『グロリアの青春』などのセバスティアン・レリオが監督と脚本を担当した人間ドラマ。
最愛の恋人をなくし、いわれのない偏見や差別にさらされながらも誇り高く生きるトランスジェンダーの主人公を映す。主演を務めるのは、自身もトランスジェンダーのシンガーであるダニエラ・ベガ。フランシスコ・レジェス、ルイス・ニェッコらが共演している。
ナイトクラブで歌っているトランスジェンダーのシンガー、マリーナ(ダニエラ・ベガ)は、チリの首都サンティアゴで年齢差のある恋人オルランドと同居していた。マリーナの誕生日を祝った晩、家に戻ると急にオルランドの意識が遠のき、そのまま他界する。彼が亡くなったことでマリーナは予想外のトラブルに見舞われる。
本作は主人公を本人がトランスジェンダーとして女優となった方が演じており、否応なく感じさせる男の方である。心もそして体もメイクもファッションも女のはずなのに、実際の男の顔を対峙させる。誰よりも美しくありたい心を粉々に壊す非情な暴力とその反撃も試みるのが素晴らしい。