2015 年

1 月

989 号

かけだし情報

ガバレ農場

鴻巣市前砂359

℡548-1173


 畑情報 

 毎年この季節になると、有機JAS認定の定期検査を受ける準備を始めます。前にも書いたことがありますが、有機JAS法ができてからは、有機と表示して農産物を販売するためには有機JASの認定を取る必要があるのです。

 農水省が認めた認証団体が検査員を農家に派遣し、検査員が調査を行います。その調査に基づいて認証団体が有機の基準を満たしているかどうかを判断し、大丈夫という事であれば有機JASのマークを農産物に貼付することができるのです。

 長いこと有機農業を続けている農家の中には有機JASの認定を取っていない所もたくさんあります。その理由の一つは認定料がかかることです。認定料は認証団体や認定をとる畑や田んぼの面積などによって様々ですが、安くても8万円近い料金がかかります。

また、販売している野菜やお米をどのように育てたかを判断するのは、有機JASマークではなく、生産者と消費者の信頼関係の方が大切と言う考え方もあるからです。

 ただ、信頼関係を築くのは時間も手間も必要です。有機農業が今ほど普及していない時、農薬も化学肥料も使わずに作物を育てることは『勇気』のいることだったと、有機農業の先駆者たちは良く話してくれます。

集落の周りの農家からは変わりもの扱いをされ、後ろ指を指されたことも少なくなかったそうです。それでも、都市に住む消費者グループと一緒に、安心で安全な食べ物を育てることに努力を重ね、お互いの信頼関係を強めていきました。また消費者グループも元気があって、有機農家を支援する動きも広がっていきました。そして、有機農業を始める農家も増えてきて、有機農産物を扱う流通団体や自然食のお店なども一般的になってくると、有機の解釈もまちまちになってくるようになったのです。

 有機○○、と表示すれば皆が安全なものというふうに思うようになった結果、有機の定義がはっきりしないまま、有機や無農薬という言葉が広がってしまいました。有機認証の先駆けであるヨーロッパでは、有機農家が主体となって有機の基準を作りました。基準をはっきりさせることで、自分たちが育てる農産物が有機であることを守ろうとしたのです。

 日本では、生産者と消費者が結びつく提携と言う運動が有機農業の中心として進んできました。消費者が生産者の畑に来て援農をしたり、自分の目で作物が育っているのを確認したりして、お互いの信頼関係を作っていくというものです。ただ、生協や市場などへの出荷を主体としている場合、野菜やお米を食べるのは不特定多数の人となるために、有機JASの認定を受けないと出荷できないケースが出てきました。また、新規に有機農業を始めた場合、消費者を見つけることや信頼関係を作るのが大変なこともあって有機JASの認定を取得することもあります。

 有機JASの認定を受けるには、認証団体からの検査員による調査が毎年あります。そのたびにお金もかかるので大変ですが、加えて、検査のための書類を準備するのが一苦労です。農家は有機農家に関わらず作業の記録をつけるのが一般的ですが、調査を受けるためにはこの作業記録は必須です。また、有機JASのマークをつけて出荷した野菜やお米などの農産物については、出荷した数量や出荷先、有機JASマークをつけた数、そしてどこの畑から収穫してきたかがわかるような記録が必要になってきます。うちは直売場に出している分だけに有機JASマークを貼っていますから、数的には少なくて済みますが、全量を生協などへ出荷している野菜農家は、出荷数や品目が多岐にわたるために記録も膨大になってしまいます。

 今、調査を受けるための申請書を作っているのですが、申請書はA4サイズの紙で厚さが1~2センチほどになります。1年間でどんな作物をどのくらいの面積で育てたかや使っている機械や肥料は何かなど、細かく項目が分かれています。作業日誌から使った堆肥の量を書きだし、いつ、どこの畑で何の種を播いたか、どこから何を何キロ収穫したかなどをかき出しています。それらをまとめてわかりやすく作付け表を作るのです。記録がすべての根拠となる制度ですから、記録をきちんとつけておくことが必要なのはわかるのですが、本当なら記録ではなく、信頼という繋がりによって有機が担保されるにこしたことはありません。

最後は、人と人とのつながりが有機農業を育てることは間違いないと思っています。