ギャフネットへようこそ。
土曜日は くにこ が担当します!
これまでに何回か父のことを書いてきました。
父として親としての役目を終えつつある父親の存在を超えて、尊敬する一人の人と呼ぶのがふさわしいように、今は思えます。
父からは、これまで、言い尽くせぬ程のものを受けとりました。
このことを想像しますと、腹部あたりから空気を入れた様にパーンと張り出しているのを感じます。
今にも、パンクしそうですが、親から譲り受けた丈夫で柔軟な皮膚はそう簡単に張り裂けそうにはありません。
ツヤッツヤッな細胞を残してくれている父は、それとは裏腹に、自らの生理的機能のスイッチが今にも切れそうな容体です。
この世とあの世との見分けもつかないような表情を目の当たりにし、心配になって声をかけます。
すると、その瞬間だけは声のする方に少しだけ顔を向け、聞き覚えのある娘の声にハッと反応しゆっくり温かく、うなずく父。
ここには、眼に見えない言葉を超えた親子にしかないこころの行きかいを感じとることができます。
ホッとする瞬間です。
最後を待つばかりとなってしまった父と私のせめてもの親子の証であり、絆です。
目の前の父と必死で向き合って、その反応に安心する一人よがりな私がいます。
静かに人生の幕を降ろそうとしている父に酷なことだと思うことがあります。
話せなくなってしまった父。
伝えたいこと、言い残しておきたいことがあったでしょうに。
いざとなると何も言えず、聴かないことを選び、他愛ない言葉のやり取りに終始したことさえも、今となってはかけがえのないこと。
父に伝えたい。
これまで、余り言ってこなかった、たくさんのたくさんのありがとう。
私はあなたの娘で幸せいっぱいでした。
そう思える一度きりの人生を生きていることに感謝。
初めて体験する身体の感覚や精神世界に戸惑っていないだろうか。
不安は、痛みは、苦しみは、恐れは、驚きは、ないだろうか。
願いは、きっと、叶えられ、その思いは、きっと、届けられるでしょう。
父に対する畏敬の念が湧きます。
しばし、崇高な思いに駆られ立ち往生してしまいます。
親孝行の真似ごとさえもできないまま、いよいよ父とのお別れが近づいてきています。
涙に明け暮れる毎日、大切な父との静かな時間をもちつつ...




