災害援護資金の貸付利率の引き下げ
今国会に提案されている第8次地方分権一括法案において、2016年10月の参議院予算委員会で私が訴えた災害援護資金の貸付利率の引き下げが実現する見込みです。
2016年10月の参議院予算委員会の質問は、夏から秋に北海道と東北地方を襲った台風災害に対し災害復旧と被災者支援を訴えたものでした。参議院公明党では、当時これらの被災地を回っていたのは私だけであったため急遽の当番となりました。現場に行かなければ分からない中小河川の防災対策の遅れや北海道の農地復旧限度額が他県に比べ極端に少ないなどの矛盾を指摘しました。これらは2017年度補正予算などによって見直しが進められています。
あわせて、被災者の生活再建ための制度である災害援護資金の貸付利率が3%と高利率であることを取り上げました。被災者支援には、災害弔慰金支給制度と平行して設けられている貸付制度に災害援護資金があります。貸付限度額は350万円で利率は3年間据置になっていますが、その後は3%になります。
3%の利息は市町村の運営事務費に充てられることになっていますが、熊本地震の時には熊本県から、2016年の台風災害においては北海道東北知事会から無利子化を求める要望が出ていました。被災者の生活再建のための貸付制度でありながら、3%の利率は高すぎるとの理由です。
災害援護資金の貸付利率は「災害弔慰金の支給等に関する法律」で3%と定められており、これは市町村の貸付制度の運営事務費に充てられることになっています。貸付利率の引き下げを求める私の質問に対し「市町村がこの貸付利率をどのように扱っているのかを実態調査し、貸付利率の妥当性を検討する」ことになりました。
翌年(2017年)に、私は、実態調査を踏まえた検討結果について報告を受けました。法律の文面通りに運営事務費に充てている市町村がある一方で、自治体単費による利子補給によって無利子化している市町村もあるという報告でした。現状は市町村によって様々な扱われ方になっており、とりわけ運営事務費に充てている市町村にとっては法改正によって無利子化されると、新たな財源をみつけなければなりません。この件に関しては、万事休すとなりました。
このような中、2016年の大雨災害で激甚災害の指定を受けた岩手県岩泉町から第8次地方分権に対して災害援護資金の貸付利率を条例によって変更できるようにする提案がなされたのです。法改正によって一律に無利子化するというのではなく、利率の設定は市町村にまかせて欲しいとの提案です。これが実現できれば、利息を運営事務費として利用する市町村の貸付利率はそのままに、利率の引き下げを望む市町村は財源に応じて利率を設定できるようになります。この提案は採択され、第8次地方分権一括法案として今国会に提案されました。今後は、この法案の速やかな成立を目指して参ります。
他方、東日本大震災および2017年の大雨災害の大分県と福岡県の被災者には特例措置が適用になっています。すなわち、償還期間は10年間のところを13年間に延長、据置期間は3年のところを6年に延長、連帯保証人を立てる場合の貸付利息は3%のところを無利子に引き下げています。これらの特例措置は、2018年3月31日までになっていますが、2018年度も被災者の住宅再建が続くため、今国会では特例措置の延長が提案されます。この法案も速やかな成立を目指して参ります。