ユベントス陥落の原因を改めて | La Gajitta dello Sport
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こんにちわ、今回はですね、

最近話題になっているユベントスについて

書きたいな~と

 

ただ、ご存知の通り当方インテリスタでございます。特にユベントスのことなんぞ追ってるわけじゃありませんし、むしろキライまでありますが、ちょ~っと思うところがあったので、僕なりの意見を…みたいな感じです。

 

現在ユベントス、不振でございますね。

 

直近で言えばアタランタにホームで0-4で敗れ、再起を図ったヴィオラ戦でも成す術なく0-3で惨敗。順位もギリギリCL出場ラインだった4位から後退し、あろうことかボローニャに抜かれ5位にランクダウン。残り9試合とまだ挽回のチャンスはありますが、もしCL出場権を逃すなんて事態に陥ったら、大変なことになってしまいます。

 

これを受け、現監督であるチアゴ・モッタへの風当たりも強くなっています。解任と報じるメディアもあれば、続投だとするメディアもありますが、どちらにせよ来シーズンはモッタの居場所はないとの見方が強いですかね。

 

唐突ですが、

なぜユベントスはここまで弱くなったんでしょうか。

 

実を言うと今シーズンに始まった話じゃなく、7.8年前にすでにこうなってしまう予兆があったと個人的には思ってます。ユベントスがヴラホヴィッチを獲得した際にも同じような記事を書きましたが、今回は改めて書いてみまっす。

 

 

■2010年代のユベントス

 

2010年代のユベントス、めちゃくちゃ強かったですよね。

(語彙力皆無でごめんなさい)

 

FFP(フィナンシャル・フェア・プレー制度)の導入により、ライバルクラブが軒並み緊縮財政を強いられる中、ユベントスだけがいち早くイタリアでは初となるクラブ所有のスタジアムを完成させました。

 

クラブ所有、いわば自前のスタジアムで試合をすることにより、市にスタジアムを借りていた頃に比べ、2倍以上のチケット収入を確保できるようになり、現在では当時の5倍ものチケット収入を得ています(1100万€→5500万€)。これを元手に、メルカートでも積極的に立ち回れるようになり、確固たる強さ、そして基盤を確立させます。もちろん、当時GMを勤めていたジュゼッペ・マロッタ(現インテル会長)の的確な補強戦略等も背景にありますが。

 

個人名に目を向けてみても錚々たる顔ぶれ。

GKにはブッフォン、最終ラインで言えばバルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニのBBCトリオ。中盤ではピルロやマルキージオ、ビダルにポグバ、前線にはディバラやテベス、ヴチニッチやモラタ、イグアイン…その他色々いますが、当時緊縮財政の中、年々弱体化していたインテルやミランに比べ、なんとも豪華な面々でございます。

 

安定した資金源というバックグラウンド、そして圧倒的な戦闘力、ついでに優秀な監督(コンテ、アッレグリ)、これらも相まって2010年代、ユベントスはセリエA9連覇を達成。CLでもその実力を如何なく発揮し、14-15シーズンと16-17シーズン、2度のCLファイナリストとなっています。(結果はどちらも準優勝でしたが…)

 

 

■クリスティアーノ・ロナウド

 

もはやイタリアでは敵なし!目指すは96年以来となるCL制覇!その悲願までもう一歩のところまで来ている!そんな中迎えた18-19シーズンでした。ユベントスはレアル・マドリーからクリスティアーノ・ロナウドという大器を獲得します。移籍金は1億€(160億円)でした。つまりユベントスはこの時、セリエは優勝して当然であり、CLを制覇するためにはロナウドのような圧倒的なFWが必要としたわけですね。

 

このクリスティアーノ・ロナウド獲得こそ、

近年における不振の根本的な原因だと僕は睨んでます。

 

ロナウドがセリエに参戦した18-19シーズン、そして翌年の19-20シーズンのユベントス…はい、やはり強かったです。たたでさえ強いというのに、ロナウドまで加わってしまっては手に負えません。

 

ロナウド自身としても、FWにとって適応が難しいとされるセリエのジンクスを打ち破る圧倒的な活躍を初年度から披露。21ゴールを挙げセリエ8連覇に貢献すると、翌シーズンはさらにギアを上げ31ゴールを記録しセリエ9連覇を達成しました。

 

しかし、肝心のCLでは結果が残せず。ロナウドを擁しても18-19シーズンはベスト8止まり。翌19-20シーズンではさらに悪化しベスト16で敗退しています。まぁ…CLですからね、何が起こるかわかりませんから^^;

 

 

■20-21シーズン以降

 

インテルが11年ぶりのスクデットを獲得した20-21シーズン。ユベントスはロナウドを擁しつつも4位と振るわず(CLもまたベスト16で敗退)。しかしロナウド自身は29ゴールを挙げ、得点王を獲得しています。つまりロナウドは絶好調、にも関わらず4位ということは、ロナウドの活躍だけじゃCLはおろか、当たり前のように優勝していたセリエでさえ難しい段階になったということを意味します。

 

こうした状況をおそらく誰よりも早く危惧していたのが、21-22シーズンからユベントスの監督に復帰したアッレグリだったと思います。アッレグリはロナウドのような圧倒的な個の力に頼るのは危険と判断し、ディバラを中心とした若手路線にシフトすることを決断します。ロナウドとの契約はまだ1年残ってましたが、マンUへの復帰話があったことでそう考えるに至ったのでしょう(ロナウドは開幕1試合だけ出場し、マンUに復帰しました。)

 

しかし、その道のりは甘くなかったわけで…。

 

3シーズンにも渡り、ロナウド1人の力に頼りに頼り切っていたユベントスが、ディバラ中心、世代交代を新たに掲げたとはいえ、いきなり成功するわけがありません。21-22シーズン、ユベントスは序盤から躓いたのを覚えています。

 

 

■ドゥシャン・ヴラホヴィッチの獲得

 

この失速を受けて、ユヴェンティーノを初めメディアさえも、「変革」などというワードを使い、全く新しいチームになったユベントスには時間が必要だとの意見が多くありました。新たな軸(ディバラ)、そして世代交代、時間がかかって当然です。もしかしたら丸1年かけても難しいかもしれない、それくらいのミッションだと思います。

 

しかしフロントの見解は違いました。「我々はユベントス、常に勝ち続けなければならない」。完全に9連覇を達成した余韻、プライドがあったと思われます。チームの成熟よりも安易に早急な結果を求めてしまった。そして訪れた冬のメルカート、またしても彼らは過ちを繰り返します。

 

ドゥシャン・ヴラホヴィッチの獲得です。

 

当時セリエではイケイケの21歳。このシーズン前半戦の得点王だったフォレンティーナのヴラホヴィッチを、ユベントスは7000万€(当時100億円)というとんでもない金額で獲得します。同時にこれは、世代交代をを諦めまた圧倒的なFWに勝たせてもらおう、というロナウドがいた頃となんら変わらない戦い方を選択したことを意味します。

 

 

■その後のユベントス

 

個の力に頼ることでしか勝ち方を見出せなくなったユベントスに、どうしよもなく強かった2010年代の面影はもうありません。ヴラホヴィッチを全面に押し出すものの、ロナウドよりも圧倒的に劣るFWであることは間違いなく、チーム全体としてもパッとしないシーズンが続きます。

 

ヴラホが加入した21-22シーズンは結局4位(これでも巻き返した方)。22-23シーズンは不正会計による勝点剥奪処分を喰らい7位(例え勝点剥奪がなかったとしても4位以内には入れてません)。23-24シーズンは3位でしたが、首位インテルに23ポイントもの差をつけられての3位でした。

 

頼るべきFWのスペック不足だったのはもちろんですが、大前提としてロナウドが去って以降のユベントスにはどういった監督がどういう選手を起用して勝ちに行く、その明確なビジョンが見えていない気がしました。ついでに言わせてもらうと、補強でさえも目的がわからない、とりあえず人気銘柄に手を出してた感があります。

 

 

■チアゴ・モッタ招聘

 

そして24-25シーズン、アッレグリ監督がクラブを去り、前シーズンにボローニャをCL出場に導いたチアゴ・モッタ(元インテル選手)が監督に就任しますが、この就任劇も個人的には疑問がありました。

 

確かにモッタは3バックを用い、カラフィオーリやザークツィーらを覚醒させ決して強くはない、プロビンチャのクラブであったボローニャを60年ぶりのCLへと導く等、とてつもなく大きな功績を残しました。カラフィオーリやザークツィーは夏にプレミア方面に旅立ってしまいましたが、その手腕を買われたモッタはユベントスの監督に就任します。

 

ではユベントスは、なぜモッタを選んだのでしょう?

 

開幕からこれまで、正直そこが見えてきません。モッタといえばボローニャで3-5-2もしくは3-4-2-1をメインとして戦ってきました。しかし、モッタが監督になると決まってから、ユベントスはモッタのサッカーをやるための選手を準備できたでしょうか。一応ザークツィーやカラフィオーリも一緒に連れてくるプランもあったようですが、彼らを獲得できずにつれてきた選手は全然違うタイプ…

 

開幕からほとんどの試合をボローニャでは基本採用してこなかった4バックで戦ってます。試合を見てもそこに、「モッタのボローニャっぽさ」は感じられず、単にモッタを監督にしてるだけであまり変化ないなと。強いて言えば、サイドの選手がやたらと目立っていたことくらいです(コンセイサオやニコ、ユルディズなど)。

 

成績も一向に上がりません。失点減少!無敗!と開幕から謎に守備力ばかりがフューチャーされていましたが、際立って得点力が増加した傾向もありません。負けてないだけで勝ててもいない。ドローで試合を終えることが散見され、現段階で29試合戦って13ものドローを重ねています。

 

これまで見てきて、何がしたくモッタを呼んだのかまるでわかりません。ボローニャのようなチームをCLに導いたのだから、ユベントスを任せればスクデット奪還やCL制覇だっていけるかもしれんぞ!!さすがにこんな短絡的な思考で監督は選ばないでしょうけど、これまでの失態を見てるとなんか本気でそういう風に監督選んでるんじゃないかと錯覚してしまいます。

 

 

■またしても間違うユベントス

 

迎えた冬のメルカート。ここでもユベントス、同じような補強をしましたね。PSGからFWコロ・ムアニをレンタルで獲得し早速先発起用させます。この補強策が功を奏し、加入わずか数日にも関わらずコロ・ムアニは爆発、ゴールを量産します。確か3試合で5ゴールだかを記録して一気に新エースへ名乗りをあげます。すぐにレンタルから完全移籍での買取を匂わすような記事も出てましたね。

 

しかしコロ・ムアニを前線に据えたユベントス、まーた勝てなくなりましたよね。主にコロ・ムアニが不発に陥り、どこに矛先を向ければいいかわからなくなったユベントスはもはやモッタの責任とするしかありません。

 

 

■絶対的なFWに頼るのは悪いのか?

 

そもそも、絶対的なFWに頼る戦い方ってそんなに悪いことなんでしょうか。ここでは僕、「悪いもの」と勝手に決め付けて書いちゃってますが、実際どうなんでしょう?

 

自分でいっといてアレなんですが、絶対的なFWの得点力を頼りにする、それで勝てるのであれば別にイイと思ってますよ。ただそれだと、限度があるってわけで。

 

古い話をすると我がインテルも、

同じような時代がありました。

 

記憶に新しいところで言えば、2000年代後半のイブラヒモビッチ、2010年代のイカルディしょうか。08-09シーズン、モウリーニョ監督のもとイブラヒモビッチを全面に押し出しスクデットを獲得したインテルですが、09-10シーズン、この戦い方では限界があると感じたチームはイブラの放出を決断し、新たにミリート、スナイデル、エトー、ルシオ、そしてこの記事でも散々名前を挙げてますチアゴ・モッタを加え再スタートを切りました。

 

その結果どうなったか、

あえて説明するまでもないでしょう(ドヤ)

 

イカルディの時も同じです。ずば抜けて得点力のあるFWでしたし、インテルを7シーズンぶりのCLに導いたのもイカルディでした。彼1人の力で勝点3を得た試合…数えればキリがありません。しかし、好調なエースがチームを牽引していたとしても、インテルは良くて4位。なんとかCL出場権を獲得ってパターンが限界でした。つまりこのやり方で最大限がんばっての結果がコレだったのです。

 

そこで大胆に舵を切ったのが19-20シーズン、まさに転換期でした。コンテを新監督に招聘し、エースでありキャプテンではあるものの問題行動の多かったイカルディに見切りをつけ、新たに3-5-2をスタートさせます。愛弟子ルカクを連れてきて相棒にラウタロを据える、これまでのインテルとはまるで違った形です。この時のインテルには主役がたくさんいましたし、本当の意味での復権もここからでしたね。早速2位となり、翌年にはスクデット。シーモになってからも変わりなく、それどころか年々強化されています。

 

このように、個のFWに頼ることは決して悪いことじゃないですが、早い段階で限界が来る可能性も高い。その選手さえ封じられれば対策が容易になるというデメリットもあります。ザックリ言ってしまえば、今ユベントスが陥ってるのは10年前のインテルと同じ状態といってもいいのかもしれません。そしてそこから抜け出すアイディアもまた、インテルと同じなのかもしれませんね。違う気もしますが…

 

 

■その他の要因

 

あとこれは個人的に思うんですけど、チームが上手くいっていないとき、ロッカールームを引き締めてくれる、プレーとその背中でわからせてくれる、そんな絶対的な象徴みたいな選手がいないのもマズイですよね。

 

2010年代はそういう選手、たくさんいましたよね。ブッフォンはもちろん、キエッリーニやボヌッチ、そしてマルキージオやテベスなど。プレーヤーとしての能力というよりも、その存在自体がチームを鼓舞する、引き締めてくれるみたいな選手、本当にいなくなったなと思います。唯一その素質があったのがダニーロでしたが、冬にブラジル方面に行ってしまいました。

 

インテルもちょうど10年前、サネッティとサムエル、ミリート、カンビアッソといったチームを支えていたベテランが一斉に抜け、半ば強制的に世代交代を推し進めましたが、見事に失敗しました。この時、せめてカンビアッソだけでも新キャプテンとして2年くらい留めておけたら、その分早く不振から脱却できたかもしれないと言われています。

 

さてユベントスに戻りますが、現メンバーの中でそういう選手、誰かいるんでしょうか?平均年齢は若いに越したことはありませんが、その中でもチームを良い意味で締めてくれるベテランの存在って絶対に必要に思います。

 

 

■まとめると

 

2010年代、ロナウドが来るまでに積み上げてきたものが、ロナウドの加入により図らずも台無しになってしまった。絶対的なFWの力を要して3シーズンも戦ってしまったユベントスに、もはや別の戦い方を見つける術はなかった。

 

それでも継続して、我慢して、チームの成熟を待てば良かったものを、安易にヴラホヴィッチを獲得し無理矢理新エースとしたことでまた逆戻り。未だにそれに気付かず、冬にコロ・ムアニを獲得し早速ヴラホヴィッチに代わるCFとして扱ってしまってる…。ロナウドが着てから7年、最初の2シーズンこそスクデットを獲得できたが基本的な戦い方はサッリだろうとアッレグリだろうとモッタだろうと特に変化がないですよね。

 

変化に適応できない選手達、変化を好まず目先の結果ばかり追うフロント、チームを導ける本当の意味でのキャプテンシーのある選手の不在、地味に1番の被害者はモッタだったりするのかもしれません。自分のやりたい戦い方を許されず、求める戦力とは全然違うタイプの選手を任せられ、それでいてボローニャのように躍進させろと要求される…なかなかの理不尽でございます^^;

 

これらを踏まえて個人的には、モッタはこのまま継続すべきだと思います。今シーズンはもうどうなるかわかりませんが、少なくとももう1年は時間を与えるべきで、夏にモッタの意見をちゃーんと反映させたチーム作りを行うべきです。それが絶対に1番の近道だと思うんですが、いかがでしょうか?