しばしば、「初心者には(失敗しても修正可能な)消せる紙の方が良い」という声を聞きます。本当ですか?
消せる紙(修正可能)というのは、おおむねウッドパルプ系(以下、パルプ系)の紙のことを言っているのだと思います。値段も手ごろで、画材屋さんなら何かしらのパルプ系水彩紙は置いているので手に入りやすいという意味では“初心者向け”というのもうなづけます。
一方で、コットンパルプ系(以下、コットン系)は高価ですし、絵具の浸透もスムーズなので乾くと洗い流すことは難しくなります。つまり、修正できない紙ということですね。画材屋さんも高級紙として初心者には勧めないかもしれません。
本当に、パルプ系は初心者向き、コットン系は上級者向きということなのでしょうか?
私の見解は違います。
洗い落せるということは、絵具が紙の上に張り付いているだけなので、一度乾いてもこすると解けるということでもあるわけですから、乾いていても二回目以降の色を置くように確実に決めて行かなければならないということだと思います。
ハッキリ言って、これは“上級の技”です。
反対に、高価ではありますがコットン系の紙はある程度絵具が染み込んで、乾いた時には洗い流せない状態になっていますから、二回目以降の色をのせても溶ける量は格段に少なくなります。つまり、濁ったり筆の跡がドロドロする危険は少ないということだと思います。
そういう意味では、コットン系の方が“初心者向き”なのではないでしょうか。
そもそも、“乾いてから洗って直す”とか“乾いてから溶かしてふき取る”というのは、“最後の手段”であって、最初から“ふき取り(修正)”ありきで進めていては色は濁るばかりだと思います。
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