初心者用の水彩紙? - Cotton? or Pulp? - | 塾長の日記

塾長の日記

水彩画のこと、横浜画塾のこと、スケッチのこと、時事ネタ、美術全般のことアコースティックを中心とした音楽のこと、季節の移り変わり、おいしいもの、おもしろいところ…なんでも気づきのままに。

しばしば、「初心者には(失敗しても修正可能な)消せる紙の方が良い」という声を聞きます。本当ですか?

消せる紙(修正可能)というのは、おおむねウッドパルプ系(以下、パルプ系)の紙のことを言っているのだと思います。値段も手ごろで、画材屋さんなら何かしらのパルプ系水彩紙は置いているので手に入りやすいという意味では“初心者向け”というのもうなづけます。

一方で、コットンパルプ系(以下、コットン系)は高価ですし、絵具の浸透もスムーズなので乾くと洗い流すことは難しくなります。つまり、修正できない紙ということですね。画材屋さんも高級紙として初心者には勧めないかもしれません。

本当に、パルプ系は初心者向き、コットン系は上級者向きということなのでしょうか?

私の見解は違います。


洗い落せるということは、絵具が紙の上に張り付いているだけなので、一度乾いてもこすると解けるということでもあるわけですから、乾いていても二回目以降の色を置くように確実に決めて行かなければならないということだと思います。

ハッキリ言って、これは“上級の技”です。 


反対に、高価ではありますがコットン系の紙はある程度絵具が染み込んで、乾いた時には洗い流せない状態になっていますから、二回目以降の色をのせても溶ける量は格段に少なくなります。つまり、濁ったり筆の跡がドロドロする危険は少ないということだと思います。

そういう意味では、コットン系の方が“初心者向き”なのではないでしょうか。 


そもそも、“乾いてから洗って直す”とか“乾いてから溶かしてふき取る”というのは、“最後の手段”であって、最初から“ふき取り(修正)”ありきで進めていては色は濁るばかりだと思います。



$塾長の日記
アルシュ コットン100%

$塾長の日記
ワトソン コットン+パルプ

$塾長の日記
ホワイトワトソン  コットン+パルプ

$塾長の日記
ラングトン パルプ100%

$塾長の日記
モンバルキャンソン  パルプ100%


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

第二刷 出来!


水彩風景 プロの手順  - なにを・どの段階で描くか -
(グラフィック社刊)

B5(257mm×182mm) 112ページ(オールカラー) 定価;1,890円(本体1,800円)
$塾長の日記
先日の個展に出品した作品もプロセス(制作過程)付でたくさん載っています!

$塾長の日記
こんなプロセスページが満載です。


新刊と合わせてこちらもどうぞ。
『透明水彩 シンプルレッスン - 水の力を生かして描く - 


$塾長の日記