦点にならなかったが、重要なことは保護地域の質である。保護地域の管理が不十分であれば、どれほど保護すべき割合を定めたとしても、各国によって保護地域の解釈が異なってしまい、この目標自体の達成はあやふやなものとなってしまっている。また、保護地域が実際に適切な手法で管理されているのかを精査する機関が、ほとんど国家に任されているという問題もある。これでは各国の保護地域管理の達成状況を当事国の国家機関が一面的に評価する可能性がある。



○全体的な評価

・全体評価:
第1回のワーキング・グループにおいて多くの新規提案が出され、WGRI3で合意された草案と比較して全体的に弱いテキスト交渉の雰囲気がつくられてしまった。その雰囲気は終始変わることはなく、結果的に合意された目標の多くはWGRI3の草案に比べて弱い水準にとどまったことが残念であった。

・日本政府に対する評価:
新戦略計画において、弱い目標に向かって進む議論を容認し、日本政府自身も弱い目標を支持することが多かった。議長国としてリーダーシップを発揮する姿を見ることができなかったことは残念であった。

・採択の確保:
ABSや資金動員計画の問題で大きく揺れていたが、それでもなんとか新戦略計画の合意に至ったことは十分に評価できる。ABSや資金動員計画の採択がなければ新戦略計画の採択も危ういということが十分に予測できた状況下で、それでも限られた時間の中で最終的に採択に至ったことは評価できる。

この目標はできたばかりであり、実際に達成に向かい動きだすのはこれからである。今回のCOP10で採択された新戦略計画が、達成することができなかった「2010年目標」と同じ失敗を繰り返してはならない。各国がこの目標達成のため尽力することを期待する。



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