シングルマン
ファッションデザイナーとして成功を収めたトム・フォードが、かねてより熱望していた映画監督として初メガホンを取った人間ドラマ。
「ベルリン物語」などの著者クリストファー・イシャーウッドの小説を基に、亡き愛する者のもとへ旅立とうとする中年男性の最期の一日を感動的に描く。主人公の大学教授を演じるのは『マンマ・ミーア!』のコリン・ファース。彼のかつての恋人を、『ブラインドネス』のジュリアン・ムーアが演じる。絶望の底で孤独に苦しむ主人公が見つける、何げない幸福が胸に迫る。
あらすじ
1962年11月30日。8か月前に愛する人を失ったジョージ(コリン・ファース)は、この日で人生を終わらせようと、死の準備を着々と整えていた。ところが大学での講義は熱を帯び、いつもならうっとうしい隣の少女との会話に喜びを抱く。そして遺書を書き上げたジョージに、かつての恋人チャーリー(ジュリアン・ムーア)から電話が入り……。
スタッフ
監督 トム・フォード
製作 トム・フォード
クリス・ワイツアンドリュー・ミアノ
ロバート・サレルノ
キャスト
コリン・ファース
ジュリアン・ムーア
ニコラス・ホルト
マシュー・グード
ジョン・コルタジャレナ
トム・フォードが言うように、『シングルマン』は、「孤独」という誰しもが共通するテーマを扱った映画である。主人公が同性愛者であるということは、要素のひとつではあるが、決して主題ではない。
主人公が見るのと同じような眼差しで、どうかこのスクリーンを見つめてほしい。色彩が、音色が、薫香が、美味が、微熱が、しずかに、ささやかに、ときにはげしく語りかけてくるだろう。五感を解放してほしい。「感じる」ということは、世界に向けて己を開くことに他ならない。痛ましいものを見たとき、自分自身にも痛苦が走るように、ぬくもりに触れたとき、自分自身もあたたかくなっていくように、世界との交流は、「感覚」の地点で生まれる。「感覚」は、今この瞬間に生きていることの証しだ。過去からも、未来からも解き放たれた、「今」という至聖所において、世界はその「美」を開示するのだ。(日本美学研究所)
最初はトムフォードが監督の作品でファッション目的で観ていた映画ですが、ファッション業界で成功した人間の撮る映像は美しいですね。1回目はファッションを中心に観ました。どのようなものを着ていて、どのように着ているのかを最初から最後まで物語とファッションの関係性を考えながら。2回目は全体の物語を楽しんで観ていました。ただ観るだけでもいいのですが、どこか特別な部分を感じた作品の場合は複数回観ています。
トムフォードとは…
アメリカ合衆国テキサス州オースティン出身のファッションデザイナー、映画監督、また、彼の名を冠したファッションブランドである。
ニューメキシコの高校を卒業して、ニューヨーク大学の美術史で1年学び、俳優を志していたが、パーソンズ・ザ・ニュースクール・フォア・デザインで1986年までインテリア・アーキテクチャーを学んだ。その後は、ペリー・エリス(Perry Ellis)(1988年 - )、キャシー・ハードウィック(Cathy Hardwick)でデザイナーとして活躍。
1990年、ニューヨークからミラノに移り、グッチのレディス部門のデザインを担当。1994年からは、グッチのクリエイティブ・ディレクターとして活躍。グッチのクリエイティブを統括しながら2000年、イヴ・サンローランおよびグッチグループ全体のクリエイティブ・ディレクターにも就任。現在は自らの名を冠したブランドを主宰している。CFDA賞ほかファッション業界における数々の賞を受賞。