叶わなかった恋…
つまりは片想いの方が、元彼との思い出よりも実は甘くて濃密な記憶になっていたりする。そう感じるのは、私だけだろうか？
「僕たちが付き合っていくのは、きっと難しいと思う。みずほさんは、僕じゃなくてもきっと幸せになれるよ」
駿太くんはそう言って私の告白を退けたけど、もっと何か大きな理由を隠しているように聞こえた。マッチングアプリで出会ってから、2ヶ月で6回もデートしてくれたのに。指一本たりと私に触れて来なかったあたりに彼の誠実さを感じると同時に「私って女としての価値がないんだろうか…？」という不安も抱かずにはいられなかった。
私は占いが好きだから、駿太くんの誕生日を初対面の時にそれとなく聞き出してみた。そんな駿太くんの数秘は［8］と［6］。この2種類の組み合わせから、彼が奥手であることは何となく想像できた。
気づかいが上手なひとだなあとは思った。私が何も言わずとも、駿太くんは率先してサラダを小皿に取り分けてくれたり、エレベーターを降りる時に【開】のボタンを押して私が先に降りるのを待ったり。そこは［6］を持つひとらしさが出てる気がした。
駿太くんはプロのフォトグラファーだ。だからだろうか、アプリのプロフィール写真はやはり他の男性たちと一味違うセンスが感じられた。［6］を持つひとは芸術のお仕事にぴったり。そして本物のセンスを持ってるひとだったりする。まさに彼のことだ。
彼の作品を少し見せてもらった。私はその世界のことを詳しく理解してるわけじゃないけど、被写体と大切に向き合おうとする姿勢は素人の私にも伝わってきた。そして、私に対しても自分の仕事について丁寧に説明してくれるところが優しいなって思った。
世の中は［8］のひとが作ってるんじゃないか…私にはそう思える。どの業界にも［8］を持つひとがトップを取っている気がするから。駿太くんにもその器は確かにありそうだ。
「仕事、めっちゃ楽しいですよ！心のスイッチが入り出すと、止まらなくなっちゃうんですよねえ」
駿太くんは生き生きした表情で私にそう言った。今は彼にとって充実した時期なんだろうなあ。ただ、きっと弱音を吐けないひとだろうから、彼がつらい時こそ私が横にいてあげられたらなあと思ってた。
私が好きな歌手の話をしたら、「良い曲たくさんあるよね」と言ってくれた。だから一緒にライブに行く夢も抱いたりした。
4回目のデートでは美術館に行った。作品に向かい合う彼の眼差しから、作家さんの心を大事にしようという誠実さが伝わってきた。
「この絵の女性、みずほさんに似てるね」
と私に語りかけてくる笑顔が、たまらなく素敵だった。私が駿太くんと「ずっと一緒にいたい」と強く思ったのは、その時だ。
ただ、ため口で話していながら私を呼ぶときはずっと「みずほさん」だった。「みずほちゃん」って呼んでほしいなあと何度も思ったけど、付き合う前からそれを押し付けるのも違う気がしたから、結局は言えずじまいだった。
私が送るLINEには、間隔が一日開くことがあっても必ず返してくれた。彼の文章は短いけど、そこには確かな温もりがあった。まあそれは、6歳上の私に気を遣った部分もあるのだろう。それでも［6］のひとが持つ独特の優美さは文面から滲み出ていた。
これまで私が出会った男性の中で、群を抜いて素敵なひとだった。誰よりも素敵なひと。だから私は、駿太くんとの未来を強く期待してしまったのかもしれない。
奥手な彼は私にとって居心地がよかったけれど、奥手な彼の心をこじ開けるのは私にとって至難の業だった。私は七赤金星で、駿太くんは一白水星。そして［4］と［2］を持つ私とは合うと思ったんだけどなあ…。
私の何がだめだったのかな…？
あの時の言い回しがよくなかったのかな…？
私の着る服は好みじゃなかったのかな…？
そもそも私はタイプじゃなかったのかな…？
駿太くんは私を傷つけないように言葉を選んでくれたつもりなのかもしれない。そんなことよりも、彼にもう会えないかもしれないという悲しみと淋しさで、私の心は押しつぶされそうだ。
駿太くんのお誕生日、彼女としてお祝いしたかったなあ。
本当は前を向くべきなんだよね。ただ、駿太くんのことを考えると幸せな気持ちになれるのは今も変わらない。だから、彼と一緒にいた思い出にもう少し浸っていたい。
自分が持ってるタロットで、私に対する駿太くんの気持ちを1枚引いてみたらHARMONYが出た。
私とは「気が合う」って思ってくれてるんだね。
駿太くんに、また会いたいな。
🍀🍀🍀🍀🍀🍀
Gabi出演日…日・月・火・金曜日@新宿店
『彩乃の巣』（2022年5月22日配信回）
ぜひご覧くださいませ🔮
🎩GabiのX（旧Twitter）
https://mobile.twitter.com/gabi_balangan
🔮WEB予約はこちらから↓