私は鳥瞰図(俯瞰図)とかパノラマに類する超遠景が好きだ。
高所恐怖症にもかかわらず、高いところが好き。 地球の果てまで見渡せそうな、広大な景色を表すには、目眩がしそうなくらい近くと遠くの差を見比べて、目の焦点が合わないくらいの距離感を描くつもりで臨む。
私は、遠景を描く際には絵の具を薄めたりしない。(透明水彩の中の)不透明系の色を混ぜて明るく濃い(白濁した)色を作って描く。
マンハッタンの摩天楼を描くことは、予てからの夢だった。
遠景にはネイプルス・イエロー・レディッシュ(ジョンブリアンのような色)やラベンダーを混ぜて白濁させている。決して薄くはない。
霞んだ遠景は白濁しているが薄くはない。
そうする事で空気の層を感じさせることができる。
トスカーナの延々と続くオリーブとブドウの畑は、鳥になった気分で。
眼前に滞留する大気の厚みを感じながら白濁させた“濃い” 絵具を置いていく。 実際遠景のかすんだ山やビルは透明ではなく“白濁”しているように思うからだ。
何事も、思い込んでしまうことで失うものは大きい。
アタマをニュートラルにして、一見当たり前のように思われることをよ~く観察し、深く考えることで実は“非常識”だったりするのもよくあることだ。
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