高倉健さんのドキュメンタリーを手がけた写真家の日比遊一さんの初の映画作品。
都会の孤独の中で生きる人々の苦悩を描いた作品です。義理の父からひどい暴力を受けて、やさしい性格をしていたヤズは、酒やドラッグに身を任せる荒れた生活を送るようになりました。そんなヤズを守るために罪を犯した義理の兄のマニーは、現在は仮釈放の身で、困った時に頼ってくる義妹をなんとか支えようとする。
マニーの保護観察官のブレナーは、マニーに自分のせいで死んでしまった亡き息子に姿を重ねて、マニーを立ち直らせるためにヤズを引き離そうとする。さまざまな人びとの思いが交錯する中で、ヤズの荒れた行動はますますエスカレートしていく。
どの人も人生で何かの悩みがあり、もがき苦しむこともあるでしょう。そこから抜け出すには今の自分を否定して、新しい自分を作り直す大変な変化をすることがあります。少しの変化なのになかなか変わることができない苦しみもあります。亡き息子に姿を重ねたブレナーがマニーからヤズを引き離そうとするが、それがいいのかはわかりませんが、荒れたところからでも離れたほうがいいと思います。