大学時代の友人や先輩は、口をそろえて、『先生は、何も教えてくれなかった。』 と言うのをよく耳にする。そして私自身もそう思う。
でも、誰もそのことに文句を言う人はいない。
そんなことより もっともっと大事な経験ができたからだと思う。
学校という場で、様々な“突出したモノ・コト・ヒト”に毎日遭遇し、過剰なほどの刺激を受け、落胆・絶望したり、その“突出”の一端に関わったりすることで己のなんたるかを体感的に知ることができたからだと思っている。
だから、あの学校に通ったほとんどの勘のいい人は、上のさらに上にいくらでも“天才”や“超人”がいること、そして、自分がどういう人間で何が得意で何が苦手なのかを真剣に考えてきた(考えさせられてきた)のだと思う。
20歳前後にそんな体験ができたことを幸せに思う。
ところで、
水彩画を教えている先生方の多くは、師についたことのない方も多くいるだろう。
かく言う私も、実は大学では金属工芸(鍛金=鍛冶屋のようなもの)をやっていたのでアイデアスケッチのようなもの以外は一切絵は描いていなかったし、教えを受けたこともない。P社の宣伝部での会社員生活21年間でも絵筆は一回も握っていない。
絵の勉強と言えば、大学受験のためにデッサンと平面構成・立体構成、そしてわずかに受験水彩画を予備校で教わった程度だ。
というわけで、現在のような水彩画を始めたのは会社を辞めて横浜画塾を始めた2002年から。無謀な所業だと、今は思う。
実際に水彩画を人目に曝したのは2005年の西新宿ギャラリートーニチさんでの個展が初めてだったから、水彩歴はそこから始まったと言ってもいい。
教わったことの受け売りでは、決して生徒さんには伝わらないと思うし。
教えられて身につけていくものではなく、行動し、失敗し、気づき、傷つき、試行錯誤し、鍛錬し、体得し、壁にぶち当たり、失敗し、気づき…ということの繰り返しを続けて体感的に身に付けていくもので、その原動力となるのは、作りたい、描きたいという好奇心や情熱なんだと思っている。
“学び”というのは“習う”“教わる”のではなく“気付く”“獲得する”ものだということかな。
だとすると、“学校”“画塾”は何のためにあるのか。
一見、レゾンデートル(存在価値)を失うようにも思えてくる…。
しかし、
それは、冒頭に述べたことがすべてだと思う。
だから、
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