EU等の輸入規制の大幅緩和 | よこやま信一公式ブログ

EU等の輸入規制の大幅緩和

日本産食品の輸入規制を行っているのは現在14か国・地域(2021年10月5日)。これらの規制緩和を求めるため、復興副大臣に就任してから大使館訪問を重視してきた。これらの国々の農業大臣らと直接交渉するのが最も良いのだが、コロナ禍によって海外渡航が難しくなってしまった。政務においても人間関係のある大使や書記官らにお会いすることはできるが、政府の代表として駐日大使と会談するのとは重みが違う。この間、副大臣として訪問した大使館は、サウジアラビア、ノルウェー、ギリシア、ロシア、米国、EU代表部、中国、ケニアがある。なかでもEU代表部のフロア大使には2回お会いしている。

 

科学的根拠を考慮せずに輸入規制を行っている中国、韓国、台湾、香港、マカオを除くと、EUと米国の輸入規制は丁寧な説明を繰り返せば必ず規制緩和できると考えてきた。これら2か国・地域が規制緩和に動けば英国、台湾、ロシア、EFTA(ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン、アイスランド)などへの影響も大きい。そこで、環境意識の高いEUの影響力を考慮して、EU代表部への働きかけを復興庁として強めるよう努力してきた。事務レベルでの交渉はもちろんのこと、副大臣としてフロア駐日大使との会談を強く要請した。

最初の会談は、2020年10月に行った。セシウムなど有害な放射性物質を含む食品が流通しないことや、福島県では風評対策のために厳重な検査を行っていることなどを説明。フロア大使は、科学的な根拠を示せば規制緩和を検討するよう本部に伝えると言ってくれた。これまでも許容値を超える食品が流通しないことはデータで示してきたのだが、あらためて資料を提出すると答えた。大使からはALPS処理水の処分についての問いかけもあった。私は丁寧に説明したのだが、大使は「汚染水」と言う表現を使い続けたのは残念だった。

2回目の会談は2021年5月に行った。フロア大使の理解は1回目の会談よりも格段に深まっており、6月に輸入規制を取り扱う常設委員会が開かれるとの情報提供があった。和やかな雰囲気の中、規制緩和に向け検討が進んでいることを感じさせる会談となった。そして、ALPS処理水に話題が移ると、今度は一貫して「処理水」と言ってくれたのは嬉しかった。

 

2021年9月21日にEUは、日本産食品の輸入規制の見直しを発表した。これにより福島県産タケノコや栽培されたきのこ類の放射性物質検査証明書が不要となり、過去の貿易実績に照らすと放射性物質検査証明書の発行はゼロになる。加えて、産地証明書の発行は約7割削減される見通しとなった。EFTA諸国もEU同様の改正が予定されている。