メイプル指板の魅力 | ~Made by G'Seven~

~Made by G'Seven~

G'Seven Guitarsを、よりディープに体感したい方へ。

お知らせ以外でのブログは久しぶりの更新となりますね。

 

店頭の製品はもちろん、オーダー時など特に多く頂くご相談。

「指板はローズ?メイプル?問題」に触れてみましょう。

 

というよりローズは一般的に最も多く流通していますし、セットネックモデルでは標準と言えます。

 

そこで今回はデタッチャブルネック仕様でのメイプル指板。ここにフォーカスを当ててみたいと思います。

 

 

注釈)ボディー材他多くの要因の元でギターサウンドというのは確定していきます。指板はその数ある要素の一つに過ぎない事を予めご認識下さい。

その上で指板材のみの違いを説明してはいますが、その他の要因によって印象が180度変わる事もございます。

あくまで参考程度の読み物として楽しんで頂ければと思います。

 

 

●レスポンス

 

レスポンス時の帯域のピークが異なります。

 

指板材は主に音のレスポンス、及びトップエンド付近の輪郭等に影響すると思います。

 

ローズは中音域から立ち上がる、に対してメイプルは高音域から立ち上がる感触です。

 

 

別の言い方をするとローズは中音域が豊かな印象となる為、聴感上太さを実感し易くなりますし、倍音も発生させ易い為音と音の繋がりが生まれ易くもなります。

 

これはプレイヤーの「弾き易さ」にも直結してきます。

 

一音一音がぶつ切りにならず、言い意味で繋がってくれる感触、、、とでも言いましょうか。レンジも広過ぎずに非常に扱い易い印象を持つと思います。

 

特に短音でのプレイ時には歪みのノリも良く、音と音が繋がってくれる感触もあり、その粒立ちも揃い易くなるため臆さずにプレイに没頭できますね。

 

 

と、ここまでローズの長所を言うと「なんだローズ最強じゃないか」と思いますよね。

 

いえいえ気が早いです。

 

 

 

メイプルは中音域がそれ程豊かではないが故に音の分離感に優れ、音の輪郭もクリアに見え易くなります。

 

高音域からのレスポンス、と聞くと「耳に痛い音」みたいな状況を想像する方もいらっしゃるかもしれないですし、事実そういうギターも存在しています。(それも扱い方次第なので悪い音という意味ではないですよ。)

 

ただそういった個性は指板だけでなく楽器全体での特性なので、ここでは私個人が好むメイプル指板に話を限定しましょう。

 

 

音の輪郭がクリアに発音してくれるのはドライブさせた際にも同様で、歪ませても音が潰れ辛いという特徴に繋がります。

 

この感触が私が最も好きなポイントなのですが、軽いタッチの時は実に繊細な立ち上がりが得られ、ドライブさせて強めのピッキングでニュアンス付けをしようとした際にも音が潰れず、音像が壊れずにタイトに発音してくれる感触です。

 

同時にうねりやハネといった感触は少なく、素直に直線的にトーンを発してくれる事も大きな特徴です。

 

ローズ指板のいいギターは音がハネるような感触を覚える事があります(バウンド感とでも言いましょうか)。

これはこれで素晴らしいのですが、メイプル指板のストレートに、かつパワフルに発音してくれる感触は非常にリニアでコントロールのし甲斐があります。

 

 

●歪みノリ

 

先述した内容と重複もしますが、歪みのノリは大きく異なるポイントです。

 

 

ローズは元々中音域が豊かである為、非常に歪みノリが良く、良い意味で音が潰れ易い特性も持っています。

 

音が潰れる、と聞くとネガティブな印象を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、音が潰れるからこその歪み易さや弾き易さです。

 

どれだけ潰れてどれだけ音像感や芯を残すか、、、ローズ指板の場合はここが音作りのポイントにもなってくるところですね。

 

 

逆にメイプル指板は音が潰れ辛く、それは即ち歪ませた際にも輪郭のタイトさやスピード感、和音の分離感といったところに良い影響を与えてくれます。

 

個人的に重要なポイントとしては、メイプル指板はあらゆる音作りにおいて音のダイレクト感、リアルなダイナミクスやバイト感が失われ辛い、というところが挙げられます。

常にピッキングのニュアンスが見えている状況ですね。

 

これらの要素は逆に言うと扱い辛いと感じる方もいらっしゃいますが、好きな方からするとたまらなく楽しい感触です。

 

 

●見た目

 

ローズは茶色〜黒っぽい色味なので、楽器全体に引き締まった印象を与えます。

 

メイプルは白っぽい方向ですので一層シンプルで潔い印象を与えます。

 

見た目の好みというのも割と重要で、過去にも「メイプルの音は嫌いじゃないけど見た目はローズの方が良い」という方は結構いらっしゃいました。その逆はいないんですけどね…。

 

※因みにHISASHIさんからも、ダムドの打ち合わせ時に似たようなご意見を頂戴しました笑

 

 

 

ここまで読んで頂いてどうでしょう?なんとなくですが、ローズに分があるように感じませんか?笑

 

正直なところ人気はダントツでローズです。(例えばストラト系だと8対2ぐらいの割合でローズの方が実績あります。)

 

やはり「扱い易さ」というところと「見た目」というところでローズ人気というのは揺るぎないものがありそうです。

 

 

 

●メイプルプレイヤー

 

そんな中でも私のようにメイプルを好んだが故に肩身の狭い思いをしている方に、そしていまいちメイプルの良さが分からない、という方に。

 

最後に私が好むメイプル指板プレイヤーを何人かご紹介いたします。

 

今回は敢えてローズ派が主流であるストラト系に絞ってみました。(ギターぐらいは絞らないと紹介し切れないので…)

 

どなたも有名な方なので音源も手に入り易いでしょうし、ググればあっという間に情報も手に入る筈です。ご興味のある方は、是非彼らの音に触れてみて下さい。

 

 

David Gilmour

 

ピンク・フロイドのメンバーでソロでも長く活躍する大御所です。

 

彼のトーンは幻想的でエフェクティブな中にも、常にキラリと光るメイプルの質感があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

Buddy Guy

 

シカゴブルース界のレジェンドです。

 

泥臭くもお洒落で艶やかなトーン。独特のカラッケロッとしたブライトなトーンは、一音一音に珠玉の価値を感じます。

 

メイプル指板を生々しく味わえる御仁です。

 

 

 

 

 

 

 

Richie Kotzen

 

テクニカルなイメージが先行するかもしれませんが、実はとてもエモーショナルなプレイが特徴の名手です。

 

特に「Live In Sao Paulo」で聴けるトーン、プレイ(勿論ボーカルも)は絶品。ハードロックに興味の無い方も是非お試しください。

 

 

 

 

 

 

 

Stevie Ray Vaughan

 

この方をメイプル指板枠でご紹介するのも反則な気がしますが…。

 

名曲「Lenny」にて使用されるメイプル指板のストラトは、実に繊細でカラッとした透明感のあるトーンが堪能できます。

 

「表現力とはなんぞや」をこの曲から学んだ方も多いのでは、と思います。

 

 

 

 

 

 

 

Eric Johnson

 

スタジオミュージシャンを経て現在までソロで活躍する名手です。

 

ジャズ〜ロックまで幅広くこなせますが、アカデミックながらテクニカル過ぎないプレイが印象的です。

 

多くのエフェクトを駆使しながらもクリアさやタイトさは決して失わない音作り、そして素のメイプルトーンを巧みにコントロールする様は繊細そのものですね。

 

 

 

 

 

 

Eddie Van Halen

 

皆大好き(当社調べ)、ハードロック界のレジェンドです。

 

様々なギターを使用していますが、シグネチャーモデル他印象として根強いのはメイプル指板ではないでしょうか。

 

いかにもアメリカンな乾いたハードロックサウンドはメイプル指板ならでは。

 

意外と歪み量が少ない事でも有名ですが、そんな音作りも相まって潰れ切らないワイドレンジなドライヴサウンドはメイプル指板の魅力を存分に堪能出来ます。

 

 

 

 

 

 

Eric Clapton

 

説明不要のギターの神様です。

 

ブラッキー、ブラウニーと呼ばれる世界で最も有名な二大メイプル指板のギターは、この方のプレイによって広まりました。

 

太くて伸びやか、そして艶感のある至極のトーンは正にレジェンド。

 

分かり易いコンプ感の中にも、クッキリとした輪郭やダイナミクスを感じさせるプレイはメイプル指板ならではの表現力と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

如何でしたか。勿論まだまだメイプル指板の魅力は沢山ありますし、著名なプレイヤーも多く存在しています。

 

メイプルも悪くないな、と感じられた方は、ご自身に刺さる究極のメイプルプレイヤーを探してみては如何でしょう。

 

 

そして本ブログが今後のギター探しの参考となれば幸いです。

 

 

 

投稿:宇佐川