こんにちは、りこみです。

 

5月下旬の京都さんぽですが

2回連続で雨の日になってしまいました。

なので、あまり歩き回らずにすむ

コースを…。

 

東山の並河靖之記念館。

自宅兼工房だった町家造りの建物の

七宝焼美術館です。

日本庭園講座を受講しはじめて

講師より紹介してもらわなければ

訪ねることもなかったかと思うと

見知らぬ世界への扉を開けた気分。

 

 

レトロな地名の看板(右)は仁丹なのですね。

いい味だしています。

 

小雨の中、人力車が通りすぎていきました。

焼き杉の板塀の続く落ち着いた界隈に

記念館はありました。

 

 

立派な京町家の建物です。

 

実はこのお宅のすぐ脇に

植治という屋号のついたお宅が…。

あ、これが講師の言っていたことだと

興味深かった。

 

こちらの庭園を作庭したのが小川治兵衛。

お隣同志だったよしみで並河氏は

まだ若かった治兵衛に作庭を

依頼したという経緯のようです。

本当のお隣さんだったのですね。

 

全く違う分野での著名人が

二軒並ぶとは…!

 

 

さて入館。

順路として前半は七宝焼の展示です。

初めてじっくりと鑑賞しましたが

その緻密さ、繊細さに思わず息を止めて

見入ってしまいました。

 

美術品も建物も庭園も満喫できると

思うと入館料1000円というのは

決して高くないかもしれません。

 

 

そして御座敷。

ここでメイキングビデオを見せてもらうと

その工程の複雑さには

感嘆してしまいます。

(順路的には最後でしたが

最初に見た方が作品を見る目が変わりそう)

 

この庭園は七代目小川治兵衛のいわば

デビュー作ということで

庭園界ではとても貴重な位置づけらしい。

といっても私は「ここに治兵衛らしさが…」

などと語れるほど

庭園に詳しいわけではないのですが。

 

 

画像右手にある手水鉢には

素人の私も目を奪われました。

文章ではうまく表現できませんが

ものすごく独特で異彩を放っていました。

周囲を掘りこんでいる分、

実際よりも高さを感じる手水鉢でした。

 

この設置方法に

治兵衛らしさが出ているらしいです。

 

 

鞍馬石を彫ったという一文字手水鉢。

石の支えで宙に浮かせてあり

形といい佇まいといい妙な迫力があります。

こんなところに30代半ばだったという

治兵衛の若さあふれる力が

みなぎっているのかなぁ。

 

 

庭園は決して広くはないのですが

個人のお宅の庭園と考えると

立派すぎるくらい立派。

 

庭園の大部分を池が占めています。

 

 

せせらぎの音が周囲を満たしていましたが

ここから流れ出ていました。

 

琵琶湖疎水の水を一般の建物に取り入れた

初めての例だったそうで

そういう意味でも貴重な庭らしい。

 

 

ぱっと見ると

池の中に家が建っているみたい!

 

建物を池の中の礎石が支えていました。

絶妙なバランスなんでしょう!

 

 

床下まで池が広がっていて

縁側が池に張り出している分、

縁側から見ると池と一続きのように見えます。

庭と建物が一体化しているように

感じられてとても涼し気でした。

 

 

京都の庭園を見る日は

今までずっと晴れていて

この日が初めての雨の日。

 

でも雨露に濡れた緑は

細胞の隅々まで

深呼吸しているかのように瑞々しくて

雨と日本庭園は相性がいいのだと

思わされました。

庭を一周できるタイプの庭園ではないのも

雨の日にはよかったのかもしれません。

 

 

(記念館を出てすぐ脇の白川にて)

 

この庭園の2年後に

治兵衛の代表作と言われる

無鄰菴庭園が作庭されたそうです。

そこを含み、このエリアには

琵琶湖疎水を取り入れた

彼作庭の庭園がたくさんあります。

これからいろいろ鑑賞してみて

一周してここを再び見るころには

庭園への造詣が少しでも深まった自分が

いたら嬉しい。