石炭灰坑内充填による脱炭素の推進 | よこやま信一公式ブログ

石炭灰坑内充填による脱炭素の推進

自粛期間の明けた2020年6月に釧路市の釧路コールマイン株式会社(KCM)を月田光明市議と訪問した。KCMは国内で唯一の坑内掘りで採炭を続けており、中国やベトナムなどの産炭国に対する石炭採掘と保安に関する技術研修事業を行っている。新型コロナ感染症の拡大により海外からの研修生の入国が難しい状況の中で、リモートによる現地での座学など、工夫しながら研修事業に取り組んでいる状況を伺った。

KCMからは、2021年度に向けてKCMが運用している石炭火力発電所と連動した環境対策技術に新たな予算獲得の要望があった。2020年12月に営業運転を始めた石炭火力発電所からは、今後、大量に石炭灰が排出される。これを使わなくなった坑内に充填し、その際にCO2を注入するカーボンリサイクル技術の開発を目指したいとの説明であった。

 

石炭火力発電所から排出される石炭灰は、これまで約9割が韓国に輸出されていた。しかし、韓国は2019年に石炭灰輸入の検査を強化したことから、我が国では石炭灰利用の関心が高まっていた。また、坑道内に石炭灰とCO2を同時に充填し鉱物化する技術は、実験では確立されていたが実証試験までは行われていなかった。

 

東京に戻ると、早速、資源エネルギー庁幹部と予算概算要求に向け議論を開始した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により2021年度予算概算要求は、新規事業に厳しい状況であったが、最終的に前年度と同額の10.3億円を確保できた。その後も年末の予算編成に向け何度も議論を重ねるなか、9月に突如、安倍総理が辞任することになり菅内閣が誕生した。菅総理は、2050年までの脱炭素を掲げ、にわかにカーボンリサイクル技術が注目されるようなった。こうしたことを追い風にしながら、2021年度予算案は、感染状況に関わりなく「国内受入研修」と「海外派遣研修」の研修事業を対前年度と同額とすることができた。他方、CO2抑制の新事業に必要な予算は、坑道使用料の一部を利用することで確保することができた。

 

今後、通常国会が召集され2021年度予算案の審議に入るので早期の成立のために努力し、CO2の坑道内鉱物化の新技術により脱炭素を推進して参りたい。